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【web版】拾った奴隷たちが旅立って早十年、なぜか俺が伝説になっていた。  作者: AteRa
第七章:ドワーフの国・ガンジア王国編

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第九十話「果ての迷宮に到着」

「うう……寒かったぁ!」


 なんとか雪原の途中にある休憩小屋に入る。

 中に入ると、早速暖炉に薪をくべて火を起こした。

 徐々に小屋の中が暖かくなっていく。


「ギリギリだったね。もう外は暗くなってきてるよ」


 ルインが窓から外を眺めて言う。

 もうほとんど日は落ちていて、かすかに山の縁が赤く染まっているくらいだ。


「ふう……疲れた」

「……ニーナ、上着を脱ぎ出すには、まだ暖まりきってないと思うんですけど」

「大丈夫。十分暖かい」


 凍えるような寒さはなくなったが、まだかなり寒い。

 だというのに、ニーナは上着を脱ぎだしてしまった。

 それを見たアカネが呆れたように突っ込む。

 流石というべきか、やり過ぎというべきか。

 まあ寒さでニーナが風邪を引いたことはなかったからな。

 問題はないだろう。


 そして俺たちは、薪が切れないように、二人ずつ交代しながら火の番をすることになった。

 最初は俺とアカネだ。


「それじゃあ、おやすみなさい!」

「おやすみ」

「寝ちゃって火が消えました、ってことにならないように気をつけてくださいね」


 ナナ、ニーナ、ルインはそれぞれそう言って、眠りにつく。

 俺はアカネと並んで小屋の壁に背を預けながら、ボンヤリと座っていた。


「……アリゼさん。わざわざこんなところまで来てくれて、わがままにも付き合ってくれて、本当にありがとうございます。すごく、嬉しかったです」


 しばらくして、アカネがぽつりと呟くように言った。

 なんだか俺は照れてしまって、頬をかくと答えた。


「いや、当然だろ。アカネたちは俺にとって、大切な家族みたいなものなんだから」

「ふふっ、そうですね。アリゼさんはいつだって、私たちのことを第一に考えてくれてましたもんね」


 そういうことを面と向かってハッキリ言われるのは、かなり恥ずかしかった。

 その反面、ちゃんと自分のことも見てくれていたのだと知り、嬉しくもあった。


「アカネ。この大陸でみんなを見つけてアガトスに戻れたら、アカネはどうしたい?」

「……どうしたいか、ですか」


 俺の問いに、アカネは考えるように俯いた。

 パチパチと飛び散る火花を眺める。

 しばらくして、アカネはゆっくりと口を開いた。


「郊外に家を建てて、みんなでゆっくり暮らすのもいいですね。もしくは、まだ見たことない土地や街を見に、旅を続けるのもいいですね」

「そうだな。あっちに戻れるのは、まだ先になるかもしれないけど、俺は家を建ててみんなで暮らすのがいいと思うんだ」


 俺が言うとアカネは小さく笑った。


「そうですね! 私も家事とか料理とかできるようになってきているので、楽しみにしててくださいね!」


 そして俺たちはしばらく他愛もない会話をして、交代の時間まで火の番をするのだった。



   ***



「ううっ……やっぱり外は寒いよぉ……」


 夜が明けて、朝。

 俺たちは日が昇り、そこそこ暖かくなったのを見計らって小屋から出発した。

 それでもまだ寒く、ナナは震えて身を抱くようにしながら呟いた。


「今日の午後には【果ての迷宮】に着くだろうから、それまでの辛抱だ」

「うむむ……。愚痴ってても仕方がないから、頑張る!」


 そしてズンズンと先を進んでいくナナ。

 そんな会話がありながらも、なんとか予定通り午後には【果ての迷宮】前にたどり着いた。


「ふう。ようやく着いたね。なかなか大変だったよ」


 ルインが一息つき、そう呟いた。

【果ての迷宮】には、この地下に続いている階段を下っていくらしい。

 ニーナの魔法で光源を確保し、ゆっくりと階段を降りていく。


 しばらくして視界が開け、石畳の大きめの通路が現れた。

 壁には松明が掛けられ、チラチラと通路を照らしている。


「ここの奥に聖鉱石ジニアがあるのか……。もう少し炭鉱っぽいところかと思ってたけど」

「そうですね。思ったよりちゃんと迷宮って感じがしますね」


 俺の言葉に同意するようにアカネが頷く。

 そして俺たちは、聖鉱石ジニアを探しに、迷宮の奥へと進み始めるのだった。

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