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64_筋肉痛

 そのまま今日の夕方の稽古も終了となり、昨晩同様に宴会が始まった。

 清吉は子供達を捕まえて琥太郎と美澪の模擬戦の様子を尋ねながら、時折大笑いしている。子供達は、組手直後は少し苦しそうにしていたものの、すぐに復活して、今は美味しそうに焼き鳥を食べている。助松や分六も、来るのが少し遅かったとしきりにボヤいている。幼馴染達は皆、琥太郎と美澪の組手を見れなかった事が残念そうだ。

 十兵衛爺ちゃんも今朝の琥太郎達との朝の稽古の様子を皆に話しながら楽しそうに飲んでいた。

 今日も紬がたくさんの手料理を作って持ってきてくれていたが、やっぱり紬の料理は美味しい。

 こうして今日もみんなで楽しく飲み食いして、昨晩よりも少し早めにお開きとなった。


「おう琥太郎、早くまた帰ってこいよ。」

「またすっげえ武勇伝を楽しみにしてるからな。」

「琥太郎なら、今度は九尾あたりを倒しちゃうんじゃねえか。ははははは。」

「美澪、逃がしちゃダメだからね。しっかり捕まえとくんだよ。」


 別れ際に幼馴染達が、明日東京に帰る琥太郎と美澪に声をかけていく。


「みんなありがとう。みんなとこうしてまた会って話が出来るようになって本当に良かったよ。みんなも元気でね。」


 琥太郎が今日は最後まで残っていた子供達に近づいて、彼らにもお別れの言葉をかけた。


「みんなこれからも稽古がんばってね。みんなとの模擬戦も本当に楽しかったよ。」

「琥太郎は今度はいつ戻ってくるの?」

「まだ決めてないけど、今度のお正月か、来年のお盆になるかなぁ。」

「3人でまた必殺技考えておくから、また俺達と模擬戦して。」

「うん、楽しみにしとくよ。」

「早くまた来て。」


 最後にちょっとやらかしもしたが、子供達にもすっかり懐かれたようだ。

 十兵衛爺ちゃんや幼馴染との再会、妖の子供達との出会い、どれも琥太郎の心を温かくしてくれる素敵な時間だった。

 琥太郎が高校を卒業して君津を離れてから既に5年以上になる。帰省したいと思う事も年を経るごとに無くなっていった。しかし今回は、素直に早くまた帰ってきたいと思える帰省になった。この妖の里こそが、琥太郎にとっては本当の意味での故郷なのかもしれない。




「ほれ、朝じゃぞ。もう起きんか。」

「あっ、爺ちゃんおはよう。」


 翌朝も琥太郎達は爺ちゃんの声で目を覚ました。


「あ痛たたたたた、うぅ~…」


 起き上がろうとした琥太郎の全身に激痛が走る。いわゆる筋肉痛だ。普段東京では、会社までの通勤の自転車と、週1~2回の軽い水泳くらいしか運動をしていない。この2日間の稽古や、昨日の市街まで歩いての買い物などは、今の琥太郎には十分ハードな運動になっていた。


「もお、琥太郎は本当にもうちょっと体を鍛えなきゃだめだね。こんなんじゃ、すぐにお腹出てきたりしちゃいそうだよ。」


 結局、十兵衛爺ちゃん達の朝の稽古には一緒についていったものの、琥太郎は横で軽くストレッチしているだけにさせてもらった。

 その後、十兵衛爺ちゃんの家で美澪の作ってくれた朝食をとり、いよいよ琥太郎達は東京へ帰る時間となった。


「十兵衛爺ちゃん、本当にありがとう。会えて本当に嬉しかった。」

「儂も、またこうしてお主と話す事が出来て楽しかったぞ。また、たまにはこっちにも顔を出すんじゃぞ。」

「うん、また会いにくるよ。まだ決めてないけど、今度はお正月か来年のお盆かなぁ。」

「美澪も、ちゃんといい子にしておくんじゃぞ。」

「いつもいい子だもん。っていうか、もう大人だっていつも言ってるでしょ。」

「ははははは。それじゃ、二人とも元気での。」

「うん、爺ちゃんも無理な事しないで、元気でね。」


 こうして、爺ちゃんの家を出て、市街にある東京行の高速バス乗り場に歩いて向かった。

 途中にある、農協直営の物産店に立ち寄り、自宅で留守番している流伽のお土産を買う事にする。


「せっかくだから、地域限定お菓子みたいなのにしておくか。」


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