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118_ポテ○ング

 結局琥太郎もまた美澪と模擬戦をする事になった。一応風音さん達との模擬戦との前に1日あけて、水曜日の夜にやはり品川埠頭へと出かける事にする。そんなこんなで流伽との食事は、今週はなんだか忙しそうだとの事で来週という事になった。


 水曜日は、また夕方に会社の前で美澪と待ち合わせをした。さすがに模擬戦では美澪の姿は見えない方がいいという事で、美澪も最初から可視化はしていない状態だ。

 品川埠頭で模擬戦をする場合、倉庫に住んでいる蔵ぼっこの妖の咲蔵さくらに心配をかけてしまいそうだ。そこで、新宿駅の駅ビルに入っているお団子屋さんで、咲蔵にお土産のお団子を購入した。咲蔵の好きなものが判らなかったが、蔵ぼっこのイメージから、なんとなく洋菓子ではなく和菓子にしてみた。

 美澪と電車を乗り継いで天王洲アイル駅で下車し、歩いて品川埠頭へとやってきた。先日美澪と模擬戦をした、咲蔵いる倉庫の前にカバンを置いて、咲蔵を呼んでみる。


「咲蔵~、いる?」


 すると、閉まったままの倉庫のドアをすり抜けるようにして咲蔵が顔だけ出した。


「あっ、琥太郎と美澪だ。」

「咲蔵こんばんは。」


 琥太郎と美澪を見て、顔だけしか出していなかった咲蔵が、そのままドアをすり抜けて外に出てきた。


「こんばんは。」

「またこの倉庫の前で美澪と模擬戦をさせてもらおうと思って来たんだ。今日もまたお騒がせしちゃうけどごめんね。」

「倉庫を壊さなければいいよ。」

「ありがとう。なんか咲蔵に心配をかけちゃって申し訳ないと思ってさ、これ、お詫びにお団子を買ってきたから、よかったら食べて。」

「ありがとう。」

「咲蔵の好きなものが判らなかったんだけど、咲蔵はお団子好き?」

「うん、大好き。」

「やっぱり和菓子が好きなの?」

「う~ん、甘い食べ物とかお菓子は好きだけど、別に和菓子だけが好きっていうわけじゃないよ。和菓子でも羊羹ようかんとか落雁らくがんはあんまり好きじゃないし。和菓子だと、お団子とか柏餅とか桜餅なんかは好き。あと、どら焼きも好き。普通にケーキとかクッキーとかチョコも好きだよ。甘くないお菓子だと、ポテ○ングは超好き。じゃ○りこはちょっと硬いから、ポテ○ング派なの。」


 やはり今どきの妖が好きなのは、別に和菓子に限らないようだ。


「へぇ~、だけど、咲蔵はそういうのどこで食べるの? 咲蔵も可視化して人から見える状態になって買い物に行ったりするの?」

「ううん、僕は買い物とかには行かないよ。倉庫の事務所の冷蔵庫とか棚にいつもお菓子が入ってるんだ。そういうのをいただいちゃうの。会社の人たちも、社員の誰かが食べたんだなって感じで、別に不思議には思わないみたい。」

「えっ、蔵ぼっこって凄く良い妖のイメージがあったんだけど、盗み食いとかもしちゃうんだ。」

「うぅ…、そう言われちゃうと、何も言い返せないんだけど…。だけど僕、いつもお掃除してるし、火が消えてなくて危なそうなタバコの吸い殻は僕が消してるし、倉庫の中の崩れそうな荷物とかは僕が直してるし、地震の時なんかは中の荷物とか家具を全部結界で守ってるし、結構いろんなお仕事をしてるんだよ。」

「えぇっ、そんなにいろいろやってるの? だったら、ちょっと位お菓子が無くなっても、絶対に咲蔵がいてくれた方がいいね。」


 なるほど。蔵ぼっこがいるとその蔵のある家は栄えて、いなくなると衰退すると言われてるらしいが、実際にそれだけの働きをしてくれているらしい。


「それじゃあ、絶対に倉庫は壊したり傷つけたりしないように気を付けるから、今日もここで模擬戦をさせてもらっちゃうね。」


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