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幸せ

 瀬伶菜からのおねだりは…まさかの

 

「わたしと、なんちゃって恋人をして欲しいの。」

 というお願いだった。

 

 

 なんちゃって恋人…

 

 要するに恋人のフリをすればいいのだろう。

 

 …でもなんでそんなことを⁇

 

 オレはこの前あっさりフラれたわけなんだけど…恋人のフリって…オレがやっても大丈夫なのだろうか?

 

「瀬伶菜、恋人のフリってさ…何すればいいの?」

 

「それは…、手を繋いだりデートしたりイチャイチャしたりさ…」

 と言いながらオレを指でツンツンしてくる瀬伶菜。

 

「オッ…、ちょっと‼︎変なとこツンツンしないでよ!変な声でたわ」

「ふふ、面白い。で、いや?恋人のフリ」

 と大きな目でオレを覗き込む瀬伶菜。

 

 

 嫌なわけなくない⁉︎

 好きな人と恋人役とか、そんなの嬉しいに決まってるじゃん。

 

 でも…瀬伶菜はオレと付き合いたくないって言ってるのに、恋人のフリして欲しいって…いったいどうなっているのでしょうか⁉︎

 

 謎すぎる。

 

「あのさ、オレが恋人のフリするってことは、オレと手を繋いだり、デートしたりするんだよ?嫌なんじゃないの?」

 

「え、嫌なんかじゃないよ?むしろ、う…」

 と言いかけて目を逸らす瀬伶菜。

 

「う?なんで、う?でとまった?」

 

「あ、えぇとぉ…う、う…うさぎってかわいいよねー」

 と、あからさまに話を逸らす瀬伶菜。

 

 …まぁ、きっと事情があるのだろう。

 

「いいよ、恋人のフリ」

 とオレが返事をすると瀬伶菜は、両手を広げて、

「なら、お祝いにハグください。」

 とさっそくおねだりをされた。

 

 えっ?

 いいのっ⁇

 

 オレと付き合いたくないのにハグって…

 

 ‼︎

 

 わかった!瀬伶菜は、きっと恋人が欲しいんだな。

 

 で、その練習としてオレと恋人の練習ごっこをしてるってことか…。

 

 もしかして…瀬伶菜、好きなやつできた?

 

 …

 

 それは辛いわー……

 

 

 

 でも、そもそもがオレはもうフラれてるんだもんな。

 

 なんなら恋人のフリだけでもできるんだからありがたいか…。

 

 オレはそう考えて、瀬伶菜を優しくハグした。

 

 うおー‼︎

 

 幸せーー‼︎  

 

 一瞬にして、脳内から幸せホルモンが溢れ出した感半端ないっす‼︎

 

 

 瀬伶菜とのハグは、脳内で何回もフラッシュバックしたのは、いうまでもありません。

 

 

 フラれたけど、オレは最高に幸せです‼︎

 

 

 そんなオレたちは、なんちゃって恋人を開始したのですが、休日は今までも一緒にいたから、あまり変わらないのでありました。

 

 

 で、本日もいつものように一緒です。

 

 

「ねー、猫って人間のこと緑にみえてるらしいよ」

「マジかー。それ、おもしれーな。」

「ねー。なんなら、蜂とかは一人の人間がたくさん見えてるんだよね?面白くない?」

「おもしれー。それさ、本にしたら売れそう。これは、だれ目線から見えてる人間でしょう?みたいな本」

「あはは、面白いかも。なんなら、大きい動物からは、どうみられてるとかね」

「あ、いいね。それ」

 

 と、オレたちはくだらない話しで盛り上がるのでした。

 

 なんの生産性の無い話だと思っていた…

 

 でも、そのくだらない会話がのちにすごいことになるのでありました。

 

 

 続く。

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