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77_髪の毛

 風音さんが滝井さんの事を心配しているが、確かに誰かもわからない状態で一緒に乗り込むのは危ないだろうと琥太郎も思う。


「滝井さん、普通の人からは見えない状態になってもらって、少し離れたところから確認してもらえないでしょうか。」

「わかりました。」

「一応、美澪がそばにいて、何かあったら守ってあげて。」

「わかった。」

「至近距離で呪いを受けるのは危ないですから、ここで滝井さんに流れてきている霊気を、形代に向かうように移しちゃいましょう。」

「了解。じゃあ俺が形代に、流れてきてる霊気を集めて流し込んでいけばいいんだよね。」

「はい、おそらくそれで移せるんじゃないかと思います。正確には、呪いの霊気が今は滝井さんに向かっているのを、一時的に形代に向かうように固定してしまう感じです。呪われている本人の髪の毛とか爪みたいな媒介を使わないので、長時間は難しいと思いますが、それでも短時間、一時的な身代わり位にはなるはずです。それと琥太郎先輩、私が祝詞を唱える時に、丹田に集まる私の霊気を以前のように少し回してもらってもいいですか。自分でも頑張れば出来るとは思うんですけど、まだまだ自分一人で回し始めるのだとすごく時間がかかっちゃって、それだといつになるかわからないです。」

「もちろん、それくらい全然かまわないよ。」


 風音さんがいつも斜め掛けで肩にかけている小さなポシェットから、はがきサイズの形代を取り出した。


「あのぉ、すみません、私の髪の毛を使うと、もっと上手くいきやすいんですよね。よろしければ髪の毛を使ってもらえませんか。」


 風音さんが形代を出して準備していると、突然滝井さんが自身の髪の毛を使うよう提案してきた。


「えっ、確かにそれなら身代わりの形代が出来ると思いますし、効果も単に霊気が向かう先を変えるだけよりも数段上がると思います。だけどそれだと、前に話したように妖である滝井さんの身に何か起きないとも限らないですし、私からもその気になれば簡単に危害を加えられる状態になってしまいますよ。」

「琥太郎さんや風音さん、そして美澪さんの皆さんが、本当に私の事を考えて行動してくださっているのを感じてます。だから、みなさんが私に対して何か悪意のある事をなさるなんて思っていませんし、私も風音さんの事を本気で信頼してお任せしたいと思ってます。ですが、私が妖である事によって、私自身に何か起きてしまう可能性というのは高いのでしょうか。」

「いえ、それは、これまで妖の身代わりの形代を作ったという話を聞いた事が無いので、あくまでも可能性としてお話しました。ただ、呪いと思われる行為は滝井さんに対して普通に発動しているようですので、おそらく人と同じように身代わりの形代も作れて、効果もあるだろうと考えてます。」

「それでしたら、やはり髪の毛をどうぞ使ってください。」


 そう言って、滝井さんが自分の髪の毛を10本位抜いて風音さんに差し出した。


「これで足りますか。」

「はい、十分です。では、遠慮なく使わせてもらっちゃいますね。」


 そう言うと、風音さんは受け取った滝井さんの髪の毛を形代に挟み込んだ。そしてポシェットから筆ペンを取り出すと、折った形代になんだか琥太郎には読めない文字を書いて筆ペンをしまった。


「これで、準備は出来ました。滝井さんから媒介に髪の毛をもらいましたので、これで本来の身代わりの形代が出来るはずです。」

「もしも何か危ない事が起きそうになったら、すぐに言ってね。滝井さんを何かおかしな霊気などから守る位なら俺に出来るはずだから。」

「もう、本当に心強いです。この場でこんな事言うのもなんですけど、これまで自分一人で身代わりの形代なんて作れた事ないですからね。祝詞とかやり方は完全に覚えてるので、ダディの時みたいに霊気さえきちんと練ればうまくいくと思ってるんですけど、初めての上に、滝井さんが妖である事を含めて心配はありますからね。」


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