63話 今後
☆★☆祝!総合評価1000pt超えました!☆★☆
読んでいただいた方はもちろんの事、ブクマ登録、評価登録して頂いた方に深くお礼申し上げます。
本当にありがとうございました!
これを励みに楽しんでいただける物語を書けるよう頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。
とりあえずこの物語のヤマが終わったら10万PV20万PV、今回の1000PTを祝ってショートストーリーでも書きたいと思っております。
ただ今、俺は委員長に正座させられている。なぜこうなったかと言えばちょっとトラブルがあっただけ……そう!ちょっとしたトラブルのせい!それだけのはずなのに凄く居心地の悪い気分を味わっているのだ。
「聞いてるの?鏑木君」
「はい……聞いております……」
「今がどういう状況かわかってる?」
「十二分に心得ております……」
「じゃあ何でふざけてるのかな?ねぇ」
「別にふざけては……」
「ねぇ?」
「……すいません」
委員長の凄みに反論の余地もなく、謝罪の言葉しか受け付けないといった様子の委員長にただただ平謝りするばかりだ。
「結花さん、あれは私が無理にイチヤ様を引っ張ったせいなので、もうそのくらいで……」
リアネは気まずそうにしながらも委員長を宥めようと必死だ。ちなみにあれは俺とリアネがやらかした事なのだが、正座させられたのは俺一人……なんとも理不尽な話だ……
「まぁ……確かに、鏑木君を責めてもやらかしたものはもうどうしようもないから……この辺にしておくわね」
「ありがとうございます」
そう言って怒りの矛を納める委員長になぜかお礼を言うリアネ。
その台詞は理不尽だとわかっていても俺がいうべき言葉なのだが、かなりの時間正座させられていた俺の足はすでに限界も迎えていて、痺れて言う事を聞いてくれない状態で、何かを言う余裕などまったくないほど痺れを紛らわすのに必死だ。
「話は終わったようですね」
まだ完全に痺れがとれてはいないが、一応の決着を見せたと判断したレーシャが口を開く。一瞬俺の方をムッとした表情で見たが、何か怒らせる様な事をしただろうか?
「ではイチヤさんが協力してくれるという事なので、今後の事を具体的に話しましょう。あともう一つ伝える事があります」
――伝える事がある。
レーシャが伝える事があると言うと嫌な予感しかしない。今までの出来事がそうだったので、思わず身構えたが、どうやら杞憂だったようだ。
「二日後に貴族の方達を呼んだ緊急会議の件については話しましたよね?」
「あぁ」
「その前に勇者召喚された全員には明日、今後についてどうするのかという事を玉座の間にて私達王族を含めて話し合おうと思っています。なので、イチヤさんと結花は明日の正午に玉座へいらしてください」
「わかったわ」
明日の正午に玉座の間に来て欲しい。その言葉に委員長は即答するが、俺は渋い顔をみせて何も言わない。
「イチヤさん?」
不思議そうな顔を向けてくるレーシャに凄く行きたくないという思いが伝わるような嫌な顔をする。
「滅茶苦茶行きたくないんだが……」
「どうしてですか?」
「面倒臭い」
「「……」」
そんな俺の台詞にレーシャや委員長、アルが半眼で睨んでくるが行きたくないもんは行きたくない。
「だってクラスメイトやクソ教師も来るんだろ?こないだはレーシャに文字の読み書きを教わったから承諾したけどさぁ……それにあそこは俺にとっては鬼門だ」
「鬼門……と言いますと?」
「嫌な場所って意味だよ。だってあそこってまず俺を異世界召喚して再び嫌な奴と顔合わせする場になったし、次は獣人の襲撃でグロシーン見せられたし、その次は皇帝が来訪した日に片腕ぶった切られた場所だぜ?もうね。何て言ったら良いかわからんが、あそこはデットスポットだ!そうに違いない!」
「鏑木君。確かに言っている事は間違ってないように感じるけど、本心はただ面倒臭いだけでしょ。変な言い訳しないで大人しく従いなさい」
「い・や・だ・ぁ・!」
委員長に両手で胸倉を捕まれて、凄まれたのだが、首を振って駄々をこねる。
面倒だってのも本心だが、嫌な場所だと思ってるのも本心だ!その場所にまだ三日しか経っていないのに再び行くなんてまっぴらごめんだ!絶対に面倒事に巻き込まれる。俺の勘がそう告げている!
必死に抵抗する俺を見て委員長が両手を放して解放してくれる。……どうやらあきらめてくれたようだ。
「イチヤさんが嫌がる気持ちも尤もなのですがこればかりは……」
「どうしても駄目か」
「決まった事なので……ただ明日は私と父、あと大臣と騎士団長とイチヤさんのクラスメイトの方々だけなので、大事にはならないと思います。だから……どうかお願いします」
深く頭を下げるレーシャに頭を掻く。
「……わかった。クラスメイト達に会うのは本当は滅茶苦茶嫌なんだが、レーシャがそこまで言うなら我慢するよ。協力するって言ったそばから召集に答えないのもな……ただ、絶対に安全に終わるようにしてくれよ?次は両手両足切り落とされましたなんてシャレにならないからな」
「それはもちろんです!イチヤさんに危害を加える輩がいるようだったら私が……どうにかします」
一瞬彼女の瞳に暗い影が見えたんだが、気のせいだよな?
言われたメンバーの中に俺に危害を加えられるものは多分いないだろう。騎士団長のジェルドの実力も獣人族の襲撃の際チラッと見たけど、アルほど強い訳じゃない事はわかった。
これなら絶対だいじょ――いや、そう考えるのはやめておこう。変なフラグが立ちそうだ。どうせ立つなら恋愛フラグがいい!もしくはラッキースケベ……はさっきので懲りたからしばらくは来ないでくれよ。神様。
「そういう訳で明日はよろしくお願いします」
「あぁ、ごねて悪かったな」
「いえ、お気になさらないで下さい」
一言謝罪をし終えると、レーシャが立ち上がり、その姿を見て委員長も立ち上がった。
「それでは私はそろそろお暇させていただきますね。ここで話し合った事を父に報告しに行かねばなりませんので」
「私ももう行くわ。この間の事でクラスメイトの一部の様子がちょっと気になるから様子を見に行かないと」
「そっか、二人ともお疲れ様」
そう言って、俺はアルと一緒に部屋の前まで二人を見送る。そして二人が部屋を出ようとした時……委員長が真面目な顔で振り返る。
「鏑木君」
「?」
「私は鏑木君がレーシャを傷つける発言をした事――許した訳じゃないから」
「結花?!」
いきなり言った委員長の発言にレーシャが驚き彼女の名前を呼ぶ。俺は委員長に真面目な表情になり、彼女の言葉の続きを待つ。
「だからレーシャの為に頑張ってあげて頂戴。彼女が悲しまない為に力を貸して頂戴、絶対にこの国を救って頂戴……」
「……」
「話はそれだけ」
「答えを聞かなくて良いのか?」
「その表情からわかるわ。鏑木君に答える気がないって事は、それに安易に答えられていたら信用出来ない内容の質問をしたんだもの」
そう言って委員長は苦笑しながら俺を見る。
なるほどね。お見通しって事か……確かに俺に答える気はない。いや――答えられないって言うのが正解か……正直レーシャの為に頑張る事、力を貸す事だけだったら承諾していたが……悲しませる事に関しては、どんな結果になるのかわからないので保証出来ないし、この国を救って欲しいなんていくらチートをもらった俺でも手に余る。それは委員長にもわかっているようで、意地悪な質問だなとは思ってたんだが、彼女にもその自覚があるようだ。
「という訳で、あなたの頑張りを見せてもらうわ。それによっては許してあげましょう」
「いや……委員長に許されてもな……」
「文句あるの?」
「……」
高圧的な雰囲気でそう言う委員長に思わず、口ごもる。こいつやっぱりこれが素の性格なのか。日本にいた時の様子と違いすぎるだろ。完璧に猫かぶってやがったな
「文句ある?」
「いや、ないない!これからの俺の様子を見て許すかどうか判断してくれ」
「それで良いのよ」
一瞬考えた事が読まれたかと思うくらいの絶妙のタイミングで声をかけられたので焦った!
「結花、私はもう気にしてませんから……あまりイチヤさんをいじめないで上げてください」
「駄目よ、こういうのはケジメが大事なんだから」
「はぁ……そういう事にしておきます。それよりもそろそろ行きますよ」
委員長の発言に溜息を吐いて、レーシャが先を促すと彼女はそれに従い歩き出す。
「それではイチヤさん、失礼します。また明日、玉座の間で」
「あぁ、それじゃあまたな」
そう言って彼女達が見えなくなるまで手を振り続けた。
読んでいただきありがとうございます。




