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134_複数枚の形代

 模擬戦を行う品川埠頭の最寄り駅である天王洲アイル駅まで電車で移動する。途中のコンビニで、蔵ぼっこの咲蔵さくらが好きだと言っていたポテ○ングを購入した。


「琥太郎先輩、お腹空いたんですか?」

「あっ、これ、お土産。模擬戦してるところにある倉庫に、咲蔵っていう、蔵ぼっこの妖がいるんだよね。模擬戦中は倉庫を傷つけないようにって事で、倉庫に結界を張って守ってくれたりして迷惑かけちゃってるから、お土産を買っていくの。」

「へぇ~。やっぱり琥太郎先輩って本当に凄いですね。私も妖を見る事は出来ますけど、普通はそんなに妖の知り合いが増えたりはしないと思うんですよね。妖にも好かれるって、琥太郎先輩の人柄なのかも。」

「うん、琥太郎は凄い。君津の妖もみんな琥太郎が好き。」


 風音さんが琥太郎を褒めたところ、美澪もそれに同意して便乗する。


「う~ん、別にそんな凄い事なんて何もしてないんだけど…。妖の知り合いが増えるのはきっと、美澪と一緒にいるからだよ。」


 そんな話をしながら、咲蔵のいる倉庫の前に到着した。


「咲蔵~、居る?」


 琥太郎が倉庫に向かって声をかけると、倉庫の入り口横から咲蔵が出てきた。


「あっ、琥太郎と美澪。こんばんは。」

「咲蔵こんばんは。また今日も模擬戦してお騒がせしちゃうけどごめんね。あと、はいこれ、お土産。」


 琥太郎がそう言って、買ってきたポテ○ングを渡した。


「ありがとう! これ大好き。」


 ここで、咲蔵がふと風音さんの方を見た。


「この人が、こないだ話した風音さん。陰陽師の修行中の人だよ。」

「こっ、こんばんは。」

「こんばんは。風音です。」


 咲蔵が少し怯えた様子で、風音さんの方を見ている。立ち位置も僅かに琥太郎の方に近づいている。


「咲蔵、風音さんは大丈夫だってば。美澪だって風音さんと一緒にいるでしょ。風音さん、咲蔵はね、風音さんが陰陽師の関係者だって聞いて風音さんの事を警戒してるんだよ。」

「えっ、そっか。そうですよね…。なんだか余計な心配をさせちゃってごめんなさい。」

「僕の事祓ったりしない?」

「そんな事しないですよ。私が直接攻撃されたりしたら、戦わなきゃいけない時もあるかもしれないですけど、直接攻撃されたり、何か悪い事をしているところを見かけたりしなければ、むやみに妖の皆さんに何かをしたりなんかしないです。そもそも私、そこまで強くないですから。だから、何て言うか…、私にも普通に接してくれると嬉しいです。」

「わかった。琥太郎の友達だし、風音も信用する。」


 まだ100%安心している感じではないが、咲蔵も風音さんに対する警戒をある程度解いたようだ。

 美澪が風音さんの「そこまで強くない」という発言に、一瞬少しだけ反応していた。


「よし、それじゃあ準備するか。」


 琥太郎がそう言って、カバンを咲蔵の倉庫の前に置くと、カバンからいつものケミカルペンライトを取り出した。


「えっ、準備って琥太郎先輩、それ何ですか?」

「あぁこれ、オタ芸とかで使うケミカルペンライト。これ、軽く捻じ曲げると発光するんだよね。美澪達が模擬戦で戦闘をすると、妖気弾を撃ったりして発光する事があるでしょ。だから、他の人が近づいてきた時にこれを発光させて、ダンスの練習をしてたって事にしようと思ってさ。」

「えぇっ、それって、ちょっと無理があるような…」

「う~ん、だけど、まあ何も言い訳が無いよりはマシでしょ。」

「確かにそうですけど…、まあそうですね。」


 なんだか風音さんが琥太郎の言い訳の信憑性というか説得力に疑問を感じてはいるようだが納得していた。

 琥太郎が咲蔵と一緒に倉庫の前に立って待つ。

 美澪と風音さんは倉庫の前の広い道路に歩いて進み、25m程距離を開けて正対して立った。一応そこは道路ではあるが、夜間はほとんど車も通らない。

 ここで、風音さんがいつもの斜め掛けのポシェットから形代を複数枚取り出した。


「「……あれっ、風音さん、今日は形代を何枚か使うのかな…」」


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