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82_制圧

ボンッ!


 何かが投げ込まれると同時に、壺からも白煙が上がり、邪悪な妖気が大量にドッと噴き出した。それらの妖気は一気に窓の外に向かっていく。

 妖気が窓から外に出たところで、琥太郎がそれらの妖気を全て掌握し上空へと逃がして霧散させる。


パリンッ!


 その直後、窓ガラスが外から割られた。


バチバチバチ!

バチバチバチ!


 ダディが異変を感じて、窓ガラスを叩き割って部屋の中に入ろうとしているようだ。

 しかし、電気がショートするような音がして、中に入れずにいる。琥太郎の目には、窓に張られている結界が見える。

 ダディの後ろでは、美澪が滝井さんを抱えて50m程離れたところまで飛びのいていた。美澪も滝井さんを守るという役割をしっかりと果たしてくれていた。


「式神か?!」


 祟さんが割れた窓枠を見ながら叫んでいる。

 ここでダディが一歩後ろに下がり、正拳突きの構えを取る。


「フンッ!」

バリンッ!


 息を吐きながら窓枠に向かって中段突きを放つと、結界が砕ける音がして、そのままダディが中に入ってきた。


「はぁっ?! そんな…、結界が破られただと!」

「ダディ、まだ私は大丈夫だから落ち着いて!」


 風音さんがダディに声をかけると、ダディは風音さんの方に歩いてきて、風音さんとダディの前に立った。


「これは風音さんの式神ですか?という事は風音さんは陰陽師?」


 祟さんも不可視の妖や式神が見えるようで、入ってきたダディをしっかりと見据えている。


「祟さん、ちょっと、今のはどういう事ですか。先程の3つのお願いさえ聞いてくれればおとなしく帰るつもりだったんですけどね。」


 再びキャビネットの方へと後ずさりしながら移動しようとしていた祟さんの足を、琥太郎が「気」を使って拘束する。


「うへっ!」


 祟さんが、後ろに尻もちをついて、床から離れない足をなんとか引き剥がそうとしている。


「まだいろいろ持ってそうですね。」


 琥太郎がそう言うと、祟さんのジャケットから3か所、更にはズボンのポケットからも炎があがった。琥太郎が祟さんが隠し持っていた、霊気を帯びた呪具らしき物を全て燃やしたのだ。


「うわぁっ! やっ、やめてください!」


 祟さんから上がった炎は、10秒もしないうちに全て燃え尽きて消えた。


「祟さん、俺達の知人に危害を加えている上に、俺達にもこんな事するとは、完全に敵対するとみていいって事ですか。敵対するのであれば、危ないものは消し去っておかないと安心できないですね。」


 琥太郎はそう言うと、キャビネットが帯びている霊気を操作して、キャビネットの引き出しを開けた。すると、開いた引き出しからも即座に炎が上がった。更に琥太郎は怪しい素材が収められているキャビネットのガラス扉も遠隔操作で開けた。


「やめてください!何してるんですか?!その中の素材の価値がわかってるんですか!」


 祟さんが、動かせる上半身だけをキャビネットの方へ向けて叫んでいる。しかし琥太郎は全くそれを相手にする素振りを見せない。

 すると、ガラス扉の中に陳列されている素材の右下から小さな炎があがった。


「祟さんの呪いとか呪術に使う素材ですよね。敵対するなら俺達にその呪いが向けられるかもしれないのに、放っておいたら危ないじゃないですか。」


 琥太郎がそう言っている間にも、キャビネットの右下から上がった炎が少しづつ大きくなっていく。


「わかりました!わかりましたよ!! 参りました。降参です。すべて謝ります! だから、もうこれ以上は燃やさないでください。お願いします!」


 琥太郎がそれを聞いて、いったんキャビネットの炎を消した。


「祟さん、いろいろ聞きたい事はありますけど、まず今俺達にしようとした事を説明してもらえますか。とりあえず、もう一度座りましょうか。」


 そう言って琥太郎は拘束していた祟さんの足を開放した。あらためて琥太郎と風音さんが応接セットのソファーに座る。ダディはその風音さんの横に立った。祟さんも床から剥がれて動くようになった足を確認するように歩いてきて、ソファーに座った。


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