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75_見える

 土曜日の朝、琥太郎が美澪と一緒に待ち合わせ場所の初台駅に行くと、既に風音さんと滝井さんも到着していた。そこから、近くのレンタカー屋さんへみんなで移動する。

 今回は、琥太郎が流れてきている霊気を見て追う事になるので、風音さんも運転出来るように琥太郎と風音さんの2人をドライバーとして登録した。


「すみません、私、一応免許は持ってるんですけど、ほとんどペーパードライバーなんです。ゆっくりしか走れないですし、あんまり細い道にも入れないです。ごめんなさい。」


 早速運転する事になった風音さんが、みんなに謝っていた。


「そんなの全然気にしないから、とにかく安全運転で行こうね。」


 ちなみに、滝井さんは免許を持っていないとの事だった。流石に妖である滝井さんが運転免許を取得するのは、手続き上いろいろと難しいらしい。

 座席は、風音さんが運転。霊気を見ながらナビをする琥太郎が助手席。後部座席に滝井さんと美澪が乗った。

 妖気は西から流れてきていたので、とりあえず甲州街道で西を目指す事になった。


「霊気が流れてきてるのが、ちょうどこっちの方角からで良かったね。取り合えず細い路地には入らずに、しばらくは甲州街道で行けそうだね。」

「はい、確かにそうなんですけど、なんか車線は狭いし、大きなトラックも多いので、やっぱり怖いです。私、京都の田舎道でしか運転した事が無いから、こんなに車が多い道だと車線変更するだけでも命がけです。」


 風音さんが命がけという事は、同乗者の他3名も命がけという事になる気がするのだが、琥太郎もそこには触れないでおくことにした。

 風音さんにも言ったとおり、幸いにも邪悪な霊気は甲州街道に沿うかのように流れてきていた。そのため、初台から調布あたりまではそのまま甲州街道を進む事が出来た。調布のあたりから甲州街道で向かう方向が、少し霊気の流れとずれてきたので、ここで甲州街道を離れて多摩川を渡った。そこから川崎街道に入り再び西を目指す。


「やっぱり結構遠いですね。」

「そうだね、なんとか東京の中で納まってくれるといいんだけどなぁ。」


 ここまでで、途中軽い渋滞もあり既に1時間近く経過している。しかし、まだ霊気の発信元らしき場所は見えてきていない。


「ちょっと休憩しようか。」

「はい、凄く緊張してたので、ちょっと一息入れさせてください。」


 そこで、コンビニに入って一休みする事にした。

 トイレに行って4人分の飲み物を買う。琥太郎が払おうとすると、滝井さんが慌てて全員分を支払ってくれた。


「私のために休日を使ってここまでしていただいてるのに、飲み物代くらい払わせてください。」

「ありがとうございます。だけど、そんなに気を使ってもらわなくても、俺らは大丈夫ですからね。」


 滝井さんがレジで支払いをする際、店員のレジの女の子も妖だった。滝井さんと一緒にいるのが、琥太郎と風音さんの人間2人だけでなく、不可視の美澪まで一緒にいる事に驚いた様子で、美澪と滝井さんと琥太郎達を何度も見返していた。風音さんも妖は判別できるので、キョロキョロしていた店員の女の子がおかしかったようで、目が合うと、ニコっと笑いながら軽く会釈していた。


「やっぱり普通に人の世界に入って生活してる妖ってたくさんいるよね。」

「さっきの女の子は一本ダタラでしたね。普通は山奥で生活してるはずなんですけど、こんな都会に出て生活してるのはめずらしいかもしれないです。最近は変わってきたのかなぁ。」


 一本だたらというと、人を襲う怖い妖だという話を琥太郎は聞いた事がある。しかし、さっきのレジの子は体格も華奢だし、そんな狂暴な感じの妖には見えなかった。やはりどの妖も個体差というのがあるのだろう。まあ、それを言うのであれば、人間も同じかもしれない。


「ところで、美澪さんは人に見える状態にはなれないのですか?」


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