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62話 王族

本日三度目の投稿です。

 ――――他種族に対して差別や偏見を無くしたい


 レーシャの語った言葉は、この場にいる全員が目を丸くするのに十分な言葉だった。人族の、それも王族が他種族に対してそんな風に思っているという事など、誰も考えたない。考えた事もないだろう。


「正直この世界に来て、一番驚いたかもしれない……」

「そうね。まさかレーシャ――いえレーシャ達がそんな風に考えているなんて全然知らなかった」


 俺と委員長が素直に驚いたという感想を口にするとレーシャが苦笑を浮かべる。


「そうでしょうね。たぶん国民に聞かれたら暴動が起こる可能性もある発言ですから。この場にいる人間以外で知っているのは父とジェルドくらいでしょう」



 騎士団長のジェルドも知っているのか、でもそれ以外、大臣なんかも知らないとは……本当に隠しているんだな



「でも……考えていまし”た”っていうのは?何で過去形なんだ?」

「それは……もう無理だと思いますから……」


 悲痛な表情でそう語るレーシャに胸が締め付けられる。それほどまでに彼女の表情には悲壮感が漂っていた。


「確かに前回の襲撃に今回の宣戦布告……って今回、獣人族に宣戦布告された事は国民は知ってるの?」

「いえ……今朝方だったという事もあり、混乱が起きた時の対処の準備がまだされていませんので……知らせるのは二日後の貴族の方たちを招集しての緊急会議後になると思います。その時に帝国との同盟破棄の件も知らせる事になっていて……混乱を招くのは避けられないでしょう……」


 委員長の疑問にレーシャが今の現状を伝える。


 前回の襲撃にが完全に治まっていないこの状況での帝国の同盟破棄、それに獣人俗の宣戦布告、確かにこの知らせを聞けば国中に混乱が巻き起こるだろう。



 国民が今回の事を聞いてしまえば、獣人族に対する怒りも最高潮に達する……それによって獣人族の奴隷達に対する態度はきっと苛烈なものになる。

 もしかしたらリアネ達にも危害を加えようとする輩が出るかもしれない。それだけは絶対に防がなければ……



「確かにレーシャの言うとおり、他種族に対しての偏見を無くすっていうのは、厳しいものになるだろうな……」


 無理だとは言わない。そう言ってしまったらレーシャの心は完全に折れると思ったから。


「はい……それに今はこの国を存続させる事自体が危ぶまれる状況です。この件を乗り越えてからでないとどうしようもないでしょう……」

「そうだな。まずはこの戦争をどうにかしないとレーシャの目標を叶えさせる事が出来ないもんな」

「え……?」


 俺の言った一言を聞いたレーシャが、かなり意外そうな顔を向けられる。


「俺また何か変な事言ったか……悪い……もし傷つけたんなら後でいくらでも罵倒してくれ」



 今日の俺はどうも地雷を踏みまくりのようだな……



 そう思いながら頭を下げた俺を慌てた様子のレーシャが手を前にかざして否定してきた。


「違います!別にイチヤさんの一言で傷ついた訳じゃなくって!あの!その!」

「ちょっとレーシャ落ち着きなさい!」


 委員長が慌てるレーシャにチョップすると、あぅっという言葉を発してチョップされた頭を押さえる。良いんだろうか……一国の姫様にチョップなんかして……


 だがその効き目は合ったようで、顔は赤いながらもレーシャが落ち着きを取り戻す。


「すいません……取り乱しました」

「なんかごめん……俺のせいでレーシャが取り乱す事になってしまって」

「いえいえ、私の方こそ」

「「いい加減にし(なさい ろ)!話が進ま(ん ない)」」


 二人で謝り合戦のようになってしまい痺れを切らせた、アル、レイラ、委員長の怒りの声が降りかかる。おまけにリアネには呆れた表情を向けられた。


「とりあえず鏑木君、さっきの事で後悔するのはわかるけど、そのネガティブ思考どうにかしてくれないかしら、見ていてまたひっぱたきたくなるのよ」


 ドSかっ!と委員長に言いたい気持ちを飲み込み、確かに少しネガティブだったと反省する。あまり卑屈になりすぎると自分だけでなく周りの人間まで暗くする。



 ――委員長みたいにイラっっと来る奴もいるだろうしな。異世界に来て委員長とここまで話すとは思わなかったが、これが素なんだろうか?

 だったらイメージと違いすぎる……いや……委員長という肩書きから考えればこれで良いのか?

 きつい性格のドS……うわっ!将来キャリアウーマンになれそうだけど、その性格治さないと絶対行き遅れるな……



「鏑木君……今何か失礼な事考えなかった……?」

「……」

「……考えてなかった?」

「いえ、何も考えてませんです!」

「そう、なら良いわ」


 ドスの聞いた委員長の言葉に冷や汗が滝のように流れる。俺の実力を持ってすれば戦えば勝てるはずなのに、勝てるイメージがまったくわかない。それどころか委員長に頭を持ち上げられてアイアンクローされている自分が見えるくらいだ。

 


 それになんだろう……?委員長の背後に一瞬鬼が見えたんだけど疲れてるのかな?三日くらい寝たはずなんだが……それよりも女の勘っておっかねぇ!



「それよりも、レーシャは何で俺の一言に驚いたんだ?」


 このまま続けていては委員長に対してまずい発言をしてしまいそうだったので、強引に話を戻すと、今までのやりとりをただ呆然と見ていたレーシャが俺が話しかけた事でハッとした様子で我に返った。


「す、すいません!あまりに二人が仲良さそうに話しているのが意外で……今までそういう雰囲気がまったくなかったので驚いてしまいました」


 どうやったらそう見えるんだ?レーシャに眼科を勧めた方が良いのか?それとも耳鼻科を勧めた方が良いのか?というか異世界にそういう医療技術ってあるんだろうか?


 そんな事を考えている間にもレーシャが深呼吸して話を続ける。


「イチヤさん、あの言葉の真意を聞いてもよろしいでしょうか?」

「あの言葉ってレーシャが驚いた一言だよな」

「はい」

「確か”まずはこの戦争をどうにかしないとレーシャの目標を叶えさせる事が出来ないもんな”だったよな?」

「はい!!」


 何故か凄い食いつきのレーシャにたじろぐ。何気ない一言だったんだが、どこかレーシャが食いつく部分があっただろうか?


「真意って言われてもな……何気ない俺の本心だったんだが、レーシャはどの部分が気になったんだ?」

「全部です!イチヤさんのその言い方ですと、私に協力してくれるという風に取れるんですが……違いますか?」

「あ……あぁ!そういう事か!ようやくわかった」



 つまりレーシャは俺が彼女の目標の為に協力すると言ってくれたと思ったわけか



「だけどその前に聞きたい事がある。その返答次第だ」

「何でしょう」


 真面目な表情を作りレーシャに向けると、彼女も真剣な表情をして見つめ返してくる。


「レーシャ……いや、王族の掲げる目標に嘘偽りはないんだな?」

「ありません」

「レーシャは今回の戦争をどうしたい?獣人族を倒してでも国を守りたいか?それともこの戦争を止める為に国民に多大な被害を出した先の獣人族との和平を望むか?」

「それは……」


 ずるい質問だとは百も承知だが、質問せずにはいられなかった。この質問によってレーシャの本心がわかると思ったからだ。しばしレーシャが思案し、ようやく答えが決まったのか口を開く。


「両方です。私は両方手に入れたいです。国も守りたい、でも被害を出さずに戦争を止めて獣人族の方々との和平を望みたいです」



 レーシャの答えは完全に理想論だ。子供でももっと現実的な事を言えるだろう。

 だけど――――俺はレーシャのその答えに満足した。



「俺はレーシャの考えが気に入った。だから協力する……いや協力させてくれ……君の力になれるように頑張るよ」

「イチヤさん……」


 俺がそう言って頭を下げるとレーシャがこちらに来て両手を握られたので、彼女の方を見ると熱い眼差しが返ってきた。俺が協力する事が相当嬉しかったようだが――。


「そうは言っても俺の力なんて高が知れてるよ。レーシャが過大評価してるって事は自覚してくれ」

「そんな事ありません!もしそうだったとしても、イチヤさんが協力してくれる事に意味があるんです」

「あはは……そう言ってくれるとなんか照れるな」


 レーシャの物言いに、頬が熱くなるのを感じて彼女から視線を外して天井を見つめる。たぶん俺の顔は赤くなっている事だろう。


「さて、話もまとまったようですしイチヤ様、あまり姫であるレイシア様の手を握られるのは良くないと思いますよ。それに近づき過ぎですので、こちらにいらしてください」


 声のした方に首だけを向けると満面の笑顔で俺の腰にしがみつき、レーシャから距離をとらせようとするリアネの姿があった。


「リアネ」

「さ、イチヤ様、こちらです」

「ちょっ!?ちょちょっ!!?」

「きゃっ?!」


 いきなりのリアネの行動にレーシャの手を放した俺は変な方向にひっぱられて足をもつれされ転んだ。転ぶ瞬間リアネの拘束が解けたので体を回してリアネが怪我をしないように場所を俺が下になるように入れ替えたがリアネは大丈夫だろうか?


「い……っててて……リアネ……だいじょうむっ!?もがもが」

「私はだいじょうって、きゃっ!?あっ……」



 どうやら変な体勢で入れ替わってしまったようで、俺が下になったところまでは良かったのだが、起き上がろうとして上半身を起こすと丁度俺の顔にリアネの胸がくる体勢になっていて気付かなかった俺はリアネの豊満な胸に顔を埋めた形で口をもごもごさせる。


「イチヤ様……あっ……ちょっと……あ……そこは……」


 リアネの胸に顔を埋めた事に気付いた俺は更に動揺してそこから抜け出そうとしてさらにもがき、彼女の艶かしい声を聞いて頭がショート寸前の状態になった。



 今まで真面目な話をしていたはずが、なぜ急にこうなったのか……ラッキースケベの神様……童貞の俺には刺激が強すぎます…… 

読んでいただきありがとうございます。

どうですか?少しは楽しんでいただけたでしょうか?もし少しでも楽しんでいただけたらブクマ、評価を入れてくださると執筆の為の励みになるのでどうかよろしくお願いします。


さて……どうしてこんな展開になったのか、それは読んでくれている方の為……ではなく結城自身がシリアスに耐えられなくなったからです!

ギャグ上等!明るい方がいいじゃない!というわけで……自重しません!今後とも!


……はい、すみませんでしたorz


5月23日 誤字報告があり修正しました。ご報告ありがとうございました。

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