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91_チャーハン

 美澪も大丈夫だと言っているので、琥太郎が美澪の妖気を丹田に集めて回すのを再開する。


「ふんんんんんっ、あふっ、うううっ…」


 美澪も、引き続き体を捩らせながら変な声を発して頑張っている。なんだか頬を赤くして、額からは既に汗がしたたっていた。

 琥太郎は、回転をさせるのを止めないまでも、時折補助を緩めて様子を見る。そこから、美澪が妖気を上手く回せずに散り始めたところで再びしっかり回す。これを10分ほど繰り返したところで、いったん休憩を挟んだ。。


「美澪、だいぶ辛そうな感じだけど本当にまだ平気なの?」

「うん、別に痛いわけじゃないから大丈夫。妖気がお腹の中で回ってるのは判るし、何かを掴めそうな感じもするから、もうちょっと続ける。琥太郎、またやって。」


 美澪に促されて再び妖気の回転を再開させた。

 すると今度は5分程で、琥太郎が補助を緩めても妖気の回転が止まらなくなってきた。


「あれっ、なんか出来始めたんじゃない?」


 そこからしばらく、琥太郎が補助を減らして様子を見ていたが、どうやら美澪1人でも安定して妖気を回せるようになったようだ。


「それじゃあ、さっきの手の平の時と同じように、妖気を更に集めながら回転を速めて、思いっきり圧縮してみて。」


 琥太郎がそう声をかけると、美澪がやはり体を捩りながら踏ん張り始めた。すると、しばらくして妖気が回転する速度が上がり始めた。


「おぉ、いい感じ。美澪その調子だよ。」


 琥太郎が美澪の中の妖気を観察していると、美澪はどうやら、妖気を回転させながら更に圧縮する妖気を増やしていく事にも成功しているようだ。丹田に集まっている妖気の濃度が回転とともにどんどん濃くなっている。既に先ほど手の平に集めて圧縮していた妖気よりも濃厚で強い妖気だ。


「ふんっぐぅっ…」


 美澪の表情がいよいよ辛そうになってきた。


「美澪、限界まで圧縮出来たら、それを手から外に出せる?」

「ふんんっ、ふんがぁっ…」


ドンッ


 美澪が、何かお腹の中の物を手から吐き出すかのように体を捩りながら、斜め上空に向けて妖気の塊を発射した。先程手の平で圧縮した妖気弾はソフトボールほどの大きさだったが、今回はバスケットボール位まで大きくなっている。しかも、手の平で圧縮した時よりも更に濃厚な妖気になっている。

 風音さんが陰陽師の修行の際に、霊気は丹田で練るように教わったと言っていたが、やはり丹田に「気」を集めるというのが効率が良いのだろう。


「おお、美澪、なんか丹田で妖気を練った方が、更に強力になってるよ。美澪はやっぱり凄いね。伝えた事をこんなにすぐに出来ちゃうとは思わなかったよ。」


 琥太郎が素直に美澪の事を褒めると、美澪はまだ肩で息をしつつも嬉しそうな顔をしていた。

 そこからしばらく丹田で妖気を練る練習を続けたが、風音さんの時と同じように、やはり最初の妖気の回し始めが難しいようだ。琥太郎が補助をして軽く回してあげれば、その後は美澪が回転を加速して一気に妖気を圧縮し、それを打ち出す事も出来るのだが、最初の回し始めだけがなかなかうまくいかない。


「ねえ美澪、そろそろお昼だし、休憩を兼ねていったん帰ろうか。今日は流伽がお昼ご飯を用意してくれるって言ってたしさ。」

「わかった。う~ん、でも、自分で出来ないのが悔しい。」

「いやいや、美澪の上達ってめちゃめちゃ早いと思うよ。」


 美澪は自分で妖気を回し始める事が出来ない事に納得いかないようだ。とはいえ、琥太郎が美澪に言ったとおり、ここまでの美澪の上達は風音さんと比べても相当早い。やはり美澪の戦闘センスが優れているという事なのだろう。

 公園を出る前に琥太郎が流伽にメールすると、すぐに返信が来た。


「今日はチャーハンだよ。下ごしらえは終わってるから、20分位で用意出来そう。今からすぐ作り始めるから、寄り道しないで帰ってきてね。♪♡るか♪♡」


 代々木公園から琥太郎の部屋への帰り道は、基本的に上り坂だ。そのため、来る時よりも少し時間がかかり、20分だとちょうどギリギリ位だろう。上り坂で、琥太郎が必死にロードバイクのペダルを漕いでいると、美澪が涼しい顔で走りながら琥太郎の横に並んだ。


「琥太郎は、やっぱりもっと鍛えなきゃだめ。」


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