69_妖と陰陽師
「そういう事か…。なんかいろいろ理解出来ました。俺に施されてた封印ってかなり強力で、封印が解ける前は、俺に近づいた妖は、頭痛とか吐き気とか酷かったみたいなんですよね。だけど、その頃も滝井さんは普通にマッサージしてくれてたから、それが不思議だったんです。その石のおかげで、滝井さんに俺の封印の影響が出てなかったんですね。」
「ああ、あれですね。影響はありましたよ。琥太郎さんのマッサージをしてる時は、いつもちょっと二日酔いみたいな感じになってましたから。琥太郎さんってどんな強力なお守りを身に着けてるんだろうって思ってました。」
やはり少なからず滝井さんにも琥太郎の封印の影響は出ていたらしい。それでも、その程度の影響で済んでいたというのであれば、この石の効力はかなり強そうだ。
「ちょっと僕だけだとわからない事も多いんで、知り合いにも相談した上で、また会えないですか。」
「はい、私としては、本当にここ最近体調が悪くて悩んでたんで、解決につながるならむしろお願いしたいです。ちょうど明日はお店もお休みなので、いきなりですけど明日はどうでしょう。」
「仕事があるのでそれが終わってからでしたら大丈夫です。19時に新宿駅はどうですか。」
「わかりました。なんか、私のためにどうもありがとうございます。」
明日の約束をして滝井さんと別れた後、お店の外で、滝井さんに向けて流れてきている邪悪な霊気をあらためて観察してみた。しかし、どこから流れてきているのかがわからない。ちょっと辿ってはみたものの、どうもかなり遠くから流れてきているようだ。仕方がないので、琥太郎もこの日はそこで諦めていったん帰宅した。
帰宅して美澪と流伽にも、今日あった事を話してみた。美澪はわからないとの事だったが、流伽は、それって呪いなんじゃないかと言っていた。確かに滝井さんを狙って流れてきているようだったので、言われてみればその可能性は十分ありそうだ。とはいっても、琥太郎も実際の呪いの現場など、これまで見た事が無い。しかし、呪いという事であれば、それは陰陽師の得意分野だと思われる。そこで、明日会社で風音さんに相談してみる事にした。
翌日、会社に出社してきた風音さんに、簡単に事の概要を説明したところ、風音さんの意見も流伽と一緒で、やはり呪いなんじゃないかとの事だった。会社ではあまり長話も出来なかったのだが、風音さんも夜は時間が空いているとの事で、急遽一緒に来てくれる事になった。
「「……突然陰陽師の関係者なんて現れたら、滝井さんに警戒されちゃうかなぁ。…」」
そこで、風音さんが妖を敵視していないという事を判ってもらう意味で、美澪も呼んでみる事にした。自宅にいる流伽にメールすると、流伽は美澪と一緒にゲームをしていたらしい。いつの間にか2人が仲良くなっているようだ。琥太郎にとっても、自宅内でギスギスされていたのでは居心地が悪いので、仲良くしてくれるのは嬉しい。流伽から美澪に今夜の事を聞いてもらうと、美澪もすんなり同席してくれる事になった。
夕方会社が終わり、風音さんと一緒に会社を出ると、会社の前で美澪が待っていてくれた。琥太郎は自転車を押しながら、3人で新宿駅まで歩く。そういえば琥太郎の筋肉痛は、昨日よりはかなりマシになっている。昨日の滝井さんのマッサージが効いているのは間違いなさそうだ。
待ち合わせ場所の京王線改札に行くと、既に滝井さんが到着していた。
「滝井さんこんばんは。お待たせしました。」
「琥太郎さん、まだ時間前だし、私も着いたばっかりですよ。」
「滝井さん、え~っと、一緒に相談にのってもらおうと思って、知人を連れてきちゃいました。幼馴染の美澪と、会社の同僚の風音さんです。」
滝井さんが、美澪を見て少し驚いた顔をしていた。琥太郎から妖が見えるという話は聞いていても、実際に妖を連れてきたのを見てあらためて驚いたようだ。
「あっ、はじめまして。滝井です。」
「はじめまして、風音です。突然お邪魔しちゃってすみません。」
「んっ、蛟…」




