第五十四話「大波乱の予感」
——シークレット視点——
その日、シークレットは鏡華大心国の王都付近にある小さな洞穴で着実に計画を進行していた。
シークレット——もとい円卓騎士第二位ブリーファは魔王の卵に魔力を送っていた。
魔王の卵は魔力を送られて、ドクンドクンと脈打っている。
だが、まだ孵化する予兆は見られなかった。
「まだ全く足りないが……あのガキの魔力があれば復活できるぞ……」
そう呟き、クツクツと笑う。
ブリーファ以外の円卓騎士はほぼ戦闘不能状態になってしまった。
円卓騎士第三位ガガイタスだけはまだ生き延びているっぽいが、消息は不明だ。
しかし魔王様が復活すれば、彼らだってすぐに救い出せるだろう。
それにあの魔力があれば、間違いなく以前よりパワーアップして復活できる。
「くくくっ、見ていろよ、人類、英雄。お前たちの終わりは近い……」
そして彼は再びフードを深々とかぶると、洞穴から出てナナがいる草原に向かうのだった。
***
——アリゼ視点——
「あのシークレットという男が今、何をしているのか。そして何を考えてここにきたのか。少し探った方がいいかもしれませんね」
ミアが決勝戦を難なく勝ち上がった後、ナナはニーナに任せて俺はアカネと話していた。
彼女はギルドの訓練場で剣を振りながらそう言った。
俺はその傍で特訓してるアカネを見守っている。
「そうだな。魔族が何を考えているのか分からんが……あいつらの目的は魔王の復活なんだろ?」
「はい。だから、魔王の復活を目論んでこの街に来たのだと思うのですが……」
その方法がわからないと。
何か危険な予感がするが、大丈夫だろうか?
「てか、探るってどうやって探るんだ?」
「そうですね、それも課題です……。流石に後をつけるのもバレた時のリスクを考えると危険ですし」
そうだなぁ……それだったら聞き込みとかが一番いいのだろうか?
アカネも同じことを思ったのか、こう言った。
「だから私は聞き込みが一番安全でいい気がします。フードをかぶっていますし、目立つはずなので、情報は得れる気がしますね」
「ああ、俺もそれが一番いいと思っていた。——それじゃあ、聞き込みするか」
俺がいうと、アカネは頷いて大剣を置いた。
「でも少し休憩してからでもいいですか?」
「ああ、構わないぞ」
そして俺たちは数分の休憩ののち、街に繰り出して聞き込みを開始した。
三時間ほど聞き込みして得られた情報とは——。
よく街から出ていき、草原の方に向かっていくのを見たという情報だった。
「草原ですか……。ナナちゃんがよく特訓しているのも草原らしいですよね」
「そうだな。何かまずい予感がするけど……」
そう話し合っていると、ニーナが慌てたように駆け寄ってきて、こういうのだった。
「アリゼさん、アカネ! ナナちゃんを知らない!?」
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