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第百二十二話「魔族殺しの犯人を追え」

「バリトンだぁ? ……ああ、あいつが死んだ事件を追ってるのか。あいつは嫌われ者だったからな。誰に殺されてもおかしくはないだろ」


 変装をしてスラム街の外に出たルルネたちは、冒険者ギルドで最強と名高い魔族バリトンの殺された事件を追っていた。

 ギルドに併設されている酒場で飲んだくれていたスキンヘッドの冒険者に話を聞こうと思ったら、そう返されたのだ。


「嫌われ者だったんですか?」

「ああ。いちいち鼻につくやつでな。昔は俺は苦労したんだとか、お前たちは基礎がなってないとか、全て上から目線でしか会話できなかったんだよ、あいつは」


 毒付くように言う冒険者にルルネは考え込む。

 その間にミアはこう尋ねた。


「でもしばらくはこのギルドに居座ってたんですよね?」

「まあな。誰もあいつには勝てなかったから追い出すこともできなかったし、役立っていたのは事実だからな」

「なるほど……それほどまでに強かったんですね」

「ああ、実力は確かだった。だからあいつは死んだって時は納得したと同時に驚いたけどな。どうやって殺したのかと」


 冒険者がそう言った後、ルルネは考え事をやめてこう言った。


「……バリトンさんは、色々な人から嫌われていたんですよね?」

「そうだな」

「でも強過ぎて勝てないのと、役に立っていたから今まで殺されていなかったと」

「ああ、そうなるな」


 それを聞いたルルネはまた考え込む。

 ミアはそんなルルネにこう尋ねた。


「何かわかったんですか?」

「う〜ん、確定ってわけでもないし、少し考えればわかることだけど、おそらくバリトンを殺したのは冒険者ギルドの人じゃないわよね」

「どうしてですか?」

「何故なら、まず殺せる実力があるのならとっくに殺しているだろうし、そもそもそういった人は目立っているはず。それに同じくらいの実力なのであれば、仕事を分担できるってことになるから、ちょっとイラつく言動をされたってだけじゃ理由が薄すぎる。だって殺してしまえば自分の仕事量が増えてしまうのだからね」

「なるほどですね……」


 ルルネの説明にミアはそう言った。

 そのルルネの言葉には冒険者も頷いてこう言う。


「その意見には俺も同意だな。あいつを殺したのはおそらくギルドの連中じゃない」


 しかしそうなると一体誰がバリトンを殺したのか。

 そう悩む二人に声をかける奴がいた。


「おっ、俺! バリトンが殺される現場を目撃したんだ!」


 声の方を見ると、10代前半くらいの幼い少年が勇気を振り絞って声をかけてきたところだった。

 そんな彼にルルネはすぐにこう言った。


「ちょっとその時の状況を詳しく教えてくれないかしら?」

「わ、わかった! 任せて!」


 こうしてルルネたちは新しい情報を得るきっかけを掴むのだった。

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