3)ヒロイン、冒険者になる
話数表記を忘れていましたので、サブタイトルに追加してあります
本文に変化はありません
冒険者になるにあたり、俺は女であることを隠すことを決めた。
年齢が15歳なのもあるが、性別によるトラブルを回避する目的もある。
本当は、ゲームキャラとの接触をなくすためには国を出るのが一番いいのだが、国外に行けるほどのお金はないため、ある程度稼いだら国を出るつもりだ。
今後の方針を固めたので、早速この国の冒険者ギルドに向かう。
城下町の中心にある噴水広場から繋がる大通りを5分ほど進んだところにある。
隣に武器屋、向かいには冒険者がよく利用する宿舎がある。
この宿舎はギルドカードを提示すると安くで借りることができるのに加え、食事が美味しいと評判だ。
登録後に宿泊の申請に行こうと思う。
冒険者ギルドは赤レンガの建物で、1階に酒場、2階にギルドの本部がある3階建ての建物だ。
2階に受付と買い取り所、低ランクの依頼があり、3階にBランク以上の依頼が貼ってある。
木の扉を開いて中に入ると、朝から呑んでいる冒険者たちの笑い声が聞こえてきた。
その声をBGMに、2階に上がる階段に向かう。
冒険者たちは俺を見て顔を顰めるも、何も言ってはこなかった。
訳アリで冒険者になるのが多いからだろう。
2階へと上がり、受付に向かう。
「こんにちは!本日はどのようなご用件でいらっしゃいましたか?」
「ああ、今日は登録にきたんだ」
「冒険者の登録手続きですね。ではこちらに血を垂らしてください」
受付嬢に渡されたナイフで指を傷つけてカードに血を垂らす。
するとカードが発光し、名前とランクが表示された。
「それでは始めにそちらのカードの説明から致しますね。ギルドカードと呼ばれるもので、そちらを持っていると依頼の受注の他、国内外の通行料の免除や提示による特典が受けられます。後は色々事情のある方が多いので、名前の変更も承っていますよ」
「わかった。それじゃあ早速だけど、名称の変更を頼むよ。名前はシイで」
「かしこまりました。シイ様ですね。…はい、登録完了致しました」
「ありがとう」
「いいえ。では次にランクについての説明を致しますね。冒険者のランクはFからSまでで、Cから昇格試験があります。Bからは指名依頼が入ってきます。1週間に1度は依頼を受けて頂かないと、ランクが降格致しますのでご注意ください」
「わかった。ありがとう」
「いえ、ご質問がございましたらお答えいたしますので気軽にお尋ねください。依頼は受けていかれますか?」
「今日はいいや。ありがとう。また明日来るよ」
ギルドを出て、向かいの宿舎に入る。
「いらっしゃいませ~。当館をご利用のお客様ですね~?当館は1泊銀貨3枚で朝夕食付きです~。冒険者の方はカードを見せて頂くと銅貨5枚分割引させて頂きます~」
「じゃあ10泊お願いする」
「1、2、…銀貨25枚丁度いただきました~。こちらが鍵です~。朝食は朝の6~9時、夕食は夕方の6~9時の間に食堂で摂ってください~。外出の際は受付に鍵を預けてくださいね~」
「わかった」
鍵を貰い、部屋に向かった。
明日は依頼を見て何を受けるか考えよう。
その日は食材を買いに行ったりなどしてのんびりと過ごした。
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次回は悪役令嬢視点のお話です