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Delete  作者: れぷす
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第1話 「始まり」

コンビニで夜食を選び、レジでの会計を済ませ。俺は家路につく。


外はもう暗く、頬にあたる風が痛いと思えるほど冷たかった。


「寒〜」


心の声が漏れ出したかのように独り言を言い、家で炬燵に入ることを心に決め、歩き出す。


その時だった。急に目眩がし、俺は膝をつく。


何が起きているのかわからなかった。

とりあえず助けを呼ぼうと、ポケットの中のスマホに手を伸ばそうとしたが。


それは叶わず、後ろからの衝撃を感じ、俺の意識は闇へと沈んでいった。               




俺は、目を覚ました。


まだ、頭が朦朧としているため、感じ取れることは、今いるところが明るいことぐらいだ。


体を起こし、此処を見渡す。

俺がいたのは、見覚えもない部屋だった。


無機質な色の壁。天井には、蛍光灯。

家具は、テーブルが1つとイスがいくつか程度。

扉は有るが、窓が見当たらない。


そして何よりも目立っていたのが、床に倒れている数名の人間だった。


その中でも数名は、目覚めているらしく上半身を起こそうとしていた。


異常な風景を目にし、目が冴えてくる。


「おい、大丈夫か?」


俺は、1番近くにいた同い年くらいの男子に話しかけた。


「あ、あぁ、ありがとうございます。」


彼は少し驚いたあと、おどおどしながら返事をする。


「お前、此処についてなんか知ってるか?」


「いえ、あの、知らないです。」


「じゃあ、なんで此処にいるかは?」


「わ、わかりません。」


どうやら俺と同じ状況のようだ。俺もさっぱりわからない。

頭は混乱しているが、考えてもキリがないように思えてくる。


「とりあえず、他の人に話しかけるの手伝ってくれるか?」


「あ、はい、わかりました。」


とりあえず、人を起こすのが最優先だろうと思い行動を開始した。俺は次に近くにいた女性へ話しかけた。

意識はあるらしく、上半身を起こしかけていた


「大丈夫ですか?」


女性に自ら話しかけるのは少しだけ抵抗があるが、こんな状況だから仕方がない。


「あぁ、ありがとうございます。えぇと、此処は?」


声からして年上のようだ。敬語で話しかけて正解だったなと思う。

話しかけられて困っている様子が可愛らしい。


「俺にもわかりません。」


「そうですか、じゃあ君の名前は?」


「お、俺の名前はハヤマ ミナト 葉っぱの山と、書いて『葉山』で、ミナトは、氵に奏でる、で『湊』です。」


「ご丁寧にありがとう。私は、カンノ レイ 神の野原に、王に命令の令で、神野玲といいます。」


少し緊張してしまったが自己紹介ができた。

今更だが、さっきの男子とも自己紹介をしておけばよかったと思う。


神野さんは、立ち上がり辺りを見渡した。

俺もつられて見渡す。


どうやら全員が意識を取り戻しているようだ。


立ち上がっているのは俺と神野さん、

さっきの男子と、そいつが話しかけたらしきマッチョ。

自力で起き上がっている金髪の見た目不良な男。

まだ、体を起こしていないが、スーツを着たサラリーマンのような人。

高級そうな服に身を包んだデブ。

平凡な感じのデブ。

同い年ぐらいの女子。


みんながみんな、混乱しているような顔をしている。


自然と全員が辺りを見渡し、テーブルを見つけ、そこへ向かって行動しはじめた。机を囲み、全員を見る。

改めて人数を数えると自分を含め9人。

円形の机を囲み、どう話を切り出すか全員が迷っていた。


ここは俺が切り出すべきかな?


そう思い、声を出そうとしたとき。


「なんなんだ、お前達は!何処だ此処は!?」


「そういうテメェこそなんなんだ!」


高級そうなデブが吠え、不良が噛み付いた。


俺が言おうとした内容をデブがきつめの言葉で怒鳴ったので、拍子抜けしてしまった。


「わ、私にも分かりませんし、落ち着きましょ、落ち着きましょ。」


「うんうん、こういうときこそ落ち着くべきだ!」


サラリーマンのようなおっさんがなだめ、マッチョなおっちゃんがそれに同意する。


「そうですよ!落ち着きましょう!」


「今は、話し合う事が大切だと思います!」


俺が、とりあえず便乗すると同い年ぐらいの女子も同意してくる。


デブと不良は多数の人の意見に押され、黙った。


「とりあえず自己紹介から始めないか?」


マッチョが提案する。


先ほどの俺を含めた4人は頷き、不良は舌打ちをした。

最初に会った男子と神野さんは、ウロウロしている。

高級な方のデブは眉間に皺を寄せ全員を睨み、もう1人のデブはずっと下を向きブツブツと呟いていた。


とても『協力して頑張ろう』的なムードとは程遠い空気が流れていた。

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