3.グソクムシの健診①
こんにちはIRUCAです!
描写をするのがなかなか難しいです!
グソクムシの気持ちになるのは大変ですね…。
しばらくの間静寂が続いた。
「グソ美は歩き方もわかんないみたいだよ?」
「なるほど、記憶喪失などと聞いてみれば、ここまで酷いとはのぉ」
シラ蔵にもすっかり呆れられているようである。
仕方ないので身体検査は後回しにして、まずは問診から入るようだ。
「まず君が覚えていることを何でもいいから離してくれたまえ。」
シラ蔵がそう質問している横でものすごい真剣にメンダコがこっちを見ているが気にしない。
正直どこまで話していいのだろう。
女子高生とか人間とか言ってもわかんないじゃないか?
なにかわかりやすそうな説明はないか真剣に考えてみたが思いつかないので、全て話してみることにした。
「実は私人間だったんですよ。さっき気がついたらグソクムシになってて、だから体の動かし方も歩き方もよくわかんないんですよね。」
意外と短くまとまった。
まあ反応は予想通りだった。
私の言葉を聞くなりシラ蔵は眉間にしわを寄せて考え込んでしまった。
まあいきなり魚にこんなことを言っても分かるわけないよね。
「うむ…。遠い昔に儂の祖父から人間という生き物についての話は少し聞いたことはあったが、グソクムシに変化するなどということは聞いたことはない。きっと何かしらの新しい病気か呪いかもしれないのぉ」
「呪い!?呪いとかってあるの!?」
呪いという超不安ワードについ反応してしまった。
しかも人間知ってるとか意外と優秀か?
「いや、遠い言い伝えのようなものじゃ、実際に呪いをかけたりかけられたりしたものは儂も見たこともない。」
昔の魔術とか錬金術みたいなものかな…。
本当に呪いじゃなければいいけど。
「そのままでは身体検診ができないからのぉ、ちょい色々動かしてみてはくれないかの。人間は二足歩行をすると聞く、もしかしたら元の体が今の体に割り振られてるかもしれないぞ。」
「わ、わかりました。やってみます。」
「あ、そうじゃ、やるときに元の体でどこを動かしているか教えてくれないかの。」
「あ、はい。」
とりあえず今までで知ってるところを動かしてみよう。
「鼻を動かしてます。」
目の前で触角がブンブン振れる。それはもうすごいくらいに振れる。
「ここってこんなに動くんだぁ…」
グソ夫がなんかぼやいているが気にしない。
そんな私を見ながらメンダコさんとシラ蔵が小さな声で話し合っているので、他の部分もやってみる。
「首を回してます。」
視界が揺れてグソ郎の方を向く。
「…。」
お互い沈黙したあとなんか嫌なので元に戻る。
ここからはやったことのない部分だ。
まずは何をやってみようか。
とりあえず指を動かしてみよう。
「指を動かしてま…すぅ!?」
とんでもない違和感のせいで変な感じになった。
指を動かしたら体が動いたのだ、なんだろうわかりやすくいうと指で○蟲の真似をする感じにしたら歩けた。
どうやら私の指はグソクムシの足に対応しているらしい。
重さは感じないが、言うまでもなく気持ち悪い。
「なんじゃ、歩けるではないか。」
どうやらシラ蔵から見てもちゃんと歩けているらしい。
「やった!!」
「なんか足の動きは気持ち悪いが歩けたのは良かったな」
グソ郎が褒めてるのかよくわかんないことを言ってきたので、睨みつける(なんか表情わかるらしいので適当にそんなつもりになってる)。
「うわ、こえー顔すんなよ。」
「グソ美、片方の足だけを畳むと仰向けになれるよ!」
グソ夫ナイスアドバイス。
グソ夫はなんだかんだ言って使える気がしてきた。
言われた通りに片方の足だけを畳む。
感覚としては片手だけ握るようなものかな。
すると体が大きく傾いて気づくと視界が反転している。
どうやらうまくいったようだ。
「うまくいったようじゃの、一旦身体を動かすのはやめて身体検査を始めとするかのぉ」
そういうとシラ蔵はずっと控えていたメンダコが近づいてきた。
「申し遅れました。これから貴女を診させて頂きますメン子です。少しの間ですが、我慢してください。」
そういうと、静かに微笑み(そんな感じの雰囲気)、超絶安直ネームの秘書キャラダコが私を襲ってきた………。
拝読感謝です!!
なんか毎回豆知識みたいのを入れてますが、キャラが登場する時だけかなって思ってます!
メンダコ
シンカイに生息する軟体動物、言わずもがなタコ。
通常のタコと異なり、縦につぶしたような体形で墨袋は持たない。
体長は20㎝で小型。
その特徴的な体形から、一部の層からは大人気である。