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119_視線を遮る

 一応今日も、先日の模擬戦の際に用意したケミカルペンライトを出しておく。途中でもしも誰かが近づいてきた時には、これを持ってダンスの練習をしてたという事にする。妖気弾などの光が見られた時の言い訳用だ。


「一応僕も倉庫に結界を張っておくね。」


ボワンッ


 咲蔵が倉庫の前に防御用の結界を張った。その瞬間、倉庫側からかなり強い妖気を感じる。


「んっ、かなり強い。」


 美澪も咲蔵が張った結界を見て、そこから感じる妖気の強さに反応していた。


「これってかなり強力そうな結界だよね。咲蔵ってやっぱり凄く強い妖なんだね。」

「そんな事ないよ。僕は全然強くないよ。蔵を守るために張れる結界がちょっと強いだけで、僕自身はあんまり強い攻撃とか出来ないもん。」


 そういえば、前回初めて咲蔵に会った時に、琥太郎は咲蔵からお腹を壊すおまじないと称して攻撃を受けてはいる。お腹の弱い琥太郎にとっては、それは確かに恐ろしい攻撃ではあるのだが、とはいえ、妖からの攻撃としては決して強力な攻撃では無かった。


「なんかお騒がせしちゃう上に、結界まで張ってもらってありがとう。」

「うん、どうせもう暇だし。僕も琥太郎と美澪の模擬戦をここで見てるね。」


 咲蔵は倉庫の前で琥太郎達の模擬戦を観戦するらしい。

 琥太郎が見た感じでは、咲蔵が張った結界があれば少々の妖気弾位なら問題なく耐えられそうだ。しかし、咲蔵の結界ありきというのではなんだか申し訳ないので、模擬戦では当初の予定通り咲蔵が張った結界にも攻撃が当たらないようにするつもりでいる。


「じゃあ美澪、始めようか。」

「うん。」


 そう言って、美澪が前回同様に琥太郎から25mプール1つ分位離れたところに立った。


「じゃあ、俺はいつでもいいから、美澪のタイミングで攻めてきていいよ。」


 琥太郎が美澪にそう言うと、美澪が大きく息を吐いた。

 肩幅に足を開き、まっすぐに立っていた姿勢からストンと肩が落ちる。

 軽く猫背の態勢で、両腕はぶらりと下に垂らされたままだ。

 美澪が戦闘に集中した時の姿勢だ。

 ジッと静かに琥太郎を見据えていた視線が一瞬ブレる。その瞬間、姿が消えたかと思うようなスピードで真っすぐに琥太郎に突っ込んできた。

 それを見た琥太郎は自身の前に「気」の盾を作りだし構えた。美澪は正面の琥太郎に真っすぐ突進しながら、琥太郎の視線の高さへ妖気弾を撃ってくる。

 琥太郎は「気」の盾を軽く斜めに構え、飛んできた妖気弾を上空へと全て弾いた。すると、妖気弾の後ろから琥太郎の足元にむけて美澪の爪の斬撃が飛んできていた。


「「……妖気弾の使い方が上手いな。的確に視線を遮るように撃ってきてる。…」


 琥太郎は妖気弾の裏から飛んできていた爪の斬撃も、「気」の盾を軽く斜めにして海側へと弾いてしまう。

 するとここで、爪の斬撃の真後ろから迫ってきていた美澪が、琥太郎の右側へとほぼ直角にターンした。そして、横移動しながら再び琥太郎の顔面に向けて妖気弾を連続して撃ち出してきた。琥太郎がそれらの妖気弾をこれまでと同じように上空へ弾くと、妖気弾の陰でいつの間にか琥太郎の左側へと移動してきていた美澪が琥太郎へと突きを放ってくる。


「おっ、速い?!」


 その瞬間、美澪の後ろ側の足の下に爆発するかのようにエネルギーが発せられるのが琥太郎の目に入った。週末に琥太郎と練習していた美澪の新しい突きの際の徑だ。

 琥太郎が咄嗟に「気」の防御を普段以上に強化する。同時に、美澪の視線が捉えている、自身の鳩尾の前で腕をクロスして、十字受けの構えをとった。しかし、美澪から放たれた突きは、美澪の視線が捉えている琥太郎の鳩尾ではなく琥太郎の顔面へと向かってきた。


「やべっ!」


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