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155_討ち入り?

「いやぁ、実は俺達も、琥太郎兄さんが纏ってた結界が無くなったのを見て、うちのアカとアオも一緒にあっちの通りで兄さんを攻撃しちゃったんっすよ。もちろん、瞬殺で返り討ちっすわ。」

「はぁ? あんた達もそんなバカやってたのかい? 本当あんた達、琥太郎君に殺されちゃわないでよかったわね。」


 なんだか綾乃さんが物騒な事を言っている。しかし、今しがた琥太郎が本気で怒ったところを目にしたばかりでは、それも当然かもしれない。


「いやぁ、だってそん時は琥太郎兄さんがこんな正真正銘の化け物だったなんて思ってもみなかったっすからね。そんで、そん時に兄さんが以前に纏ってた結界のせいで迷惑をかけたからって、うちの組の連中に詫びを入れたいなんて言いだしたんすよ。それで事務所に兄さんをお連れして…、その後は、まあ兄さんの討ち入りみたいなもんっすわ。」

「ちょっとミック! 討ち入りなんて誤解を招くような事言うのやめてよ。」

「事務所に入ってすぐにエニシ姐さんを黙らせたかと思ったら、そのまま親分を除いたらうちのトップの、酌威の兄貴まで倒しちまうんっすもん。そんなんもう無茶苦茶っすわ。あっ、一応、酌威の兄貴を倒したっていうのは内密って事になってますんで。」

「いや、ちゃんと真摯に頭下げてお詫びしてたじゃん。エニシさんのはなんか成り行きっていうか、仕方なかったっていうか…。それに、酌威さんのだって、あれは模擬戦が中断しちゃっただけで、別に勝負がついてたわけじゃないから。もう、本当外でそんな事言わないでよ。」


 ムギとミックは内密だなどと言いつつ普通に話しているが、それでいいのだろうか。


「なんか一つ目(一つ目小僧)の野郎だけあいつバカだから、俺は兄さんと引き分けたなんて大法螺吹いてやがりましたね。」

「兄さん達が帰った後だって、大変だったんすよ。兄さんが地下室の天井をぶち破って表の道路に大穴開けちまうし。道路が爆発したってんで大騒ぎだったんすから。」

「普段は来た事がない人間の警察なんかまでやってきて、しばらくは俺達までその対応に追われてたっすよ。」

「あぁ、なんか花園組の前の道路が爆発したって話は私もお客さんから何度か聞いたわよ。あれって琥太郎君がやらかしてたんだ。」

「えっ、いやっ、俺がっていうか、地下で酌威さんの攻撃を弾いたら天井に穴が開いちゃったっていうか、だから仕方ないというか…」


 琥太郎は必死に弁明を試みたのだが、琥太郎がやったと言われると結果的にはその通りなのかもしれない。しかし、ムギとミックが話を盛ってるというか、変なニュアンスで話すせいで、これではまわりには琥太郎が完全に事務所に乗り込んで暴れたようにしか聞こえないだろう。


「もぉ、ムギもミックも、別に嘘をつけとまでは言わないからさぁ、せめてそんな、俺が組に殴り込んだみたいな変なニュアンスで話すのはやめてよ。ところで、なんかこんな話になっちゃったところで相談しにくいんだけど、あの時最後に水虎の美澪って女の子が入ってきたでしょ。それでその時に美澪も模擬戦をって話になってたと思うんだけど、あの話ってまだ大丈夫かな? 美澪がやっぱり模擬戦をしたいって言ってるんだよね。」

「えっ、全然問題無いっすよ。」

「そもそも、うちの親分も琥太郎兄さんと模擬戦をしたいから連れてこいって言ってるんっすわ。だから、もちろん兄さんも一緒に来てくれますよね。」

「もちろん、美澪が行くなら一緒に行くけど、それって、やっぱり俺も模擬戦しなきゃダメなのかなぁ…」

「そりゃぁ当然っすよ。俺も親分と兄さんの大一番を見るの楽しみにしてるんすから。」

「酌威の兄貴との一戦を見逃しちまったのが本当に悔やまれますからねぇ。あん時は、琥太郎兄さん達と一緒に、無理言ってでも地下について行くべきでしたわ。」


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