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39_ラグビー選手

 琥太郎がレジ袋を持って入口に向かったところで、再び貧乏神の爺さんが入口から駆け足で入ってきた。しかしその体は思いっきり左に傾いている。しかも、どうやらまっすぐ走れないようで、左側の壁に何度もぶつかっている。


「「……神様にも三半規管なんかあるのか?!…」」


 琥太郎がどうでもいい事を考えていると、貧乏神の爺さんは何度か左側の壁にぶつかった後に、今度は左肩と頭を左側の壁につけた状態で、そのまま壁をこすりながら五岡さんの元へと向かって行った。


「「……そっちには行かせないっつ~の!…」」


 琥太郎は貧乏神の爺さんが五岡さんの元にたどり着く前に、再び神気を操作してスーパーの外へと放り出す。もう面倒臭いので、ぐるぐる回したりなどはせずに、そのままダイレクト放り出しだ。

 貧乏神の爺さんも、目が回っていたのは回復したようで、外に放り出されてもすぐに立ち上がりダッシュで五岡さんを目指す。五岡さんはよほど貧乏神の爺さんに気に入られてしまっているらしい。

 琥太郎はスーパーの入り口付近の壁に貼ってあるチラシを見ているフリをしながら、五岡さんを目指してスーパーに突入する貧乏神の爺さんを外の商店街の道路まで放り出すという作業を続ける。すると5~6回目位で、五岡さんを目指して走っていた貧乏神の爺さんが、琥太郎の脇を通り過ぎた直後に鋭いステップで直角ターンをしたかと思うと、ジャンプして琥太郎にしがみつこうとしてきた。


「うわぁっ!」


 貧乏神の爺さんの突然の予想外の動きに、琥太郎もびっくりして思わず声を出しながらジャンプして爺さんを避けてしまった。


「「……こいつ、今のって俺に取り憑こうとしやがっただろ…」」


 突然声を出して飛びのいた琥太郎の横では、ちょうどスーパーにやってきたおばちゃんがびっくりしていた。


「えっ、何?何々?!」

「あっ、えぇ~と、ごめんなさい、勘違いでした。なんでもないです。すみません。」


 おばちゃんを驚かせてしまった琥太郎が慌てておばちゃんに謝罪すると、おばちゃんはまだ不安なのか、琥太郎のまわりをキョロキョロと警戒しつつもスーパーへと入っていった。

 おばちゃんがスーパーに入っていったのを確認して琥太郎が後ろを振り返ると、琥太郎に避けられた貧乏神の爺さんは5m程離れた位置に立って、物凄い形相で琥太郎を睨んでいる。


「「……もう、こうなっちゃったら今更だよね…」」


 さすがに琥太郎も「私には見えていません」という体裁は諦めて、こちらを睨んで立っている貧乏神の爺さんを睨み返す。

 時間にすれば20秒もないだろうか。お互いにじぃっと睨みあっていたところ、貧乏神の爺さんが琥太郎を睨んだまま、少しづつ後ろへと後ずさりを始めた。


「「……ん?…」」


 少しづつ後ろに下がって距離をとる貧乏神の爺さんの様子を琥太郎が用心深く伺っていると、10m程琥太郎から離れたところで貧乏神の爺さんが止まった。そして、その場で軽くステップを踏み始めたかと思うと、突然琥太郎に向かって猛然とダッシュしてきた。


「「……何っ!…」」


 それを見た琥太郎がすかさず身構えると、琥太郎にまっすぐ向かってきていた貧乏神の爺さんが、琥太郎の3m程手前で突然横に大きくステップを踏んで左右に切り返した。


右!、左!、右!


 見た目はボロ雑巾のようなヨレヨレの爺さんのくせに、そのステップはまるで現役ラグビー選手のようにシャープで切れのある動きだ。

 さらに連続切り返しの直後、貧乏神の爺さんはそのまま琥太郎の足に向かって頭から飛び込んでくる。それはまさに、相手ゴールラインに飛び込んでトライを決めようとするラグビー選手のような動きだ。


「「……ふざけんなコノヤロー!…」」


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