間接的な依頼
ひとまず依頼人の娘、玉置純香のところへは玲奈ちゃんだけで向かうことになった。大丈夫です任せてくださいよ、と俺を諭すよう言っていた。そう言うならきっと大丈夫なんだろう。
なので俺は自宅兼オフィスで待機。さっさと不貞寝しようかと思ったが仕事だ。パソコンを起動していたので、玉置さんが信仰?している宗教団体について調べることにした。
メールにあったホームページを検索すると「光輪天の会」というページが現れた。トップ画面には太陽みたいなピカピカのロゴと、煌びやかな衣装を纏った優しそうなおばさんが映っており、怪しそうだと言われれば確かに怪しいなといった印象を受けた。
光輪天の歩みというページを見ると発足は50年ほど前となっている。しかしこのページにも、教祖なのだろうか、おばさんが背景に映り続けていた。なんだか鬱陶しい。
ダラダラと年表を眺めているとおばさんについてのリンクがあったのでクリックする。
「私は光です。私の言葉は暗闇を照らす一縷の光です。光は溢れ、やがて空を、大地を、海を、照らすのです。」
荘厳なBGMが鳴り始めたと思えば画面の教祖の口が動き、喋りだした。パソコンの音量が大きく驚いてしまう。しばらく目をパチクリさせていると自動で画面が切り替わった。
町子...?この人の名前か、へぇ、教祖で間違い無いんだな。 救われた人数?実績まで書いてあるのか、えらく宣伝チックに書かれてあるな。とその続きには、興味の湧かないおばさんについての武勇伝の類が長々と綴られていた。
読むのがしんどくなってきたので下まで一気にスクロールすると、今度は「資料請求はこちら」というリンクが現れた。
「資料請求まであるのか、知らなかった。」
光輪天の会について知るにはこれが一番手っ取り早そうじゃないか。
先に進むと、当たり前だが個人情報を入力する画面になった。
町子のおばさんに個人情報を渡すかどうか悩んだが、俺は三角のボールペンの三面それぞれに印をつけて転がして、結果、入力することに決めた。