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83_降参

「あのぉ…、もう、本当に観念して降参したので、お客様との守秘義務にあたる事以外は正直に話しますから、それを聞いて更に怒ったりしないでくださいよ。本当にもう…」

「う~ん、内容によって絶対に怒らないとは約束できないですけど、少なくとも隠し事をしたりとか、嘘をついたりしたら、それこそ本気で怒りますよ。嘘をついている時には、邪気とか悪気なんかを感じますから、嘘はバレると思ってくださいね。」


 琥太郎が祟さんにそう伝えていると、風音さんの視線を感じたのでチラっと風音さんの方を見てみる。すると、風音さんがちょっと驚いた表情で見ていた。


「琥太郎先輩って、嘘も見抜けちゃうんですね…。」


 嘘までわかると知って、風音さんがちょっと引いている。


「では、質問が何をしようとしてたかという事でしたので、それにお答えしますね。まずはとにかく、琥太郎さんと風音さんを呪術で拘束しようとしました。今日皆さんに訪問されて、いきなり呪具を燃やされちゃいましたから、それ以上の被害を防ぐためですよ。琥太郎さん達の訪問が突然でしたので、拘束した後の事は具体的にはまだ考えてませんでした。選択肢としては、徹底的に拷問して、2度と私に干渉しようなどと考えないようにするとか、遅効性の呪いをかけて、ジワジワ体調を崩して後日倒れてもらうとか、そんな感じです。」


 呪い屋などという商売を行っているだけの事はあり、事もなげにえげつない事を言っている。まあ、呪いという手法を取っているので、全ては不能犯(科学的には不可能だと思われる犯罪)扱いで、たとえ相手を殺してしまおうとも刑事、民事ともに罪に問われる事はないのだろう。


「その後の、あの壺に何かを入れたのは、俺達に対する攻撃ではなさそうでしたよね。」

「そうですね。あれは強い呪いを発動させる事で、依頼達成は無理でも一定の成果を上げる事を目指しました。もともとはジワジワと責める事をお客様もご希望されてましたので、じっくりと効かせるタイプの呪いを発動させてました。だけど、琥太郎さん達に危険を感じましたので、邪魔立てされて成果を上げられずに終わる前に、多少なりとも成果を残す事を選択したんです。呪いの依頼が失敗してお客様に報告する事になった場合には、多少でも成果があった方がお客様にもご納得いただきやすいですからね。ただ、最初の呪縛の術をレジストされた上に、その後の強化した呪いも防がれて、更には呪い返しや式神による攻撃や侵入を防ぐための結界まで破られるとは思いませんでしたよ。この部屋の防御の結界はかなり念を入れて張ったつもりで、それなりに自信も持っていたんです。あれを一撃で破壊して入ってくるとは、相当強力な式神をお持ちですね。しかも、先ほどチラリと窓の外に見かけたのですが、皆さんは妖まで使役してますよね。」


 祟さんは、ダディが結界を破って入ってきた事にもかなり驚いていた。琥太郎は比較対象を知らないのでよくわからないが、ダディはかなり強力な式神であるようだ。


「一応お伝えしときますけど、外に見えた妖というのは、別に俺達が使役しているとかそんなんじゃなくて、普通に友人達ですからね。使役してるなんて言ったら失礼になっちゃいますから、そこは訂正させてください。」

「それは失礼しました。それにしても、琥太郎さんはなんだかわからない術をお使いになりますし、風音さんも強力な式神をお持ちで、その上妖の友人までいるなんて、いったいどんな関係のみなさんなんですか。」

「別に特殊な団体とかそういうのではなく、基本的には単なる友人といった感じですよ。まあ細かい事は伏せさせてください。それと、ここからが本題なんですけど、最初にお願いした3点、俺の知人への呪いを解除して、今後一切手出しをしないでもらう事と、依頼主が誰か、そして依頼してきた理由についてを教えてもらう事、これらは承諾してもらえますか。」


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