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125_祓われる

ダンッ!

パリンッ!


 美澪の放った突きは、咲蔵の張った結界の真ん中に穴をあけて突き刺さった。その美澪の拳から、纏っていた徑と妖気がそのまま結界の向こう側に撃ち出される。そして、30m以上まっすぐ飛んだところで霧散した。その直後、真ん中に穴を開けられた咲蔵の結界も、形状を維持する事が出来ずに、砕けるように割れてそのまま霧散した。

 結界を打ち破った後に美澪の拳から撃ち出された徑と妖気の勢いからすると、週末に琥太郎と一緒に練習していた時と比べても、更に威力が上がっているようだ。


「うぅ…、美澪にまであっさりと結界を破られちゃった。僕、結界には自身を持ってたのに、ちょっと己惚れてたのかなぁ。」


 琥太郎に続いて、美澪にまで結界を破られてしまった咲蔵が、なんだか悲しそうだ。


「美澪は妖としてかなり強い方みたいだから、咲蔵がそんなに落ち込む事ないと思うよ。それに、美澪の今の突きの破壊力って、間違いなく普通の妖ではだせない威力だよ。」

「なんか慰めてくれてありがとう。僕は、自分の結界なら大抵の攻撃は防げるはずなんて思ってたんだけど、それは間違いだったって判ったよ。もっと強い結界が張れるように練習する事にする。それが判ったのも琥太郎と美澪のおかげだから、やっぱりありがとう。だからまた、二人とも、たまにここに来てね。」

「いつも突然やってきて、咲蔵に倉庫の心配をさせちゃって申し訳なく思ってるのに、なんだかそう言ってもらえると嬉しいよ。こっちこそありがとう。それで次回なんだけどさ、明後日の金曜日に早速またお邪魔させてもらおうと思ってるんだ。なんか立て続けに申し訳ないんだけどいい?」

「うん、もちろんいいに決まってるよ。琥太郎と美澪に会えると僕も嬉しいよ。」

「ありがとう。それと次回なんだけど、俺と美澪の他にもう1人増える予定なんだ。陰陽師の見習いみたいな女の子というか女性なんだけど、倉庫は傷つけないようにするからよろしくね。」

「えぇっ! 陰陽師?! 大丈夫なの? 僕祓われたりしない?」


 咲蔵が陰陽師と聞いてかなりびっくりしている。やはり普通の妖は陰陽師が来るとなると、かなり警戒するようだ。先日はマッサージ師の滝井さんのところに風音さんを、事前に何も伝えずに連れていってしまったが、やはりきちんと説明してからの方が良かったのかもしれない。


「うん、風音さんっていうんだけど、それは全然大丈夫だよ。風音さんは実家が陰陽師で、風音さんも陰陽師の修行をしていたみたいなんだけど、本人曰く見習いを落ちこぼれたって言ってた。だけど、最近はかなり強い式神を顕現させられるようになったから、明後日はその式神と美澪が模擬戦をする予定なんだ。美澪は以前にも風音さんの式神と模擬戦をした事があるんだよ。風音さんも妖にはちゃんと理解がある人で、他の妖の知り合いにも会ってもらった事があるからさ、咲蔵も全然大丈夫だよ。なんか余計な心配をかけちゃってごめんね。」


 琥太郎の話を聞いても、咲蔵はまだちょっと不安そうだ。咲蔵が確認するかのように美澪の方を見る。


「風音は平気。妖だからってむやみに祓ったりしない。こないだも風音は蛟の妖を助けた。」

「えっ、陰陽師なのに妖を助けるの?」

「う~ん、陰陽師の修行からは落ちこぼれたって言ってたから、風音さんはまだ陰陽師では無いんだけどね。知り合いの妖が人間に呪われちゃってたんだけど、陰陽師は呪いの専門家だからさ、陰陽師の知識がある風音さんにいろいろ助けてもらったんだよね。だから、少なくとも風音さんはいい妖を祓おうとしたりなんかしないよ。咲蔵はとってもいい妖でしょ。だから全然問題ないし大丈夫だよ。あっ、でも、美澪は最初祓われそうになってたか。ははは…」

「えぇ!」


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