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108_直接打ち込んで使う

「おお、流石にここまで近づくと、かなり威力はあるね。とはいえ、やっぱり直接受けた突きとは比較にならないかなぁ。「気」の防御をある程度しっかり張ってるっていうのもあるとは思うんだけど、それでも入ってくる威力自体が全然違う感じがするなぁ。」


 この距離であれば、丹田で妖気を練って撃ち出した妖気だけの妖気弾よりも威力はある。とはいえ、先ほど直接受けた突きの衝撃が凄すぎただけに、ちょっと物足りない感じがしてしまう。


「ねえ美澪、もう一度確認したいから、今の徑と妖気を同時に発動させた突きを、また直接俺に打ちこんでみてくれない?」

「うん、わかった。」


 琥太郎があらためて美澪の正面へと立った。美澪もあらためて突きの構えをとる。


「ふぅ~…… ふんっ」

ブオォッ

ズサッ


「うぉぁっ!、やばいやばい、これはちょっとでも油断すると絶対駄目なやつだ。ふぅ~。やっぱり直接受けると物凄い衝撃だわ。」


 離れた距離で何発かもらった突きの威力が弱かったため、少しだけ油断していたようだ。今の突きでは、危うくまたしてもダメージをくらうところだった。


「美澪、この突きは完全に直接打ち込んで使う技だね。離れてると、本来の技の特性が活かされないというか、完全に死んじゃってる感じだった。相手に直接拳を触れる事で、相手の体の中に徑と妖気の威力が浸透するみたい。直接打ち込んだ時の破壊力は、忖度抜きに間違いなく超やばい攻撃になってる。」


 先日、酒呑童子の酌威さんの超大型の妖気弾を琥太郎は受けているが、ピンポイントでの破壊力なら美澪の今の攻撃の方が上だろう。とはいえ、人よりももっと大きな標的を破壊するのであれば、酌威さんの妖気弾の方が、今の美澪の攻撃よりも遥かに強力だ。このあたりは、攻撃対象との相性なども出てきそうだ。


「わかった。それなら、接近して当てる練習をする。」


 美澪は、先ほど距離を取った琥太郎からの評価が低かった事にショックを受けていたが、直接打ち込んだ際の威力に関しては絶賛されて元気になったようだ。

 そこから美澪は、技の発動スピードを上げる練習を行っていた。相手に直接突きを打ち込むためには、技の発動スピードを上げるとともに、多少不安定な体制やさまざまな動きの中で今の突きを打てるようにならなくてはならない。美澪はそのための練習を早速始めていた。今まで全くダメージを与える事の出来なかった琥太郎に、多少の油断があったとはいえ、初めてダメージを与える事が出来た。強い攻撃が欲しいと言っていた美澪は、それ程の技を手に入れる事が出来てやる気に溢れている。

 ゴーアンドストップからの技の発動や、急ターンからの技の発動などを、あれこれ試している美澪の横で、琥太郎も徑を発動させる突きの練習を行った。しかし、足の裏で発生した徑と思われる「気」のようなエネルギーを、琥太郎はまだ膝上あたりまでしか動かす事が出来ていない。


「「……う~ん美澪は、丹田が山の峠みたいな感じだから、丹田まで持ってくる事が出来ればその後は楽に動くって言ってたけど、その丹田までが遠いなぁ。あとで美澪にコツを聞いてみよう。…」」


 その後しばらく、美澪も琥太郎も個人練習を続けたあと、お昼前に切り上げて帰宅した。

 帰宅前に流伽にメールを送っておいたところ、流伽がお昼ご飯を用意して待っていてくれた。今日のメニューは、焼き鮭のチャーハンと、茸のお浸し、それにスープがついていた。昨晩の残りの鮭を焼いてほぐしてチャーハンにしてくれていたのだが、香ばしく焼いた鮭が抜群にチャーハンとマッチしていた。残り物を上手く使ってこうした美味しい料理を作ってしまうところが流石だ。

 食後に今日この後の予定を美澪に相談したところ、美澪は引き続き午前中の続きの練習をしたいらしい。それと、琥太郎が時間を取れるなら、マッサージ師でみずちの滝井さんのところに、可視化の方法を教わりにも行きたいとの事だった。滝井さんの件はともかく、昨日に続いての美澪との練習で琥太郎はちょっと疲れも感じていたので、午後からは美澪1人で練習してもらう事にした。


「琥太郎はもっと鍛えた方がいい。」

「2日続けて午前午後と1日中の練習はきついよ。だからごめん、今日はもう休ませて。その間に滝井さんには連絡を取ってみるからさ。」


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