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異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~  作者: やとり
第六章 初めての 異世界旅行は エルフ村

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第89話 空腹は敵です

 アキナの自己紹介を聞いたリューナは、


「アキナ様は、人間界でも有名である今井商会、その代表者の娘ということなのですね。……そのような方と友人関係だとは、流石はハクト様ですね」


 と言っていて、何故だか俺の株が上がった。


 ちなみに、リューナが様づけするのが気になったアキナが呼び捨てでいいわ、なんて言ったがリューナは固辞(こじ)していた。

 メイ(いわ)く、魔皇たちの名前に付くのが様、から、さん、に変わるまで、かなり時間がかかったらしい。

 おそらく、様づけするのに強いこだわりがあるんだろうな。


「お互いの自己紹介も終わったようですし、アキナさんにお聞きしたいことがあります。すでにお昼は済んでいるでしょうか?」


 ソフィアは、さも重要事項であるかのようにそう聞いた。

 ……いやまあ、ソフィアからしたら重要な事なんだろけどさ。

 

 アキナはポカン、としつつも


「え? お昼? ……そういえば、イズレのことがあったから朝から何も食べていないわね」


 と答えていた。

 それを聞いたソフィアは


「それはいけません。空腹の状態では本来の力が全く出せないと言います。私たちはこれから食事をとる予定でしたので、アキナさんも一緒に食べましょう」


 ご一緒しませんか、ではなく、一緒に食べましょう、なんだな。

 

 まあソフィアだし、食事のことになるとちょっと積極的になるからな。


「そうね、せっかくだしそうしましょうか。それで、行くお店とかは決まっているの?」


「本日は、私が食事を作らせていただこうと思っていました。……皆様がよろしければ、ですが」


「……それなら、私も、手伝う」


「そうですね、私も一品作ろうと思います。昼食に食べたいと思っていたメニューがありますので」


「……なんだが、すごいメンバーで食事を作るわね。昼食を食べて来なくてよかったわ」


 確かに。

 魔皇に天使、ドラゴンが協力して作る昼食って考えたら、かなり貴重な機会に感じるな。


 ……多分、これから何度もありそうだけど。



 というわけで本日のメニューはトマトと夏野菜の冷製パスタ、生ハムを使ったマリネサラダ、竜田揚げだった。

 冷製パスタのソースは、トマトと夏野菜がかなり煮込まれているようで、これはメイが手伝ったんだろうな。


 ……そして、どう考えても最後のがソフィアが作った料理だろうな。

 リューナがドラゴンってのを聞いて、竜田揚げが食べたくなったのだろう。


 アキナは、まず料理が出てくるまでの早さに驚き、次に実際にその料理のおいしさに驚いてた。


「リューナとメイで作ったこのパスタ、野菜がトロトロになるまで煮込まれているわね……。それに、ちょっと酸味を効かせつつピリ辛になっているのも、暑い夏にぴったりだわ。後、パスタが少し固めになっているのもわざとよね?」


「夏はやはりさっぱりした物がよいと思い、このような味付けにさせていただきました。野菜に関しましては、本来であれば長時間煮込む必要があるのですが、メイさんのおかげで短時間でおいしく仕上げることができました。パスタに関しましてはその通りです。パスタソースの野菜が柔らかい分、麺の方で食感を感じるようにしてみました」


「やっぱりね! それと、このパスタソースに隠し味として……」


 続けて、ソースに使われている隠し味からパスタの太さ、スパイスなど、リューナが工夫した点を色々と挙げていった。

 ……流石はアキナだな。


 俺は、酸味とか辛さとかは分かったけど、隠し味とかは全然わからなかったな。

 もちろん、パスタはとっても美味しかったけど。


 ちなみにメイは、メイが手伝ったおかげ、とリューナが話した時には、誇らしげな表情をしていた。


「それと、この竜田揚げっていうのは初めて食べたわ! 最初見た時は唐揚げの一種かな? と思ったけど、衣が全然違うのね!」


「そうですね。こちらに伝わっている唐揚げは主に小麦粉を使った衣ですが、こちらの竜田揚げは片栗粉を使った衣になっています」


「……なるほど。とろみ付けに使われる片栗粉を衣に使うと、こういった食感になるのね」


 そう言った後、アキナは考え込むように口を閉ざした。

 一分ほどしてはっと我に返り


「あ、ごめんさない。うちの商会で商品化できないか、悩んでしまったわ。……というか、二人ともお店を出しても十分やってける腕前ね。もしもその気があるなら、私が資金を全部出すわ! それくらい、今日の食事はおいしかったわね」


 俺にはそこまでわからなかったけど、リューナの料理には様々な工夫がされていたみたいだもんな。

 おそらく、レシピも自分で考えたのだろう。


 それと、ソフィアの料理は毎回おいしかったし、言われてみれば確かにお店レベルかもしれない。

 けど……、


「ありがたい申し出ですが、お断りさせていただきます。今はハクト様の”ドラゴンメイド”をさせていただいておりますし、そのような立場が自分には適していると考えておりますので」


「そうですね。自分が食べたい料理を自分の為に作る、というのが私には合っていますので」


 まあそうなるよな。


 ……特にソフィアは、自分で作るのが面倒だからって理由であちこちにレシピを教えていたみたいだし。


「まあ、そうよね。二人とも、そういった感じではなさそうだものね。……というわけで、本題なんだけど……」


 と、商談に入っていった。


 結果として、どちらもレシピを無償で提供するということになった。

 ただ、アキナとしても、対価を出さないというのは自分の商人としての矜持(きょうじ)に反する! とのことで、その料理を提供するお店ではお金は貰わない、ということにしたらしい。

 ついでに、自分の提供したレシピが正しいか確かめに来てね、なんて、最低でも一度は食べてもらえるように(うなが)していた。


「……そういえば、魔界の名物料理って聞いたことがないわね。魔界からの食材はうちの商会でも輸入しているけど、それを使った料理のレシピは見たことがないわ」


 あ、アキナも流石に魔界の食事事情は知らないか。


「ああ、それはな……」


 と、この前魔皇の城で聞いた話をアキナに話してみた。

 それと、実際に食べた感想として、魔界の素材はほとんど加工しなくてもおいしいし、魔物によって様々な味や香り、食感を楽しめた、なんていうことをかいつまんで説明した。


「確かに、魔界の素材は上質な物が多いし、素材の味を生かした料理に使うことが多いわね。それに、栄養の心配がないなら、態々(わざわざ)他の食材を食べようとはしないのかしら? ただ、時間が経つにつれて少しずつ味が落ちてしまうから、熟成させる料理には使いづらいのよね。もしかして、魔界で料理があまり発展していないのはそう言った理由もあるのかしら」


 その話は知らなかったな。

 ……いや、もしかして、


「……おそらくなのですが、人間界は基本的に、魔界よりも空気中に含まれている魔力が少ないのです。そのため、素材から少しずつ魔力が抜けてしまっているのかもしれません」


「……なるほどね。魔界の食材は魔力が多いってハクトから聞いたし、それが関係している可能性は高そうね! ……そう考えたら、早く試したくなったわ! ……って、その前に今日ここに来た本題を聞かないとだったわ。料理がおいしくって、つい忘れてしまったわね」


 ということで、アキナは俺の予定を確認した。

 ソフィアは、異世界から来た俺のサポートは優先されるためいつでも大丈夫、と前にアキナに伝えていたようだ。


 そういえば、前にソフィアが言っていたな。


 それと、俺のサポートと言えば自分も、ということでリューナも参加する意向を示した。


 アキナとしては、まずは人間界組で集まってから、と考えていたみたいだ。

 けど、魔界について詳しい人がいるのは助かるということで、リューナにも同席をお願いすることになった。


 そのやりとりを見ていたメイは少し心配そうだったが、私も行く、とは言わなかった。

 ……人間界組の中に、一人だけ魔族が混ざるのが心配なんだろうか?

 いや、初めて学校に登校する子供ってわけでもないし、心配しなくて大丈夫だと思うぞ。


「明日、っていうのは流石に無理ね。……けど、皆の都合さえ合えば一週間以内に集まれるようにするから、そのつもりでお願いね! それじゃ、そろそろお暇しようかしら。改めて、今日のご飯はおいしかったわ! ありがとうね! レシピとは別に、今度お礼させて頂戴ね!」


 なんて言って帰っていった。


 あ、アキナに漫画について伝え損なっちゃったな。

実際には、唐揚げと竜田揚げは明確に定義されている、って感じじゃないみたいですね。


ソフィア「おいしいから大丈夫です」

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