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閑話 最期の夜

俺が3歳の時だった。俺は兄になった。

ちなみに俺が3歳の時だった時の記憶はそれしかない。

だから、俺の人生は妹から始まったと言っても過言じゃない。

妹は真っ白の翼を生やして生まれてきた。何を考えたんだか知らないけど、3歳だった俺に、母さんと親父は妹の命名権を託した。

俺は妹に、キーズと名付けようとしたが、舌足らずでキージュになってしまった。でもどっちでも可愛いから、この事実は俺が墓場まで持っていく。


妹の真っ白な翼は、だんだんと力強い大地のような茶色になっていった。一緒に森に出て遊ぶとき、小さな芋虫やハエにもビビってたので弱虫弱虫からかったら、泣いちゃって困った。そして母さんに怒られた。


俺が12になる誕生日、キージュは金色の腕輪をプレゼントしてくれた。勇気を振り絞って親父と狩りに行ったそうで、初めてもらった報酬金で買ったそうだった。裏にはナイフで書いたんだと思う、短いメッセージが書いてあった。

『つよいあにきへ』

この言葉だけ俺は強くなれた。


それから、より一層訓練に励んで、俺は村一番の強者になった。それと同時に俺の腕は太くなって、腕輪をつけるのが難しくなった。だからチェーンを通して身につけられるようにした。どうしても離したくなかった。


キージュも立派に成長して、俺と親父に対してツンツンするようになった。それでも、俺がプレゼントした黒いリボンをずっと髪につけてくれていた。


腕輪を見せると恥ずかしがって怒るので、次第に服の中に隠すことが多くなった。



今日は久々にキージュと夜の偵察に出かける。最近変な魔物が出没するようなので注意して行かないと。キージュを何があっても守らないと。


「兄貴!!いくよ!」

「待ってよキージュ、今行くから!」


俺はいつものように腕輪を首にかけて夜の森に踏み入った。

第二章おしまい。次の章は「異界の民」だよ。


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