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【web版】拾った奴隷たちが旅立って早十年、なぜか俺が伝説になっていた。  作者: AteRa
第五章:闘技大会編

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第四十六話「とうとう予選開始がしました」

 ナナの魔力操作の特訓をしていたら、いつの間にか二日が過ぎ、Aブロックの予選が始まった。

 ルルネの試合が昼にあるということで、みんなで見に行くことにした。


「ルルネは勝てると思いますか!? アリゼさん!」


 決闘場に向かいながらアカネにそう聞かれ、俺は答える。


「戦う相手にもよると思うけど、流石に予選は余裕なんじゃないか?」

「確かに予選ですもんね! でも短剣使いなので木剣でどれほど戦えるのか分からないですね!」

「そうだな。短剣と木剣じゃあ使い勝手がかなり違うもんなぁ……」


 決闘場に近づくにつれ人が多くなっていく。

 出店なんかもいっぱい出ていて、とても賑やかしかった。


「凄い! 人がいっぱいいる!」


 ナナちゃんも目を輝かせながらキョロキョロと辺りを見渡していた。

 そんなナナちゃんの頭を、ニコニコしながら撫でているミア。

 どうやらお腹いっぱい食べる同盟なるものが結ばれているらしく、二人はすぐ仲良くなっていた。


「あっ! ナナちゃん! あの串焼き美味しそうですよ!」

「本当だ! さっそく偵察に行かなきゃ!」


 そして二人は心底楽しそうにその出店に駆けていった。

 うんうん、楽しそうで何よりだな。

 腕いっぱいに串焼きを持って帰ってくる二人。


「あ、皆さんもどうぞ食べてください!」

「うん、おいひぃいよ!」


 ミアに続いてナナちゃんは串焼きを頬張りながらそう言った。

 食い意地を張るのは良いが、ちょっと行儀が悪くないか?

 でも良い匂いに負け、俺もその串焼きをミアから貰うと食べてみる。


「おお! 美味しいな!」

「でしょう? ほら、ほかのみんなも食べてください!」


 俺たちは串焼きを食べ歩きながら、決闘場の観客席に座る。

 かなり早めに来たつもりだが、もう結構席が埋まっている。


「凄い盛り上がりですね。何だかワクワクしてきました」


 アーシャの言葉に俺は頷く。


「ああ、こういう雰囲気いいよな。俺も凄くワクワクしてる」


 それから試合が始まり、二戦目、三戦目と着実に終わっていく。

 みんな思ったよりもかなり強くて正直びびった。

 こんなに強い人間がまだまだ居たなんて、やっぱり世界は広い。


「あっ、ルルネ」


 ニーナがポツリと呟き、俺は目を凝らした。

 おお、本当にルルネが出てきてる。

 どうやらとても緊張しているらしく、ここからでも顔が強張っているのが分かった。


「ルルネ、やっぱり緊張してるな!」


 アカネのその言葉にアーシャも頷いた。


「そうですね。顔が強張っているのがよく分かります」


 やっぱり気がついているのは俺だけではないようだった。

 大丈夫だろうか、あれ。


 対する相手は筋肉隆々のスキンヘッドの男だった。

 うーん、ぱっと見では強そうだが。

 戦闘において見た目はあまり関係ないからな。

 戦ってるところを見てみないとなんとも言えんな。


「それでは試合を開始します!」


 そして二人が向かい合ったところで審判員がそう声を上げた。

 コイントスがされ、クルクルとコインが舞う。


 そのコインがカツンと地面に触れた瞬間――。


 ダンッ、と男が地面を力強く蹴って飛び出した。


「おおっ、なかなか速いですね」


 感心そうにアーシャは言うが、もう勝敗がどうなるのか予想がついたのだろう。

 彼女の声音はどこか余裕そうだった。

 まあ……俺も既に予想はついているが。


 男はルルネに一瞬で接近するとにやりと笑い思いきり剣を振るう。


「おおっと! パウルの早速の攻撃だぁ! これは速いぞッ!」


 実況は熱を入れてそう叫んだ。

 しかし――。


 既にルルネはその場には居ない。

 おそらく一般人からは姿がかき消えたように見えたのではないだろうか。


「何とッ! 覆面Rの姿が一瞬にして消えたぞッ! どういうことだッ!」


 ……覆面Rって選手名でやってるのかよ。

 なんかダサい。


 ルルネは既に男の後ろに回っていた。

 パウルと呼ばれていた男がそれに気づいたときにはもう遅く。

 ルルネの手に握られていた木剣が思いきり振り下ろされ、パウルは気絶した。


「しょ、勝者覆面Rッ!! なんと言うことでしょう! 一瞬の勝負でしたッ!」


 うん、やっぱり余裕だったな。

 それから夕方まで試合は行われ、ルルネは順調に勝ち上がっていった。

 予選ブロックの準決勝からは明日行われる予定らしい。


 俺たちは選手控え室から出てきたルルネに声をかける。


「ルルネ、お疲れ」

「あ、アリゼさん。それにみんなも。ありがとうございます」


 そんなルルネにアカネがからかうように言った。


「ぷぷっ、覆面Rさん、お疲れ様!」

「……貴方だって名前変わらないでしょうに。覆面Aさん」


 みんな同じ感じの名前なのか……。

 ダサいってもんじゃないぞ、その名前。

 もう少し何とかならなかったのか。


「ええと、それじゃあ今日はいっぱい食べましょう! 打ち上げです!」

「おー、やったぁ!」


 ミアとナナちゃんは握り拳を上げてそう言った。

 ……本当に食べるのが好きだな。


「でも打ち上げには賛成だな。さて、さっそく店を探そう!」


 と言いつつも、ルルネは明日も試合があるので早めに終わらせて、宿に戻り眠りにつくのだった。

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