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5話 発剣!!!

「おぉ!ルシェじゃないか!食堂に顔を出すのはいつぶりか!客を連れて来るのも初めてだ!ようやくアクージャ様の魅力に気づいたのか!嬉しいな。さぁ!祈りを捧げよう!」



食堂に入ると、長方形のテーブルの1番奥の席に座った太った男がグラスを持ち上げながらルシェを歓迎した。ゼーテ家の人々がいっせいにこちらを向く。


ショウはルシェとキヤメを扉に近い端の席に座らせ、ショウはルシェとキヤメの間に座った。


ゼーテ家の長女の地位なのにこの位置に座らせるのかとキヤメはルシェの冷遇ぶりを知った。


するとゼーテ家の人々は手を組み額の前に持ってきて目をつぶり



「神聖なるアクージャ様の血肉より生まれし糧を…」



とぶつぶつと語り出した。ルシェは俯いたまま動かず、ショウは手を組んだものの、ルシェの様子をじっと見ていた。するとキヤメが見たこともない豪華な料理が運ばれてきて、祈祷中のゼーテ家の人々とルシェとキヤメの前に置いていった。



「さぁいただこうか!」



1番奥の男が一喝し、人々はカチャカチャと音を立てながら食べ始める。


各々が会話をする中で、1日中何も食べていなかったキヤメは豪華な料理に舌鼓を打った。ルシェは俯いたまま動かなかった。



「ところで、客人は不思議な腕と目を持っているな。どうしたんだ?事故か病気か?」



太った男はキヤメに話しかける。



「あぁ、これは原因不明で、病気とかじゃ…」



「病気ならば!アクージャ様に相談するといい!あの方の奇跡は全てを解決してくださる!」



キヤメの言葉を遮り、太った男はアクージャ様とやらの魅力を語る。他のゼーテ家の人々も続々とアクージャ様についての話を喋り始めた。


キヤメはルシェから聞いていたよりも酷い信仰ぶりに唖然とし、ルシェはわなわなと震え始めた。



「そういえば、ルシェもアクージャ様を信仰するときたならば、いよいよ教会に報告をしなければならないな。我々は新たな時代を切り開いてい」


ガチャンッと大きな音が太った男の発言を遮った。


「いい加減にしてください!当主!!私は!アクージャなんて神を信仰するつもりは毛頭ありません!私はこの家から出ていきます!」


ルシェが立ち上がり、当主を指さして叫ぶ。


「お姉様、何を言ってるの?家から出るなんて。」


ゼーテ家の1人が喋る。


「創造神様を探す旅に出ます。あなたたちが私の神を否定するのなら、私もあなたたちの神を否定する。」


これを聞いたゼーテ家の一同は少しの沈黙の後どっと大笑いした。


「うふふっ、ルシェ、見ないうちに冗談が上手くなったのね。」


「冗談なんかじゃありません。母様。この人を見てください。この人の目の中の模様は、創造神様の魔法陣です。あなた達が汚した、おばあ様の本に載っていた写真と同じものです。」

「えっ!?俺!?」

笑い声が止んだ。突然話に巻き込まれたキヤメのフォークを操る腕が止まる。


「…旅に出るのは本気なのか?」


座ったショウが立ち上がってようやく同じ目線になったルシェに話しかける。


「本気です。お兄様。私はあなたと違って行動します。」


ショウの表情はキヤメからは見えなかったが、ルシェは震えながらも強く立っていた。


「私がいなくなれば、あなたたちは教会に改宗届けを提出できなくなりますよね。私が創造神様を見つけるまで、せいぜいアクージャ様でも信じていてください。」


ルシェそう捨て台詞を吐き、


「行きますよ」


そう言ってキヤメの腕を引っ張った。


走って扉を抜けようとした。が、すんでのところでバンっと勢いよく扉が閉まった。


「残念だなぁ、非常に残念だよ。ルシェ。我が娘。あんな発言をしなければ生かしてはおけたのに。今からでも、先程の発言を撤回してくれないか?そこの男を差し出して。」


当主は地の底にも響く低い声でルシェに呼びかける。扉を閉めたのは当主だった。


「誰があなたなんかの娘ですか!嫌です!!!」


ルシェはそう言って扉をこじ開けようとした。しかし、腐っても名家の当主である父親には適わなかった。ゼーテ家の人々が椅子から立ち上がり、ルシェの方に手を伸ばす。



ルシェがぎゅっと目を瞑り、追い詰められたその時


「ルシェ!すこし離れろ!」


キヤメが手を挙げ、光り輝く剣を召喚し振りかざした。扉は静かに崩れ去る。


「ええええええええ!?」


ルシェとキヤメは驚き叫びながら、キヤメはルシェを抱き抱えて階段を飛び降りた。






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