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109_スパルタ

 取り合えず滝井さんに電話してみたのだが、施術中との事ですぐに話をする事が出来なかった。もしかしたら今夜滝井さんに会える可能性もあるので、美澪には夕方には一度戻ってくるように言っておいた。

 その後一休みしてから再度滝井さんに連絡をしてみると、今夜は大丈夫であるとの事だった。美澪と一緒に伺ってよいかを聞くと、滝井さんも先日のお礼を兼ねて美澪にも会いたいと言ってくれた。そこで、夜の一番最後の時間にマッサージの予約を入れさせてもらった。連休のこの3日間、琥太郎はなかなかアクティブな生活を送ったと思う。さすがに疲れも感じているので、是非ここは滝井さんの妖気入りスペシャルマッサージでリフレッシュしたい。

 今夜は滝井さんと夕飯を食べてくる事になりそうなので、流伽にも今夜の夕飯は無しでお願いしておいた。なんだか流伽だけ留守番になってしまって悪い感じがするので、せめて何かお土産でもと尋ねると、流伽からはいつものようにヤンヤーヤビスケットだけお願いされた。これだけ食事や掃除でお世話になっておいて、それだけというのもなんだか申し訳なく感じてしまう。


「ねえ流伽、もしも流伽がよければ、今度流伽も一緒に美澪と3人でご飯食べにいかない?」

「う~ん、そうね…、たまには一緒に行ってみようかな。」

「本当? 流伽とも一緒に出掛けられるなら嬉しいな。流伽は何を食べに行きたい?」

「せっかくだから、リクエストをちょっと考えておくね。誘ってくれてありがとう。」


 以前は外に出るのはあまり好きじゃないと言っていた流伽だが、昨日は琥太郎と一緒に食材の買い出しに出かけたり、今日はこうして外食のお誘いを受け入れてくれるなど、流伽の中でもいろいろと変化があったようだ。もちろん、元来の引きこもり体質は変わっていないと思われるが、琥太郎や美澪と行動をともにしてくれるようになってくれたのは嬉しい。

 食後、流伽が押し入れに戻った後、琥太郎は軽くシャワーを浴びてから、一休みしようとベッドに入った。ベッドでゴロゴロしてスマホを見ていたら、気が付けばそのまま寝落ちしていた。

 目を覚まして時計を見ると、既に夕方の5時だ。


「「……はぁ、なんかやっぱり疲れてるなぁ…」」


 一応目は覚めたものの、なんだか体がだるいので、そのままベッドでゴロゴロしていると、そのうちに、約束したとおり美澪が帰ってきた。


「あっ、美澪おかえり。」

「ん、琥太郎また寝てる。」

「なんかこの連休は頑張ったから疲れちゃった。」

「琥太郎はやっぱり鍛え方がたりない。」


 なんだか以前と比べて、美澪がスパルタになってきた。まあ確かに、たいした運動はしていない気がするのだが、この3日間の活動で、今週も体のところどころが軽い筋肉痛になっている。学生時代に比べると、かなり体がなまってきているのは間違いないので、鍛え方が足りないと言われても否定は出来ない。


「美澪はどう? 練習で何か成果はあった?」

「少しづつ徑と妖気を纏った突きを発動させる時間を短縮出来てはきてる。だけど、まだ今のままでは実戦で使うのは難しい。どうしても突きを打つ瞬間に、一瞬溜めが必要になってしまうけど、実戦でこれを待ってくれる相手はそういない。」

「だけど、少しづつ短縮は出来てるんでしょ。じゃあ、これからが楽しみだね。」

「琥太郎、今夜はみずちのところに行く?」

「あっ、うん、滝井さんも美澪に会いたいって言ってたよ。今夜19時からマッサージの予約をとってあるから、美澪も一緒に行こう。」

「うん。蛟から可視化の方法を教わる。」


 先日、滝井さんが美澪に可視化のコツを教えてくれると言っていたが、美澪はそれをかなり楽しみにしていた。琥太郎としても、美澪が滝井さんのように、他の人からも見える状態になれた方が何かとありがたい。何より美澪と一緒に、まわりの目を気にせず普通に外出や外食など出来るようになれたらそれは嬉しい。


「美澪はちょっと埃っぽいから、滝井さんのところに行く前にシャワーを浴びちゃいなよ。」


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