表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

127/171

126_お札

 美澪が最初祓われそうになったと聞いて、咲蔵が慌てている。


「祓われそうになんかなってない。あれで祓われそうになったなんて、それは侮辱。あんなの攻撃ですら無かったもん。」

「あははは…、ごめんごめん。」


 琥太郎と美澪のやり取りを、咲蔵がキョトンとしながら聞いている。


「風音さんは俺の会社の同僚なんだけど、以前に美澪が会社まで来た事があるんだ。それで、美澪は普通は人からは見えないからさ、いつもみたいに俺にくっついてたんだけど、妖が見える風音さんがそれを見て、俺に妖が取り憑いてると勘違いしたんだよね。それで突然美澪に攻撃してきたんだ。だけど、その頃の風音さんはあまり強い式神を顕現させる事が出来なくてさ、結局何も出来ずにその時は終わったんだよね。その後にきちんと美澪の事を説明したから、今では美澪と風音さんは友達だよ。」


 当時の風音さんが使役して、美澪を攻撃してきたベレーさん達だが、戦闘態勢に入った美澪には近づく事すら出来ずに消滅していた。それからすると、ダディを顕現出来るようになった風音さんの進歩は凄いと思う。風音さんは更に新しい技だか策を考えているようだが、琥太郎もそれを見るのが今からちょっと楽しみだ。

 風音さんが陰陽師の関係者である事を聞いて怯えていた咲蔵も、琥太郎の話を聞いてようやく少し安心したようだ。


「それじゃあ咲蔵、今日もありがとう。また明後日お邪魔しちゃうけどよろしくね。」

「琥太郎達のおかげで自分の結界の弱さを知れて良かったよ。今日はお土産までもらっちゃったし、どうもありがとう。僕が琥太郎達にお礼であげられる物ってあんまり無いんだけど、良かったらこれ使って。」


 そう言って咲蔵が琥太郎に小さなお札を1枚渡してきた。小さなお札だが、しっかりと妖気が込められているのを感じる。


「このお札を琥太郎が住んでるお部屋に貼っておくと、地震とか火事がおきても部屋が守られるんだ。僕が作ったんだよ。今日は琥太郎と美澪に結界を破られちゃったけど、普通の地震とか火事くらいなら、このお札できっと大丈夫なはずだから、よかったら使ってみて。」

「えっ、ありがとう。だけど全然たいした事してないのに、こんなに凄いものもらっちゃっていいの?」

「うん、これくらいならすぐ作れるから。それに、本当に悪い人とか妖から攻撃を受けたり、凄く大きな天災でもこない限り、自分の結界の弱さを教えてもらえる機会なんて無いからさ、今日の体験は僕にとって凄く貴重だよ。」

「そっか。咲蔵には凄く迷惑をかけちゃってるから、少しでも咲蔵のお役に立てたなら俺も嬉しいよ。それじゃあ、これはありがたく使わせてもらうね。」


 咲蔵からお札を受け取り、あらためてお礼を言って琥太郎達は品川埠頭をあとにした。


「美澪の新しい突きだけど、週末に練習していた時よりも更に威力が上がってたね。咲蔵の結界を破った時のは、俺も見ててちょっと驚いたよ。もう実戦の中でも普通に打てるようになってたし、美澪はやっぱり凄いよ。」

「今日、琥太郎との実戦の中で、更にコツとかタイミングみたいなのが判ってきた。技を開発出来たのももちろんだけど、全部琥太郎のおかげ。」


 あらためてこうして美澪からお礼を言われると、なんだか気恥ずかしい感じがする。


「風音さんも新しい技だか策があるみたいだし、明後日が楽しみだね。」

「うん。何がきても私が勝つ。琥太郎に教えてもらった新しい突きがあれば負けない。今日咲蔵に教わった妖気の結界の盾も役に立つ。」


 美澪はそう言って、歩きながら突きの動作をしていた。美澪も明後日の風音さんとの模擬戦が今から楽しみなようだ。


「美澪とダディの模擬戦だと、今回もかなり激しい展開になるだろうね…。俺は周りに被害が出ないように気を付けとかなくちゃなぁ。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ