第二話
第二話
剣術と魔法の修行は毎日続けている。
日々基礎力を磨き続け、素振りの音が変わった。
最初はブォォという音が無駄な力が抜けたのか、三回に一回はビュッという音が出始めた。
身体つきも逞しくなった。
背も伸びた。
錬成魔法の方は魔力が続く限り、ひたすらアンティーク作りに没頭する。
やるうちに日々魔力量が増えている事に気付いた。
だがさらに月日が経つと魔力量が増えているのだが、増えにくくなっている気がする。
まさか壁にぶつかった?
単純に調子が悪いと思いたい。
継続が力なり。
焦らないように、コツコツとだ。
倉庫が一時足の踏み場のない程だった。
今は綺麗だ。
「村のおじさん達に好評だったからな。見に行ったら飾ってくれてたし、作って良かった」
さらに村長の所に譲ろうと村長宅に向かうと、いつも村にやってきた行商人の目にアンティークが止まったところ、良い値段で買い取ってくれた。
「なんという美しい作品だ、これは売れ……ゲフンゲフン。どうだろう、ぜひ買い取らせてくれないか? 相応の値段は出す! また来るよ」と。
村中に配った余り物の物だった。
行商人から貰った金額は良かった。
金貨三枚。
だいたい金貨一枚が一人分の生活費三ヶ月分だ。
もちろん、全て家に仕送りだ。
シャルルは最初、驚いて受け取ろうとしなかったが無理やり譲って「育てて貰ってるから。いつもありがとう」と。
涙目なシャルルに力強く抱きしめられた。
親孝行って偉いよ。
アスランは依頼が終わると、うちに寄ってメシを食っている。
アスランは何も言わずに、マルクと庭に出ると剣の修行を始めてくれる。
アスランは基本、褒めて伸ばすタイプの教えだ。
褒めてダメなら、褒めちぎるのがアスランのやり方だ。
アスランは基礎を怠るなと口酸っぱくいつも言っている。
そして、慣れた時が怖いともよく言う。
決して楽な修行じゃない。
だが、アスランが声かけてくれるから、気が下がることはなかった。上げてくれるから修行が楽しく進んだ。早く終わる感じだ。
マルクは両手で剣を上段で構える。
ジリジリと距離を測る。
「よし、来い!」
「シッ!」
アスランと実践的な修行をやる。
変則ルールでマルクだけ打ち込む。
だが、緊張感が途切れることはない。
マルクは踏み込み、上段から一気に振り下ろす。
剣に体重を乗せる。
木剣でも当たれば痛い。
下手したら怪我もするだろう。
「うん、良いぞ良いぞ、もっともっと!」
襲いかかる。
防がれる。
弾かれる。
流される。
止められる。
アスランの木剣が全て防いだ。
疲れて苦しい。
距離が半端なところに「ほら、左からくるぞ!」
袈裟斬りをバックステップで躱した。
距離を取って空振りさせる。
ゴッ。
「ブギャオッ!?」
「ここまで。実践できない代わりに、素振り五百回だ。って、伸びて聞こえてないか」
レナ「あ、大丈夫。マルク?」
マルク「……殴るんかい」
レナ「? お医者さんの所で見てもらおね」
天然で心をぶっ刺しにくるレナだった。