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135_ドローン

「式神って、模擬戦開始前に先に顕現させちゃってていいのかな?」


 風音さんが琥太郎と美澪にたずねてきた。


「式神ってダディの事でしょ? 別に構わないよね、美澪。」

「うん。問題ない。」

「え~っと、今回はダディ以外にも考えてるんだけど…」


 風音さんがダディ以外にも式神を使うようだ。先日風音さんが自信ありげに「私だって修行して進化してる」と話していたが、どうやら式神を複数同時に使役して戦うようだ。


「私は問題ない。風音が全部準備してから開始でいい。」


 美澪は風音さんにそう言って、ニヤリと笑みをこぼした。美澪も更に進化した風音さんと対峙するのが嬉しそうだ。


「美澪ありがとう。じゃあ、遠慮なく先に準備させてもらっちゃうね。」


 風音さんはそう言うと、まずいつものようにダディを顕現させた。

 次に、2枚の形代を道路に置いて祝詞を唱えると、2枚の形代が同時に黒い物体へと変化した。丸くて平たいそれは、ロボット掃除機のような見た目だ。しかし次の瞬間、そのロボット掃除機のような何かが空中へと浮遊した。


「えっ、ドローン?!」

「ふふふ…、美澪との模擬戦用に考えた、今回の秘密兵器です。それと、私自身に結界も張らせてもらっちゃいますね。」


 風音さんはそう言って更に4枚の形代を取り出して祝詞を唱えた。すると、風音さんを覆うように三角錐の形状の結界が張られた。


「前回、術者である私自身が無防備なのは問題かもと思って、戦闘中は私自身にも防御結界を張るようにしてみたんです。」

「風音さん凄いよ!ダディを顕現させられるようになったばかりなのに、もうそんなにいろいろ出来るようになっちゃったの?」

「全部琥太郎先輩のおかげですよ。霊気を練る事が出来ずに無駄に霊気を拡散させちゃってたのを、きちんと霊気を練って無駄なく形代に届ける事が出来るようになったおかげで、術の幅も一気に広がりました。」


 以前に風音さんが、自身の霊力はかなり多い方らしいと話していた。一般的な陰陽師の霊力がどの程度なのかを琥太郎は知らないが、もしも風音さんに普通以上に多い霊力があり、それを効率よく使えるようになったのであれば、かなり優秀な陰陽師になれるという事ではないだろうか。琥太郎も風音さんの新たな式神や結界術を見て、いよいよ美澪との模擬戦が楽しみになってきた。


 二人が左右に分かれた位置で、向かい合って立つ。それを見て、咲蔵が倉庫に結界を張った。


「じゃあ、二人とも準備はいいかな。」

「はい。」

「うん。」


 海から穏やかに流れてくる微風が、対峙する二人の髪の毛を僅かに揺らした。


「はじめ!」


 琥太郎の開始の合図と同時に、美澪とダディが距離を詰めるように前に走り出す。そして美澪は、走り出すと同時に、風音さんのドローン型式神に向けて斬撃を放った。


ザシュッ! ザシュッ!


 しかし風音さんのドローン型式神は、2機ともに機敏な動きで美澪の斬撃を躱した。さらに躱しながら、逆に美澪に向けて砲撃を放ってきた。


ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ


 美澪は、飛んできたドローンからの砲撃を左右のステップで躱しながらダディに向かう。

 美澪とダディとの距離が5m程に近づいたところで、ダディがその拳を振りかぶった。同時に、美澪はダディの顔面に向けて妖気の連弾を放つ。


ドドドドドッ


 ダディは振りかぶっていた拳を急遽顔面へとまわし、上段受け(上げ受け)で飛んできた美澪の連弾を払った。しかしそこには、ジャンプして飛び上がった美澪の蹴りが、既にダディの鼻先へと迫っていた。


「ふんっ!」

ダンッ!


 ダディは自ら美澪の蹴り足へと頭を突き出し、その蹴りを硬い額で受ける。そして、蹴りを受けられた美澪が着地するところを狙い、2機のドローン型式神から砲撃が放たれた。


ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ

ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ


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