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圷亜連は主人公になりたい!  作者: 阿礼 泣素
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圷亜連(あくつあれん)は安定性が欲しい!

今日から新作投稿します!ぜひ見てください!

この世には主人公補正と言うものが存在する。それは、選ばれた人間にしか付与されない奇跡の別称であると言っても良い。


どう足掻いても勝てそうにない局面で突然力が湧いてきたり、窮地に追い込まれた時に能力が発現したり、確実に致命傷となる攻撃でもすんでのところで急所を避けたりする。


それが主人公補正である。


普通はその時点でゲームオーバー、人生終了の場面でもその主人公補正さえかかってしまえば何とかその逆境を乗り越えることが可能となる。


昨今、この主人公補正を与える要因としての主人公スキルというものが注目されている。どんな物事に対しても紆余曲折ありながらも解決し、事態を上手く収拾してしまう夢のような力――主人公スキル。


そんな主人公スキルを人為的に養成することは出来ないのだろうかということで、この春、日本の首都、東京に主人公スキル養成学校というものが設立された。この主人公スキル養成学校には現在百人を超える生徒が通っており、皆、立派な主人公を目指して日々切磋琢磨の日々を送っている。



 そして、主人公がいればまたヒロインと言うものも存在する。ヒロインとはある時は主人公を助け、主人公の心の拠り所となる存在である。そしてまたある時は敵対するグループなんかに邪知暴虐の限りを尽くされることもあり、ある意味では時折危険にさらされてしまう可能性がある立場の人間である。


そんな主人公に選ばれるヒロインは正妻力を持っている女性だと巷間では言われ、大抵の場合、主人公と結ばれるとその後幸せな人生を送ることが約束される。だからこそ、主人公スキル同様にこの正妻力を持たんとする機運が徐々にではあるが高まってきている。


しかし、逆に主人公に選ばれなかったヒロインは滑り台ヒロインと呼ばれ、一生負けヒロインの烙印を押さることとなってしまう。主人公の眼鏡にかなうヒロインを目指すということはそれ相応のリスクが伴うものであるといえるだろう。


それでも、平凡な人生では満足できない女性、そんな平凡な自分を変えたい女性、主人公スキルを持つパートナーを欲する女性がこの主人公養成学校の隣に併設された正妻力育成所『ヒロインスクール』に通っている。


これは、そんな主人公養成学校で奮闘する(あくつ) 亜連(あれん)という一人の少年の物語……



――主人公スキル養成学校。


「主人公か……本当に胡散臭いネーミングだけど、面白そうだ」


 この広告を見て俺、圷 亜連はそう直感する。


「ここで結果を出せば、その後は悠々自適な人生が……」


 打算的な考えを巡らせる俺。


将来の夢に公務員だとかいう安定職が幅を利かせるようになってきている昨今、この主人公スキルというものも俺には至極魅力的な宝物の如く見えていた。実際、大学の授業でも主人公スキル科だとかいうものもつくられる目算が立っているわけで、これをこの高校生である今から取得できれば、将来は安泰だ。



「冒険なんて好きじゃない。この魅力的な称号、見えない能力が欲しいだけ」



 俺は決して悪を懲らしめる正義のヒーローに憧れているわけではない。

 俺は決して常に女の子に囲まれるハーレムの中心にいたいわけじゃない。

 俺は決して未知の世界に転生し、興奮を覚えたいわけじゃない。



 俺は安定が欲しいだけだ。平穏じゃない。人よりも優位に立つ、それでいて先のことを考えなくても万事うまくいくような。


――安定性が欲しい。



 それなのにこの主人公スキルなんて言う不安定で得体の知れないものに手を出すなんて馬鹿げているといわれるのかもしない。


 でも、考えてみて欲しい。成功する者は成功する。それが、必然であると言わんばかりに。成功する者がいる一方で、必ずそこには失敗する者もいる。全員が成功するなんてのは到底あり得ない。


 自分の置かれた状況がどちらなのか、あらかじめ知っておくのも悪くないんじゃないか?


そう思えた。


 うさぎと亀の話のように、最初に辛い思いをしてあとは遊んで暮らすなんて人生、最高じゃないか。


自分の人生が当たりくじだって分かったら、その後の人生なんてイージーモードだろ?


それを判別するための施設、どうせ無理な奴は無理。


こんな考え方を冷めているって言うのはお門違いだ。


合理的で整合性のとれた意見だと言ってほしいね。


自分の人生が当たりなのか外れなのか。それを確かめるだけだ。


もしも、外れてたら?


――そんなの外れてからしか考えなくてもいいよな?



続きは明日更新します☆

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