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異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~  作者: やとり
第一章 知り合いが どんどん増える 一週間
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第15話 味噌汁が綺麗ですね

 一晩経って次の日。

 今日は確かホムラに魔法をまた教わる日だったな。

 戦うのは遠慮したいけど、新しい魔法が使えるようになるのは嬉しいし、今日も楽しみだ。


 あっ!

 その前に、念のためソフィアと連絡できるようにしておこう。



 教会に行くと、入口のそばにモニカがいた。


「あ! ハクトさん、おはようございます。 昨日焼肉弁当をいただきましたが、とってもおいしかたです! ありがとうございました」


 ああ、一昨日ソフィアと作った焼肉のたれを使ったやつか。

 モニカの口にも合ったようで何よりだ。


「それに、ソフィア様がまた何かを作った際には、感想が欲しいと言っていただけました」

 

 なんて嬉しそうに言っていた。


 モニカと、次は私が何か作りますね、とか、どのような物が好みですか? などと話していると、入口付近にソフィアが来ていた。

 目が合うと、こちらに来て


「すみません、邪魔をしてしまいました。確か、相手に料理を作る約束をするのは、異世界ではプロポーズのようなものでしたか」


「違う! ……とは完全に言い切れないけど、確か毎日味噌汁を作ってみたいに言う感じだったはず。それで意味は、ずっと一緒にいてください、みたいな意味だったかな?」


 多分そうだったと思うけど、正直自信はない。

 というかそんな昔の言い回し、何から知ったんだ?


 月以外でも何かを綺麗だな、とかいったら、プロポーズですか? なんて言われそうだ。


「ってそういうことじゃなくて。昨日の焼肉弁当のお礼に。何か作ってくれるって話をしていただけだ」


「そ、そうです。ソフィア様にもお礼として、何かお口に合うものが作れれば良いのですが……」


「そうでしたか。あまり好き嫌いはありませんので、ハクトさんと同じものでお願いします」


 俺とソフィアに、モニカが何か作ってくれることになった。

 そういや、女の子からの手作りを貰うのは初めてかも。

 異世界ってすごい!

 ……いや、異世界関係ないけど。


「あ、そうだ。昨日色々あって、リンフォンを手に入れたんだ。ソフィアとも連絡を取れるようにしておきたいんだけどいいかな?」


「ええ、かまいませんよ」


「あ、あの、ハクトさん。確かその魔道具は高価なものだったと思うのですが、購入資金は大丈夫だったのですか?」


 ソフィアと連絡先を交換しようとしたところ、モニカが心配そうに話しかけてきた。

 うーん、なんて説明すればいいんだろう。


「あー、えっとな。この街に人形を作ったり売ったりしているお店を知ってるかな? そこの店主の所で仕事をする代わりに購入してもらったんだ」


「あっ、少しですが知っています。腕の良い職人で、有名な商店からも多くの仕事を受けているらしいですね。だたその、とても職人らしい性格だと聞いていましたが、良く知り合えましたね。それに、そんな方のお手伝いができるというのもすごいですね」


「まあ、偶然みたいなものだったな。店先に飾ってあった等身大の人形を見ていたら、いつの間にか色々話が進んで気づけば、みたいな。仕事としては、商品の配置を整えたり、異世界人である俺の持つ情報を教えたりしたって感じかな」


 と話していると、ソフィアがいつもより真剣な雰囲気で


「ハクトさん。後で元の世界に帰るとはいえ、自分を安売りしてはいけません。自分のプライベートな情報を渡すのは良くないことです」


「俺の情報ってそれじゃないからね!? 向こうの世界の漫画やアニメだったり、それを立体化したものとかのイメージだから!」


「そうでしたか、安心しました。では登録しましょう」


 切り替えの早いソフィアがさっそくリンフォンを取り出したので、お互いに魔力を流し連絡をとれるようにした。


 それと、ついでにモニカとも交換しておいた。

 次はどんな発言をするんだろうとソフィアを見たが、不思議そうに首をかしげるだけだった。

 ここでは天然な発言はしないんかい!


 ちなみに、モニカはあまり連絡する用がないとのことで、従来品の魔道具を使っていた。


「それと、確認しておきたいことがありました。明日の予定は決まっていますか?」


 アキナやイズレからはいずれ連絡が来るだろうが、昨日の様子だとすぐに連絡は来ないだろうから大丈夫かな。

 ソフィアの用というのは、仕事の手伝いのお願いだろうか?


 ……イズレからいずれ。

 ちくしょう、気づいてしまった。

 うん、全部イズレのせいだ。


「連絡が来る予定はあるけれど、どっちも少し時間がかかりそうだったし、明日は問題ないと思う」


「そうでしたか。では明日の朝、9時までに教会にお願いします。準備はこちらでしておきますので」


「わかった。明日はよろしくな」



 話も終わり、そろそろホムラが来る頃か、と外に出ようとした所、いきなり教会の入口から誰かが入ってきた。

 そして辺りを見回すとこちらに気づき、


「見つけた! 君が例の異世界人、ハクト君だね。急ですまないが私に少し時間を貰えないかな。なに、ただでとは言わないので安心してほしい。内容に応じて様々な報酬を用意してある。さあ、まずは魔界にある私の工房に行こうか!」


 なんて、ダボっとした服に青緑色の眼鏡、短めな茶髪の美女が話しかけてきた。

 突然のことに驚いていると、すぐにホムラが飛び込んできた。


「おい! ちょっと待てって! っとすまねぇハクト。今日はこいつを紹介しようと思ったんだが、知識欲に負けてこうなっちまったらしい。……ふんっ」


 と、ホムラが彼女の頭に思いっ切りげんこつを落とした。

 こうかは いまひとつの ようだ。


 ……いや、落ちついたみたいだな。


「ふぅ、すまない。少し興奮してしまったようだね。私は地属性の魔族。こっちでの名前は持っていないから、彼女、ホムラのように名前をつけてもらえればありがたいかな」


 なんてこちらを興味深そうに見ながら言ってきたが、正直どう扱ったものかと思い、ホムラの方を見た。


「いてて。ったく、相変わらずの石頭だな。ああ、なんでこいつがいるかなんだが、オレが今日ハクトと会うと言ったら、こいつも会いたいと言ってな。こいつは魔道具を作る職人? 研究者? まあそういうやつなんだが、何でもハクトの元居た世界の道具とかについて色々聞きたいらしい」


 なるほど、俺の持つ異世界の知識を求めて来たってわけか。

 けど、こっちの世界にも似たような魔道具は色々あったし、参考になるようなものがあるのだろうか。


「うーん。節度とかを守ってくれればそれはいいんだけど、そもそも参考になるかな? この世界の魔道具って、俺の世界でも良く使われていたようなものが多くあるみたいだし。いくつか思い浮かんだ、こっちになさそうな物だと、高度な技術が使われていて、詳しい説明は全然できそうにないかも」


 スマートフォンの原理を教えて! とか言われても、ふわっとした説明しかできそうにないしな。


「ああ、それは理解しているよ。……そうだな。前にそちらの世界から来た安藤という人に会ったことがあってね。ただ残念な事に、彼に会った時は、最後の旅行として魔界に来たタイミングだったんだ。ただそれでも、彼とは魔道具のことで気が合って、スケジュールを調整することで半日ほど色々議論できたよ。それで、時間も少ないからと、主に向こうで使われている技術の話をしてくれたね」


 こんなところで安藤さんの話が出るとは。

 それと、魔界に観光っていうはいいな。

 ルールみたいなのがあるみたいだけど、どこかで申請すれば行けるのだろうか?


「ただその分、その技術が使われている道具については少ししか聞けなくてね。だから、次に異世界人に会えたタイミングでそのあたりを色々聞こうと思ったのさ。そのための魔道具も開発したからね」


 と一昨日も、昨日も見た、イメージを伝える魔道具を取り出した。


 彼女はあの魔道具の開発者なのか。それはすごい! ……けど、何というか。イズレもそうだけど、すごい技術とかを持っている人って、どこか変わったところがあるな。


「今日は軽い顔見せと、ハクトに名前を考えてもらうだけの予定だったんだがな。こいつは魔道具のことになると、たまに暴走することがあってな。今日もそうなっちまったみたいだ」


「いやはや、面目ない。最近行き詰っていたからか、自分で思っていたより理性を止められなかったみたいだね。けどさっき言ったことは本当さ。今日でなくてもいいから、是非とも私の工房に来てもらいたいね」


「実は昨日、魔道具の専門店に行って色々見たのもあって、工房って言われるとかなり気になるかも。けどホムラが先約だったから、次の機会でお願いしたいかな」


「ああ、オレの方は後でもいいぜ。それに今日でなくても、こいつが暴走してもいいよう、同行したほうが良さそうだ」


 その後話し合った結果として、工房に行くのは彼女がまた暴走しないよう今日の方が良い、という結論になった。


 というかホムラって、やっぱり面倒見がいいよな。

 なんとなく、損な役回りばかりしていそうだ。

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