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122_使い方

 琥太郎が接近戦のため身構えるが、美澪はそのすぐ脇をすり抜けるように通り過ぎる。そして、琥太郎の真後ろで急停止しながら体を反転し、琥太郎へと中段の突きを放ってきた。しかも、その足元には爆発するかのように徑が発動している。

 美澪が再び徑を発動させているのを感じ取った琥太郎が、体を反転させながら全力で「気」の防御を張る。武術の技術的な受けが間に合わないと悟った琥太郎が、「気」の防御だけで美澪の突きを受ける。文字通り気合だ。


ズドーンッ!


 琥太郎の鳩尾付近に、美澪の徑に妖気を纏わせた新しい突きが突き刺さる。しかし、全力で「気」の防御を張った琥太郎は、先日代々木公園で美澪の突きを受けた時のように後ろへ吹き飛ばされる事は無かった。


「はぁっ!」


 そして、突きを放った直後の美澪に向けて、右手の平で掌打しょうだを放った。その手の平には、圧縮された琥太郎の「気」が纏われている。


ドンッ!


 琥太郎の掌打をモロにくらった美澪が派手に吹き飛んだ。今回は受け身を取る事も出来ずに地面を転がる。


「うわぁっ、美澪! 大丈夫?!」


 琥太郎に吹き飛ばされて地面を転がった美澪だが、一呼吸おくとハンドスプリングの要領ですぐに起き上がった。しかし、すぐに片膝を地面についてしまい、少しきつそうだ。


「結構きついの入れちゃったけど、大丈夫?」


 琥太郎が再度美澪にたずねると、美澪は肩で息をしながらうなずいた。


「うん。だけど、今のはかなり効いた。」


 琥太郎がすかさず、周囲に漂っている美澪の妖気を集めて美澪の身体へと戻していく。


「いや~、だけど美澪は、もう完全に戦闘の中で普通にあの突きを打てるようになってるね。やっぱり凄いや。さっきはいつも以上に本気で防御したけど、それでもちゃんと衝撃が伝わってきてたよ。」

「昨日までは、ここまで対応出来てなかった。琥太郎との模擬戦で集中したら上達してた。やっぱり琥太郎と模擬戦をして正解。」


 美澪は実戦の中でスキルアップしていたようだ。さすが感覚派の美澪だ。そんな話をしていると、咲蔵がふたたび琥太郎達の元へとやってきた。


「なんだか凄い戦いを見せてもらっちゃった。それにしても、やっぱり琥太郎の強さは不思議だね。それと、美澪もめちゃめちゃ早い上に、結界まで操れるなんてびっくりした。」

「結界は、琥太郎の普通の攻撃を受けただけで簡単に破壊された。琥太郎の攻撃を受けるなら、結界を2枚以上重ねて張る必要がありそう。だけど、それだと少し対応が遅れる。」

「美澪は結界を重ねて張ったりも出来るんだね。やっぱり器用だなぁ。だけど、さっきの結界は1枚だけでも凄く強そうに見えたよ。1枚だけの強度でも、使い方をちょっと工夫すれば簡単には破られないんじゃないかなぁ。」

「使い方?」

「うん。さっき美澪は、琥太郎の攻撃を、全部結界の正面で受けてたでしょ。正面で受け止めちゃうと、いくら強い結界でもあんまり耐えられないんだよね。真正面で攻撃を受け止めるんじゃなくて、斜めにして横とか上に受け流して使うんだよ。」


 咲蔵が美澪に結界の使い方のアドバイスをしてくれている。蔵を結界で守る妖だけあって、結界に関してはいろいろと頼りになりそうだ。


「それとね、出来れば結界自体に少し丸みを持たせるといいと思うよ。そうすれば、真正面で攻撃を受けても、自然と攻撃を受け流せるからね。僕が蔵に張ってる結界も、蔵を包むように丸みを帯びたドーム状になってるでしょ。こうやって、なるべく外からの攻撃を受け流すようにしてるんだよ。」

「丸み? やってみる。」


 少し回復した美澪が、さっそく目の前に結界を張った。その結界は、先ほどのような平な板状ではなく、真ん中が軽く盛り上がるように丸みを帯びていた。


「そうそう、美澪はやっぱり器用だね。今言った事がもう出来ちゃうんだもん。」

「琥太郎、さっきの攻撃をこの結界に当ててみて。」


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