第76話 今日から強力な協力を
魔道具の片付けをしつつ椅子を元の配置に移動させ、それぞれが席に座った。
「さてと。んじゃ今日の本題、ハクトの事について話し合うか」
ホムラがそう切り出し、今日の本題である俺の試練について……、ってあれ?
「それじゃあ最初の議題は、ハクト君が与えられた試練について、だね」
「ちょ、ちょっと待った! 今、最初って言ったけど、他にも俺についての議題があるのか?」
「そうだよ~! ハクトがこっちの世界に残れるなら、一度色々と話そうってことになったんだ~」
「色々と、ってそんなに話すことがあるのか?」
「まあまあ。それは後でいいじゃねぇか。そんじゃ、試練について話そうぜ!」
「……色々と気になるけど、まずはそうしようか」
うーん。
何かを隠してるっていう感じではないしなぁ。
なんというか、ただ後回しにしているだけというか……。
まあ話が進めばわかるし、とりあえずは試練についてだな。
ってそうだ!
「後で詳しく説明するつもりだったから、アオイに送った内容は色々と端折ってるんだ。だからまずは、それについて詳しく説明するよ。ええとだな……」
とりあえず、神様に叶えてもらう願いが、この世界と元いた世界を自由に行き来できるようにする、というもの、こっちの世界に残らない理由は元の世界にお世話になった人たちがいて恩返しがしたいことを説明した。
それと……、
「……ここにいる皆や、他にも出会った色々な人たちとお別れするのが寂しくて、そうしなくてもいいような願いにしたんだ」
と、ちょっと照れながら喋った。
それを聞いた皆は口々に、
「ボクもだよ~! まだまだ色々とやりたいことがあるんだからね!」
「だな! 飯屋も数えるほどしか行ってねぇし、まだ模擬戦もしてないしな!」
「そうだね。それに、まだまだ見せたい魔道具があるし、もっと一緒に魔道具を作っていきたいからね」
「私の武具に関してもそうね。……まだあまり付き合いは長くないけど、あなたと色々考えながら作るのは楽しかったわ」
「……もっと、漫画の感想を言い合いたい」
「そうですね。私の相談にものっていただけましたし、できればこれからもよろしくお願いしたいです」
なんて言ってくれた。
……照れ隠しかもだけど、ホムラはまだ模擬戦を諦めてないのね。
◇
それをきっかけに、俺と今まで何をしたか、とか今度はこんなことをしたい、こんな料理を食べさせたい、みたいな話で盛り上がった。
ただな、レイ。
おすすめのお酒を勧めてくれるのはいいんだけど、酒精がとんでもなく高いのはちょっと……。
もうちょっと、初心者向けなのでお願いします。
それとホムラ。
素材が高く売れる魔物とか教えてくれても、絶対に討伐しには行かないからな!
そんなこんなで話が弾んでいく中、
「そんで、ハクト。神様ってのはどんな存在だったんだ?」
なんてホムラから質問された。
神様についてかぁ。
うーん、何といったらいいのか……。
「まず、見た目は男装の麗人って感じだったよ。それで、話し方もどことなく芝居ががった感じだったかなぁ。最初は相手が神様ってことでちょっと萎縮してたんだけど、冗談を言ってきたり、願いを考えてくれたりと、思っていたより親しみやすかったな。帰りがけに、お土産なんかもくれたりして」
世界樹の新芽っていう中身でびっくりさせられ、実は箱の方がやばいやつで二度目のびっくりがあったなぁ。
……って、あれ?
「もしかしてとは思っていたが、やっぱり神様に会ってたのかぁ。……お土産までもらうとは、流石にオレも思ってはいなかったけどな」
そうホムラに言われ、気づいた。
本当は神様に会ったとは言わないでおこうとしたのに、ホムラからのさりげない質問で話しちゃったよ!
周りの皆もぽかんとしていたけど、
「……まあ、ハクト君だもんね。もう何があってもおかしくはないか」
「そうだね~」
「……噂には聞いていたけど、やっぱりハクトってすごいわね」
「驚きました……」
なんて言われてしまった。
……レイやヒカリにも、俺がそういう存在だって思われてしまってそうだ。
「……次は何をやらかすか、今から楽しみ」
……いや、メイ。
やらかす気はないので、期待しないでおいてもらいたい。
◇
その後も皆でワイワイと談笑していたのだが、
「……あの。そろそろ、本題に戻った方がいいのではないでしょうか?」
というヒカリの一言で、完全にどこかにいっていた議題に戻すことにした。
「こほん。それじゃ、試練を達成するために俺が考えたことをまずは挙げていくか」
と、まずは、一昨日色々と考えたことを伝えてみた。
魔界と人間界、それぞれの場所で有名な料理や本などを、もう一方で販売してみる、それぞれをモチーフにしたボードゲームを製作してみるというのはどうかと考えたこと。
交流が進んだり等で機会があれば、一緒に食事をしたりボードゲームとかで遊んで交流をする、ゴーレムファイトのルールをきちんとして、スポーツ大会みたいなものを開催するというができないか、等々を伝えた。
「今言ったことはあくまで現時点で思いついた内容だし、俺一人ではできない事ばかりだ。それに、俺が知らないだけで既に行われている内容もあるかもだし、そういったことを皆に相談したかったんだ」
後は、これもちゃんと言っておかないとだな。
「……だからな。俺の為に、俺の願いを叶えたいっていう俺のわがままのために、皆の力を貸してほしい!」
皆にもメリットがあることかもしれない。
けれど、結局は俺が俺自身のために達成する試練なんだ。
だから、それをきちんと伝えておかないとだよな。
皆からは口々に、当たり前だよ~と、とか、もちろん! みたいな感じで快諾してくれた。
……やっぱり、この世界に来て、そして皆と出会えてよかったな。
「それにな、ハクト。むしろその件については、オレたちが礼を言いたいくらいなんだ」
え?
確かに、俺の試練が達成できたら魔族と人間族が仲良くなれるかもだけど……。
まだ何も始まっていない段階なのに何故だろう?
「わからないって顔してるな」
はい、そうです。
というか、神様じゃないけど俺の心を読んでないか? って時がたまにあるよな。
……顔に出やすいだけですね、はい。
「試練って言うのは、与えられた本人が頑張れば達成できるものしか与えられない、っていうのは知ってるよな? ……俺たちが望んでいる魔族と人間族が仲良くする事。その切っ掛けをつくることが可能だと、神様に保証されたってことだ。しかも、ハクトに協力するだけで、な」
そっか。
そう言ってもらえると、肩が軽くなった気がする。
……。
あっ、ほんとだ~! なんて言っているハヤテはスルーしておこう。
「それなら、遠慮なく皆に頼らせてもらおうかな。魔皇が全員協力してくれるんだし、これはもう達成したも同然だな!」
その俺の言葉に、皆は力強く頷いてくれた。
あ、協力してもらうと言えば。
「そういえば、アオイに送ったような内容をアキナにも送ったんだ。そしたら、こっちもアオイみたいな感じのやり取りになったんだ。……だから多分、アキナも何か行動をしている気がするんだよな」
「ああ、その件ならアキナから連絡が来てたよ。ハクト君を読んで色々と話し合いをする予定だって伝えたら、その内容を伝えて欲しい、とも頼まれたね」
……やっぱり、アキナも協力してくれているんだな。
アオイといいアキナといい、すぐに色々と行動してくれて、すごくありがたい。
うん。
後で、アキナにもお礼を言わないとだな
もちろん、今日集まった皆にも改めてお礼を言わないとだな。




