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95話 獣神決闘 御子

 アルとガムロデの試合後にちょっとしたやり取りを終えた俺はアルと共に委員長の下へと戻ると、そのタイミングを見計らったかのように回復したであろうジェルドとリーディを伴ったレーシャがやってきた。



「アルドルさん、第三試合お疲れ様でした。それと試合の結果は聞きました。おめでとうございます」

「ありがとうございます」



 レーシャは試合中、回復したとはいえ一応二人の体調を気にして即席で造られた医療テントの中で二人の様子を見守っていたので、試合を見る事は出来なかった。


 その為、誰かに頼んで試合結果を報告してもらい、その結果を聞いてやってきたのだろう。



「次の試合で最後ですね……」



 そういって深刻そうに顔を伏せるレーシャ。

 この試合でラズブリッタの運命が決まると思うと不安になるのも仕方がない。



「大丈夫だ。俺達にまかせてくれ」

「これまでラズブリッタには何年も匿ってもらった恩もある。私も全力を尽くすと約束するよ」



 俺が力強くそう言うと、同じようにレイラもレーシャに宣言する。

 そんな俺達二人の姿を見て不安そうだったレーシャも不安げな表情を消した。



「そうですね。私が二人を信じなくてはなりませんよね。お二人とも、頑張ってください! それとなるべくなら怪我しないように注意だけはしてください」



 そうレーシャに言われたので、そこだけは曖昧に返事をしておく。


 さすがに無傷でって訳にはいかないんだよな……


 俺はさっきの事を思い出す。




 試合後の事、俺達の相手について委員長にどんな相手なのか尋ねると「たぶんあの二人よ」とガムロデと共に歩いている二人の少女を指さしていた。


 俺としてはもっとごつくて野獣っぽい筋肉ダルマのような獣人族を想像してたので、その姿を見て驚いた。


 いやいやいや! 人は見かけによらないっていうけど、さすがに獣人族もあんな美少女二人を最終試合、しかも獣神決闘で一番大事なタッグ戦に寄越すわけないだろう!?



「委員長の勘違いじゃないのか? どうみても歴戦の猛者とか言われてる獣人将なんて雰囲気かけらもないぞ!」

「私だって知らないわよ! 第三試合までの参加者と一緒にいたからたぶんそうじゃないかと思ったの! もしあの二人じゃないなら他にそれらしい人は見てないから私もわからないわ。ただこれは私の予想だけど、彼女達は”御子様”とか呼ばれてたから獣人将じゃないんじゃないかしら」



 御子様? よくわからないが嘘だろ……見た感じリアネとそう歳が変わらない女の子だぞ。

 見た目だって全然強そうに見えない。さすがに委員長の勘違いだろう。


 委員長も半信半疑だったし、俺さすがに信じられなかったので、俺の能力の分析で二人のステータスを確認する。


 ――――そして分析で二人を調べた結果。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ラライーナ・ディリール 153歳 獣人族 女性

職業:御子

Lv223

HP:20376

MP:3017

攻撃力:9544

防御力:5039

STR: 2751

VIT: 2333

DEX: 4012

AGI: 5498

INT: 610

能力:神獣化、交信、ステータス限界突破、身体強化、豪腕、物理耐性、移動速度上昇、回避率上昇

   気配察知、感覚強化

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シィナ・コレック 211歳 獣人族 女性

職業:御子

Lv240

HP:18132

MP:5677

攻撃力:10101

防御力:3199

STR: 3475

VIT: 1758

DEX: 6013

AGI: 7054

INT: 1071

能力:神獣化、交信、ステータス限界突破、身体強化、回避率上昇、瞬速、健脚、聴力上昇、気配察知

   視覚強化、感覚強化

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ロリババアかよっ!


 思わず心の中で叫んでしまった。

 どう見ても10代にしか見えない出で立ちだったから驚いた……あんなに可愛い二人がまさか150越えだとは思わなかった。


 しかしそれよりも真に見るべきなのは見た目や年齢などではなくステータスや能力だ。

 なんだこれ……さっき分析したガムロデよりも総合的に見てステータスが高いぞ。


 能力も同様にガムロデよりも多い。


 獣人族で最強なのって獣人将だって聞いてたんだが違うのか?

 ガムロデ以外の獣人将を分析したわけじゃないから確実とは言えないが、リーディを例にあげるなら彼女と引き分けになった獣人将の事を考えればガムロデと同じくらいなのだろうと思う。


 次に能力だ。この分析という能力は使うとステータスカードに表示されるようにして、ステータスメニューが目の前に現れるようになっている。

 そしてメニューにある能力もその能力に触れると説明が表示されるのだが――――


 神獣化

 ???

 交信

 ???


 この二つの能力に関しては見る事が出来ない。

 最初は分析の能力がバグったのかと思って一度分析で出したステータスメニューを消してもう一度同じように試してみたのだが、結果は同じ。 


 御子ってなんだろう? そう思い一応アルやレーシャに聞いてみたのだが、二人ともわからないようだった。


 わかった事と言えば、この二人が相当強いって事くらいか、油断せずに全力でいかないと負けるな。

 もちろん全力を出そうとは思っていたので良いんだが、絶対に勝てる! なんて楽観視はしない方が良いだろう。





 そうこうしているうちに先程言われた獣神決闘最終試合の時間になり、獣人族の男が呼びに来た。



「そろそろ時間だ。準備は出来ているか?」

「大丈夫だ。今行く」

「こっちも大丈夫だよ」



 そう言って俺とレイラが立ち上がると、呼びに来た獣人族の男が蔑んだ目を向ける。


 仕方ないとはいえ人族に対する獣人族の態度はきっついな。こっちとしては友好的でなくとももう少し態度を軟化して欲しいものだ。


 そんな獣人族の男が急に表情を変えると何を思ったのか、急にいやらしい笑みに変わった。

 若干イラっと来る笑みに、俺としてもいい気はしない。



「……なんだよ?」

「いや、お前らがあまりにも哀れだと思ってな。獣人将様が相手なのも十分哀れではあったが、お前らの相手は御子様方だ。万が一にもお前らに勝ち目はない」


 勝利を確信して一欠けらの疑いも持っていないというように自信満々に告げる獣人族の男。


 これはあのロリババアについて何か情報を得るチャンスじゃないか?



「なぁ。あのロ……御子様方ってそんなに強いのか?」

「お前達じゃ100年経っても絶対に勝てないだろうな」

「……そんなにか」

「当たり前だ。あの方達は我ら獣人族にとって特別だ」



 御子について尋ねたら、なんとも誇らしげにそう口にする。

 この調子なら御子についての情報をもっと引き出せそうだな。



「その御子様が獣人族にとって特別な存在ってのはわかったけど、どう特別なんだ?」



 だが俺の考えは甘かったようで、俺がそう聞いたら獣人族が男が急に真顔になり表情を消すとそのまま出口の方へと踵を返す。



「……御子様方について知りたいようだがそうはいかん。まぁ試合になれば嫌でも知る事になるだろうよ、お前らはあのお二方に抗ってもどうにもならない現実というものを叩き込まれるだろうさ。話は終わりだ。準備が終わってるんだったらさっさと来い。この試合が終わった後のお前達の絶望する顔を楽しみにしてる」



 最後にそんな捨て台詞的な言葉を残して、獣人族の男はこの場を去っていった。


 結局あの男が何を言いたかったのかと言えば、俺達に嫌味を言いたかっただけだな。


 結局強いと言う事しかわからなかったのだが、その獣人将よりも強いという言葉には効果があったようで、俺やアル、レイラとシャティナさん以外みんなお通夜の時のような沈んだ表情をしている。


 まぁアルの実力の一端を見たとはいえアルが相手をしたのは獣人将、その獣人将よりも強いと聞いてはこんな雰囲気になるのも仕方ないな。


 さすがに今ここで何か言ったところで、レーシャ達は無理して笑みを浮かべるだけだろう。

 ここはみんなに俺達の修行の成果を見せ付けてやるしかないか。


 俺とレイラは頷き合うと、気合を入れて、獣人決闘最終試合の会場へと足を踏み出した。





 俺達が会場へとやってくると、ロリババア――――御子の二人が既に到着していて、軽くストレッチしながら二人で雑談を交わしていた。



「悪いな。待たせたか?」

「別に待ってないよん。あーし達も今来て準備運動してたから気にしないでいいよ~、久しぶりに戦うから準備運動は大切! しっかりしないとね!」



 先に到着していた二人に詫びの言葉を告げるとそんな風に朗らかに笑みを浮かべながら返してくれる虎人族の御子さん。


 あれ? もっと敵意を込めた視線を向けてくるものかと思ったんだが……人族であるはずの俺に友好的に接してくれてるぞ。どういう事だろう?



「なぁ……俺に対して嫌悪感とかないのか? 俺、人族なんだが……」



 自分でも何を聞いてるんだろうとは思うが、今までの獣人族の反応とはまったく違っていたので思わず聞いてしまった。



「どうしてそんな事を聞くのかわかんないけど、あーしは君に対して嫌悪感を抱く理由がないにゃ。シィちゃんはある?」

「ない」

「だよね~、確かに人族に同胞を攫われたからそいつらはぶっ飛ばしたいけど、君はそれに関与してないのに嫌う理由はないよ~。今は。これからの事はさすがにわからないけどにゃ~」

「そっか」



 この虎人族の御子の考え方は人族全体が悪と考えるのではなく、人族にも良い奴もいれば悪い奴もいて悪い奴をぶっ飛ばしたいという考え方なのだろう。実に俺好みの考え方だ。



「まぁそんなつまらない話はおいといて早く始めたいにゃ~。そっちの準備は大丈夫かにゃ?」

「こっちはいつでも大丈夫だ」

「準備は出来てるよ」



 わくわくした瞳を向けられた俺達が頷くと、御子の二人がストレッチを終えてこちらへと向き直る。


 ――――そうして二人と少し距離を開け向き合った瞬間、体にぞくっと何かが走った。


 なんだこれ? なんか体中に一瞬電流を流されたようにビクッとなった。


 何が起こったのかわからなくて、御子の二人に視線を向けると、たった今まで朗らかな雰囲気だった御子二人の雰囲気が一変していた。


 そこにいたのは獰猛な獣――――表情が変わったとか、体が変異したとかそういう事ではない。

 何が変わったのかと言われても言葉に出来ない。

 ただ今まであった二人の気配とは全く異なっているとしかいるのだ。



「失望だけはさせないでにゃ。”英雄候補”」



 まっすぐに俺を見てそう言う虎人族の御子。


 英雄候補? 何を言っているんだこいつは。


 頭の中に疑問符を浮かべるが、その事について今聞いたところで答えてくれそうもないので、一端保留だ。


 それよりも今確信した事がある。


 ――――それはこの試合がそう簡単には勝たせてもらえないと言う事だ。

読んでいただきありがとうございます。

次の更新は3月1日の予定となっております。


あと3月の更新頻度なんですが、1月と同じくらいの頻度に戻す予定だったのですが、予定していたよりも仕事の方が忙しく2月と同じくらいの更新になりそうです。楽しみに読んでくださる方には本当に申し訳ないです……


少しでも面白いと思っていただけましたらブクマ、評価、よろしくお願いします。

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