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124_美澪と勝負

「俺の場合は、どちらかというと強い攻撃を与えるというよりは、結界の妖気を霧散させちゃって結界を解除させちゃうみたいな感じの方が得意かな。だけど、咲蔵は強い攻撃に対する強度が気になってるみたいだから、まずはちょっと強めの攻撃を当ててみるよ。」


 琥太郎はそう言うと、右掌を咲蔵の張った結界に向けた。その直後、琥太郎の体内だけでなく周辺に漂う「気」が琥太郎の掌に集まり圧縮されていく。すると、琥太郎の右掌がすぐにうっすらと光り始めた。


「う~ん、たぶんこの位で大丈夫だと思うけど…、一応保険をかけてもうちょっと強めにしとくか。」


 琥太郎がそう言って、更に周囲の「気」を掌に集めて圧縮した。見た目にも更に輝きが増したのがわかる。


「じゃあいくよ。」


ズダンッ!


 琥太郎が掌から撃ち出した「気」弾は一瞬で咲蔵の張った結界を粉々に打ち砕くと、全く勢いを殺される事もなく、そのまま道路に沿って真っすぐに飛んでいった。


「やばっ!」


 慌てて琥太郎がその「気」弾を上空へと逸らして霧散させる。


「おぉ、危ない危ない、誰もいなくて良かった。やっぱりもうちょっと気をつけなきゃ危ないな。」


 琥太郎が冷や汗をかいている横で、あっけなく結界を破壊された咲蔵が呆然としている。


「琥太郎って、こんなに強かったんだ…。それとも、僕の結界がまだまだなのかなぁ…。」

「琥太郎が強いんだよ。琥太郎より強い妖なんていないんだから。」


 琥太郎の後ろに立っていた美澪が、ちょっと誇らしげに咲蔵に答えていた。


「ねえ琥太郎、さっきの琥太郎の話だと、今みたいな攻撃以外にも、結界を壊しちゃうっていうか、結界を破る技があるって事?」

「う~ん、技って程じゃないけど、結界の元になってる妖気を散らして結界を無くしちゃう感じかな。」

「もう琥太郎にかなわないのは判ったから、勉強のためにそれも見せてもらってもいい?」

「えっ、うん、問題ないよ。」


 咲蔵がまた軽く深呼吸して、強めの結界を張った。先程の結界ほどではないとはいえ、これも結構強そうな結界だ。


「じゃあやってみるね。」


ボワンッ


 琥太郎がそう言うと、咲蔵の張った結界が一瞬で霧散して消えて無くなってしまった。


「えぇっ~! こんなにあっさりと消されちゃうの?」


 咲蔵が再び呆然と立ち尽くしている。


「咲蔵、なんか自信を無くさせちゃったみたいでごめん。」


 呆然と立っていた咲蔵が、琥太郎の後ろに立つ美澪の方をちらりと見た。


「美澪も凄く強そうだけど、美澪も僕の結界を破れるの?」

「うん。たぶん問題ない。」


 美澪にそう返された咲蔵が、じっと地面を見つめて何かを考えている。


「せっかくだから、美澪とも勝負してみたい。」

「ふふふっ、それは望むところ。」


 咲蔵が大きく数回深呼吸をした。そのまましばらくじっと瞑想をした後に、再びギュッと目を閉じてその場で踏ん張りはじめた。すると、咲蔵の隣にすぐに結界が出現した。今回も咲蔵は本気で結界を張ったようで、濃厚な妖気を感じるかなり強そうな結界だ。


「ふぅ ふぅ・・・、 さっき琥太郎に攻撃してもらった時のも本気だったけど、これも僕の本気の結界だよ。美澪には負けたくない。」

「咲蔵には負けない。」


 美澪が咲蔵の張った結界の前に歩いて進む。そこで軽く足を開いて中段突きの構えを取った。


「ふぅ~…… ふんっ」


 美澪が軽く息を吐いてから拳を突き出す瞬間、美澪の後ろ側の足の裏で爆発が起きるかのように徑が発生した。その徑が全身の動きに反応するかのように、鋭く回転しながら足をとおり丹田のあたりを通過する。すると、丹田で強烈に圧縮されて練られていた妖気を絡めとるかのように混ざり合い、回転速度を更に上げて美澪の拳へと到達する。そして、この徑と妖気を纏った拳が咲蔵の結界へと突き刺さった。


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