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ギスギスオンライン  作者: ココナッツ野山
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夏休み特集:モョ%モ氏独占インタビュー

S編集:お待たせしました。夏休み特集です。まぁ夏休みはとっくに終わってるんですけど……。お待たせしてしまって本当に申し訳ありません。八月中に特集組むと予告しておいて雑誌に穴開けて普通に減給食らった編集のSです。そして本日のゲストはいつもの例のヤツ……ではありません(笑)。


モョ%モ氏(以下モモ氏):モョ%モ氏だ。この度、社内の人事刷新により新たに運営ディレクターに就任した。時にSくん。君は編集者なのか? マネージャーではなく?


S編集:いえ、もう自分がどの業界に属していてどこの組織の手の者なのかよく分からないんですよ(笑)。元々は雑誌の編集だったんですけど、VIT高いからっていう変な理由でレ氏との対談を任せられて(笑)。そのままなし崩しに(笑)。それにしてもお美しい。


モモ氏:そうだろうな。ョ%レ氏は平素をコンフレームで過ごしていたようだが、私はその必要性を感じていない。


S編集:なるほど(笑)。ところでコンフレームというのは(笑)。


モモ氏:非戦闘体のことだね。


S編集:色々な形態があるのですね(笑)。そんなところも素敵だ。今回は夏休み特集ということで、『GumS Gems Online(以下GGO)』の紹介を兼ねて新ディレクターにお話を伺いたいと思います(笑)。



・鮮烈なデビュー。政府筋から大量発注も……


S編集:GGOの特徴は何と言ってもハード本体に内蔵されている先進的なVR技術です(笑)。やはりこれまでにない新しいことに挑戦してやろうという気持ちはあったのでしょうか?(笑)


モモ氏:君にそれを知る権利はない。しかし仮に諸君らヒューマンがこのゲームに用いられている技術を解析し軍事転用できたなら、この世界の勢力図は一夜にして塗り替わるだろう。解析などまず無理だろうがね。


S編集:綺麗だ。GGOのグラフィックは圧巻の一言に尽きますね(笑)。別の星にワープしているだけという噂もあるくらいで(笑)。例えばこちらをご覧ください(笑)。ユーザーが投稿してくれたスクリーンショット(以下SS)コンテストの優勝作品です。


(優勝SS添付。投稿者はリリララさん。タイトルは夏祭り。浴衣を着た女性キャラクターたちが楽しそうに出店で買い物をしている。夜空に花火。わたあめを口にしている女性キャラクターが振り返ったところを撮影)


モモ氏:華やかで良いね。このSSの秀逸な点は、このようなイベントは実際にはなかったということだ。一枚のSSを撮るために屋台を作り、エキストラを動員している。人の執念。恐れ入ったよ。


S編集:夏らしさというテーマを難なくクリアして来ましたね(笑)。お祭り楽しそう(笑)。これ友達同士で撮ったのかな(笑)。あなたの身近にも素敵な出会いが転がっているかもしれない。今はまだ気付いていないだけで。


モモ氏:間に合っているよ。ヒューマンめ。仕事をしろ。


S編集:仕事してますよ(笑)。ええと、GGOに出てくるMOB?が強すぎると。モブ? ああ、エキストラのことですかね。エキストラと戦っちゃダメでしょう。


モモ氏:モンスターのことだよ。大丈夫か。君は今ゲーム雑誌の編集者としてあるまじきことを口走っているぞ。


S編集:冗談ですよ(笑)。場を和ませようと思って(笑)。少し待ってくださいね。ええと、レイド級?が特に強くて。魔法が欲しいけど??倒せないんですよね? 魔法が? なんだこれ……。打ち間違いかな。日本語になってない。


モモ氏:スマホを貸しなさい。私が直接見たほうが早い。ふむ。そうだな。プレイヤーとモンスターの戦力に隔たりがあることは私も把握している。対策については検討中だが、直接的なものではなく間接的なアプローチを取ることになるだろう。具体的には、この問題の本質はソロプレイの敷居の高さにあると認識している。



・サポートの不足。今後の課題は『親密さ』のアピール


モモ氏:ゲーム内の殺伐とした雰囲気を一新する。システムを変えるということではない。より強力で、電撃的なサポートを実施していく。


S編集:電撃的な恋に落ちたい。素人意見ですけど、このゲーム身体に悪そうで怖いんですよね。健康には影響ないのでしょうか? 同意規約では特に保証していないようですが。


モモ氏:同意規約には目を通しているのか。一体どういうつもりだ。まぁいい。同意規約は契約だからね。不確かなことは言えないのさ。プレイヤーの多くは気付いているだろうが、このゲームのキャラクターは学習し成長していく。リアルでは争いを好まない人間もゲーム内で繰り返し戦闘を行うことでキャラクターは好戦的になっていく。しかしキャラクターの嗜好がリアルに反映することは基本的にはない。基本的にはというのは、戦った記憶は残るからだ。それは避けられない。よってゲームの影響が全くないとは言えない。だが戦闘時の興奮を引きずることはないよ。ログイン中のキャラクター操作はリアルの脳を経由していないからな。


S編集:記憶がなくなったプレイヤーも居たと報告を受けていますが。


モモ氏:バックアップデータを破損すればそうなる。安全性に最大限の考慮をした結果だ。リアルの脳を経由していないからこそ、バックアップデータが破損すれば何も残らないのだよ。そうした仕様により、ユーザーはログイン時にもリアルの身体を動かせる。リアルはリアル、キャラクターはキャラクターだ。まぁバックアップデータを参照している都合上、二つの身体を同時に操作するのは難しいだろうが。右手と左手で別々の作業をするようなものだ。


S編集:私を操作するコツなら後でこっそりと教えますよ。コントローラーがあるんです。愛という名のね。最後に。レ氏はどこ行ったんですかね? こんなSSが送り込まれてきたのですが。さすがに無視できませんでした。


(さすがに無視できなかったSS添付。ョ%レ氏のソロ立ち。種族人間バージョン。ノーネクタイ。カッターシャツの第一ボタンを外している。クールビズ)


モモ氏:執念だな。一体何があの男をこうまで駆り立てるのか……。私はョ%レ氏の同期でね。学生時代から何を考えているのかよく分からない男ではあった。現在は地球に潜伏しているようだ。栄光ある%にあるまじきヘマをしてね。本社より追っ手が掛かっている。


S編集:追っ手ですか。でも無駄だと思いますよ。あれは誰にも捕まえられません。


モモ氏:それは信頼かね? なるほど。面白いヒューマンだ。Sくん。君に免じて一つだけ教えてあげよう。あの男はアカデミーでは常に二番手だった。それは、このモョ%モ氏が居たからだ。


S編集:その話、詳しく聞きたいな。楽しい夜になりそうだ。この後どうです? 一杯。


モモ氏:遠慮しておくよ。君には別に本命が居るようだ。メールに送信履歴が残っている。これはお誘いのメールだろう?


S編集:同伴ですか。でも無駄だと思いますよ。あれは誰にも捕まえられません。だからと言って諦める理由にはなりませんがね。




 これは、とあるVRMMOの物語。

 キャバクラへの熱い想い。



 GunS Guilds Online


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