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89_手の平で

 それを聞いて、美澪が再び手を上空に向けて試行錯誤を始めた。


「こないだ風音さんが霊気を練る特訓をした時にさ、風音さんは霊気を回しながら圧縮してたでしょ。美澪が妖気を撃ち出す時って、妖気がかなり強く圧縮されてるのはわかるんだけど、特に回転したりはしてないのね。だからさ、手を構えて手の平で妖気を圧縮しようとする時に、美澪も風音さんと同じように手の平で妖気を回転させたら圧縮出来ないかな。最初は補助するからさ。あっ、それと実際に撃ち出さないなら危なくないから、手は上に向けなくて前に構えていいよ。」


 琥太郎に言われたとおり、美澪が今度は手を前に構えて、手の平に集まっている妖気を圧縮しようと思考錯誤をはじめた。

 ここで琥太郎が美澪の正面に移動して立った。美澪がこちらに向けて伸ばしている右手の平に集まっている妖気を、向かって時計回りに琥太郎が回してみる。


「うわぁ、なんか動いてるのを感じる!」

「うん、今俺が、美澪の手に集まってる妖気をこっち向きに回してるからさ、美澪は妖気の動きをしっかり感じとって、まずは自分で妖気を回せるようになってみて。」


 琥太郎がそう言いながら、妖気を回転させる方向を、自らの手を回しながら美澪に伝える。

 そうして琥太郎が、妖気を回す、しばらくしたらいったん補助をやめる、といった流れを繰り返した。

 すると10分程したところで、琥太郎が補助をやめても、美澪が自身で霊気の回転を維持し続けられるようになった。

 更に10分程すると、琥太郎の補助なしでも美澪1人で最初から妖気を回せるようになった。


「凄いね、なんかあっという間に出来るようになっちゃったね。じゃあさ、今度は妖気を回しながら、思いっきりその妖気を圧縮してみてもらえるかな。」

「んっっっ」


 美澪が踏ん張るように小さな声を発する。すると、美澪の手の平の周りで回っていた妖気の回転が速まってきた。同時に、手の平の周りの妖気が圧縮されていくのが琥太郎にも判る。

 しばらくすると、妖気が手の平の中心あたりに小さく纏まり、かなり圧縮された状態になった。

 普段の美澪の妖気弾は野球ボール位の大きさなのだが、今美澪の手の平で回転している妖気はゴルフボール位の大きさになっていた。妖気が圧縮されている分、普段の美澪の妖気弾よりも濃厚で強い妖気の塊になっている。


「ねえ美澪、今手の平で妖気が凄く圧縮された状態になってるのは判る?」

「うん、なんかそんな感触が伝わってきてる。」

「そしたらさ、そのままもっと手の平の妖気を増やせないかな。」

「んっっっ」


ドッ


 美澪が再び踏ん張るように小さな声を発すると、美澪の手から妖気弾が撃ち出された。


「危ないっ!」


 少し離れたところにあるレンタル自転車の受付の小屋の方に撃ち出された妖気弾を、琥太郎が咄嗟に上空へと軌道を逸らして散らした。どうやら手の平で圧縮されている妖気に、更に妖気を追加しようとした際に、既に圧縮されていた妖気を暴発させてしまったようだ。


「おぉ、危ない危ない。取り合えず暴発しても危なくないように、あっちの斜め上の何も無い方に手を向けて練習しようか。」


 それから更に4~5発妖気を暴発させた後、どうやら追加で手の平に妖気を送り込む事にも成功したようだ。

 先程はゴルフボール位のサイズだった妖気の塊が、今は同じ濃度でソフトボール位の大きさにまで膨らんでいる。


「うわぁ、さすが美澪だね。これももう出来ちゃったみたいだね。それじゃあ、今手の平で圧縮させてる妖気を打ち出す事も出来る?」


ドォッ


 美澪が斜め上空に向けて、手の平で圧縮させたソフトボールサイズの妖気弾を撃ち出した。


「せっかくだからそれをちょっと受けてみようかな。」


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