表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月夜の夜に!?  作者: 霊王
5/5

五話 『告白!?』

「やっと会えましたわ、フレカ様。」



 その美少女は魅惑的に笑った。



「おいおいフレカ知り合いか?」



 クラス中が困惑した中、後ろの席のリョウが俺にコッソリと話しかける。



「まぁ、な。」


「はいは〜い、静かに〜。」


「申し訳御座いませんわ、先生。」


「構いませんよ。知り合いでもいましたか?」


「はい。心に決めた殿方が。」


「あらまぁ〜。」


「「「「なんだとーーッ!!」」」」



 遅れてきた新入生の爆弾発言にクラス中が揺れた。


 ――――――――――――――――――――――――



 その後、リョウとマキノを落ち着かせるので大変だった。

 そして顔見知りということで俺は放課後ルーチェの学園説明をしていた。まぁ、要は場所を教えてる所だ。俺も昨日入学したばっかりなんだけど………



「案内して頂きありがとうございます、フレカ様。」


「“様”なんて付けなくていい。呼び捨てで構わないよ。」


「分かりました、フレカ。ならわたくしの事もルーチェで構いません。」


「了解、ルーチェ。あとその敬語みたいなのも何とかならないか………ルーチェ?」



 ルーチェの方を見ると右手を胸に当てて赤い顔でこちらを見ていた。



「あ、申し訳御座いませんわ。殿方に呼び捨てにされるのは家族以外いなかったので……(あと、好きな人に呼ばれたので。)

 この喋り方はその内に大人しくなりますわ。」



 本人はボソッと呟いたつもりみたいだけど普通に聞こえている本音。もしかしてわざとか?それに対してどう反応に困るぞ。


 案内が一通り終わり俺はクルッとルーチェの方に向き合う。ルーチェは予見していたのか驚いてはいない。むしろ、来たかと構えていた。



「一応聞くが、お前は何を知っている?」


「…………『白き者』」




『白き者』…五年前(現二〇六三年)、神と思われる存在を確認した。場所はカルナ・リグロ大地アスファル国付近に出現したその存在は近くで起こっていたテロ戦争 反マルト軍を壊滅させた。その後は忽然と消えてしまった。永年に続いた戦争に終止符を打ったその存在に世界政府は『白き者』と名付けた。



「えぇ、分かっていますわ。二人だけの秘密です。それと、あの時は助けて頂きありがとうございます。」



 俺の言葉を先読みしてルーチェは言った。全く隅に置けないやつだと思っているとルーチェは淑女らしくスカートの先をつまんで礼をする。その軽やかな動作から何度も練習したのだと分かる。



「たまたま通りかかっただけだよ……」


「そうですわね、それでも助けられた事に変わりはありませんわ。このお礼はキッチリと。」


「それが俺と夫婦めおとになることか?」



 俺は少しキツめに言う。けれど、彼女はケロッとした顔で返答した。



「ええ。けれど、私が貴方を好きになったのは本当です。つまりそれは私の願いでもありますわ。」



 すんなりと俺の事が好きと言われて一瞬戸惑った。こんなに直球ストレートで来るとは思わなかった。



「……わたくしでは不足ですか?」



 不足か……確かに彼女ルーチェは綺麗だし派手過ぎず落ち着いた印象はとても好みだ。むしろど真ん中だ。だが、



「不足じゃないよ……だが、俺の方に問題がある。」



 理由は話さずはぐらかした。



「ふふ、“不足じゃない”……」



 おい、そこだけを切り取るな。全部聞け。



「顔、ニヤけてるぞ。」


「ハッ! コホン…………ふへへ。」



 ルーチェは一瞬元の顔に直ったのにまたすぐニヤけ顔に戻ってしまった。こいつさっきと同じ人物か?誰か違うやつと入れ替わったんじゃ………



「とりあえず、俺の方に問題がある。だから付き合えない。」


「問題ありません。わたくし、貴方の事が好きなので。」


「いや、そういう訳じゃなくて……通じてねぇな。」



 チラッと見るとルーチェは悶えて俺の話を聞いていなかった。完全に自分の世界に入っ(トリップし)てる。本当にお嬢様か?



 ――――――――――――――――――――――――


 日が沈みかけ朱色に染まり始めた繁華街を歩いていた。



「フレカ〜ッ!」



 学園案内が終わり下校していた時、道端で不意に話しかけられた。その声の方向を見ると右手にコロッケを持ったリョウが立っていた。そしてよく見ると後ろに同じようにコロッケを持ったマキノもいた。

 リョウは馴れ馴れしく俺の首に右手を回すと半目で言った。



「フレカく〜ん。どうだった未来の花嫁は?」


「なんだよ未来の花嫁って。」


「おいおい、みんなの前であんな告白されておいてまさか断るわけないよなぁ〜。それ以前に男としてあんな美人さんに迫られただけでも呪いたくなるぜぇ。」



 そう言うと左手で地味にボディを食らわせてくるリョウ。マキノも近くに寄ってくるとあの後何かあったのかとしつこく聞いてくる。



「あぁもういい加減にしてくれ。」


「まぁまぁ、落ち着けって。」



 あまりのしつこさに堪忍袋の緒が切れそうになると、リョウがドゥドゥとまるで動物をなだめるかのようにして俺を落ち着かせようとしてきた。いや、落ち着くのはお前達だよ。



「まぁ、俺らは中学からの付き合いじゃん? 親友としてその点をハッキリさせたいわけよ。んで、ブッチャケどうなん? 好きなん? 付き合ってん? キスしたん?」


「早すぎだろ。まぁ、完全どストライクで俺の好み(タイプ)だけどよ。」


「ほぉー、珍しい。フレカがそっち系の話するなんて。」


「なんでだよ。」


「じゃあ告白受け入れたん?」


「……まだだよ。」


「おいおい、女を待たせるんじゃねぇよ。」


「色々と問題があんだよ。じゃあな。」






「ハハッ、全然思考が読めねぇな。」


「……アンタもあのお嬢様みたいなのが好み(タイプ)なの?」


「んぁ? いや、綺麗だとは思うがタイプとかとは違うだろ。」


「そんなもん?」


「あぁ、そんなモン。」


「そう…………(良かった)。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ