表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/196

34話 思わぬ再会

 短髪赤毛の騎士と金髪の騎士二人とあと少しで戦闘を終えようかという時、人垣をかき分けて新たに四人の騎士達が現れる。

 

 正直この展開はまずい、二人ならばどうにか手加減出来たが倍の人数と短髪赤毛の騎士を含めた五人を相手に手加減など出来ない。抵抗すれば確実に相手を無傷で無力化などできないだろう。そんな事態になれば確実に捕まる。


 俺一人ならば捕まってもどうにかなりそうだが、釈放されるまでにシスコン兄ちゃんとクルエラがどんな目にあうかわからない。


 背筋に冷や汗を掻きながら四人の騎士がやってくるのを見つめながらどう対処しようか考えを巡らす。


 徐々に近づいてくる四人の騎士。その顔が視認出来るくらいの距離まで近づいて来た時、俺は安堵の息を吐き出した。


 なぜ四人の騎士を見て安堵したのか。それは四人の騎士の内の一人に見覚えがあったからだ。向こうも俺に気付いたのか、一瞬不思議そうにしながらも先頭を歩いていた小柄な体躯の騎士が小走りで駆けて来る。


「なにやら騒ぎを起こしている輩がいると報告を受けて来てみればイチヤ様じゃないですか。お久しぶりです。」


「久しぶりっていってもまだ一ヶ月も経ってないじゃないですか。まぁでもお久しぶりです」


 にこやかに挨拶を返してくれる騎士に俺も精神的に余裕が出来たのでおどけた感じで揚げ足をとった後に挨拶を返す。


 小柄な体躯の騎士に遅れて外の三人の騎士も俺の側に到着すると俺の顔を見るなり、片膝をついて頭を垂れる。三人の騎士はどうやら俺を知っているらしい。

 

 その光景に周囲にいる人間が唖然としたような顔をしてあいつは一体何者なんだという疑問の表情を浮かべていたが、答えてやる必要はないので無視させてもらい俺は騎士に目線を合わせると口を開く。




「それにしてもまさかここで女騎士(仮)さんに再会するとは思いませんでしたよ」


「ちょっと待ってください!今女騎士の後にボソッと(仮)ってつけませんでしたか?!」



 結構小声で言ったつもりだったんだけど聞こえてたか――まぁいいか



「ははは」


「はははじゃないですよ!」


「あっはっは」


「笑い方の問題じゃないです!」


 そう。一人見覚えがあった騎士とは褒賞授与の際に俺を謁見の間に呼びに来た女騎士だ。確かにここは王都なのでいつ出会ってもおかしくはないのだが、まさかこのタイミングで再会するとは思わなかった。偶然って凄いね。


 顔を真っ赤にして小動物のように怒っている女騎士(仮)をからかっているとさっきの真剣な空気が霧散していった。周りの野次馬達もこれで戦闘(見せ物)が終了したとわかるやいなや元いた場所に戻り酒を飲みながら馬鹿笑いをしている。


 それを見て女騎士(仮)も騒ぎが沈静化した事を悟り、さっきまでぷりぷり怒っていた表情を正すと直立不動の体勢になる。それにあわせ片膝をついて頭を垂れていた三人の騎士もバッと立ち上がり同じように姿勢を正す。



 なるほど……よく訓練されてるな

 伊達にちっちゃくても立派な騎士だ



 そんな感想を抱きながら女騎士を見ていたのだが次の彼女の発言で驚きの事実が明らかになる。


「いつまでも女騎士(仮)なんて不名誉な呼ばれ方をされると困りますので、今ここで名乗らせていただきます!私は第二騎士団所属、”隊長”のリーディ・プリステルと申します!以後お見知りおきを!」



 ……ん?俺の耳がおかしくなったのかな?

 今隊長って聞こえたぞ……



「すいません、よく聞こえなかったものでもう一度お願いできますか?」


 声を張り上げているのに聞こえないなどありえないのだが、自分の耳がおかしくなっていたので深く頭を下げてもう一度自己紹介をお願いした。


「は!私は!第二騎士団所属!”隊長”の!リーディ!プリステルと申します!以後お見知りおきを!」


 今度は一つずつ区切って周りに響くようにしてはっきりと告げてきた。


「すいません、もう一度お願いします」


「第二騎士団所属!”隊長”の!リーディ!プリステルと申します!」


「もう一度」


「第二騎士団所属!”隊長”の――」


「もう一度」


「第二騎士団所属!”隊長”のごふぉっごほっ!」



 あ、むせた



「もう!なんなんですか!絶対に聞こえてますよね!!」


「聞こえてたけど、信じたくなかった」


「信じたくない!?どういう事ですか?!?!」


「いや~だって……」



 こんな小動物のようなちんちくりんの女騎士が隊長だなんて言われてもにわかには信じられないよなぁ……

 騎士団の隊長って言ったらもっと筋骨隆々のいかついおっさんを想像するだろ普通



 そんな考えが頭に過ぎっていたが口には出さない事にした。ここでこの前のように泣かれてもうっと――困るしな。


 だが俺が言いよどんでいると彼女――リーディと名乗った女騎士は俺の考えがわかったのか前のように泣くのではなくリスのように膨らませる。その姿を見て思った――騎士の威厳なんて欠片もないなと……





「あなた達も隊長である私がこんな扱いを受けてるんだから黙ってないでイチヤ様に何か言ってやってください!」


 しばらく怒っていたリーディを軽くあしらっていたのだが埒があかないとわかると今度は俺から部下と思わしき騎士達へと視線を向けて自分が隊長であるという事実を認識させようと部下達に何か言うように告げる(命令する)


そして彼女の言葉を受け身長百九十センチくらいある騎士が一歩前に進み出てきた。威圧感があり、無骨な顔立ちをしている大男が、対峙した俺を見下ろすように見てくる。敵意は感じないが異様な雰囲気を纏っている大男を前に警戒するように身構え、いつでも動けるようにしておく。


 外の二人は静観するのか真剣な表情を崩さないがこちらに近寄っては来ない。だか纏っている雰囲気は目の前にいる大男と一緒だ。


 失敗した……仮にも隊長を務めてる彼女に対してからかうような態度を取っていたのだ。少なからず悪い印象をもたれてしまったに違いない。せっかく無事に切り抜けられると思っていたのにこんな事になって軽く後悔する。


 周りの喧騒が何処か遠くに感じられる。まるで自分達の周りだけ切り離されてしまったかのようだ。


 そんな感覚を味わっているとようやく大男が言葉を発する。


「イチヤ殿、発言させてもらってもよろしいでしょうか?」


「……どうぞ」


 低く野太い声で丁寧な口調を紡いでいるが、どこか俺を非難しているように感じ、生唾を飲み込み次の男の言葉を待つ。


「イチヤ殿、あなたのおっしゃりたい事はもっともだ。隊長の容姿は確かに幼い」


 大男は力強い声で俺の事を肯定する。これにはリーディも目を丸くして驚いていた。そんなリーディの事など気にも留めずに大男は続ける。


「ですが”こんな”見た目でも隊長は私達などよりも断然強い!私達は隊長を慕っています」


「一言余計なんですが……ありがとございます」


 リーディの一言に大男が満足そうに頷き、更に”続ける”


「まぁ私達は隊長が例え弱かったとしても隊長に忠義を尽くしたでしょう!それはどうしてだかわかりますか?」


「いえ……わかりません」


 大男が熱く濁った眼差しで俺に問いかけてくるのを俺は引き気味に答える。俺が答えると大男はもう周りが見えていない様子で先程よりも更に大きな声で肩を奮わせながら語り出す。


「可愛いからです!見た目は”ちんちくりん!”普段は”ドジ”でよく失敗して半泣きになったり、部下が間違って隊長の好物を食べてしまった時など大泣きしながら怒ったりもします!ですが――可愛ければいいじゃないですか……」


 最後の部分で若干声のトーンを落とししみじみとした声で告げる。


「可愛ければいいじゃないですか!!」



 なぜ二回言った

 あと叫ぶな



「お前等もそう思うよな!」


「あぁ」

「可愛いは正義だ」


 大男が背後にいる二人の騎士に同意を求め振り返ると、二人の騎士はうんうん頷きながら同意している。



 お前等もか……この騎士団大丈夫か?



 俺の心の内など知る由もなく大男は続ける。


「そんな隊長に対してイチヤ殿の態度はあまりに失礼ではありませんか!良いですか!可愛いは正義なんですよ!」


「「可愛いは正義だ!!」」


「「「可愛いは正義だ!!」」」


 大男の言葉に二人の騎士が同意するように叫ぶと、騎士達に続きなぜか周囲にいた酔っ払い達のシュプレヒコールが鳴り響く。騎士達の熱にあてられたのか、ただ面白半分に便乗してるのかはわからないが可愛いは正義コールが辺り一帯に広がる様は何かの宗教かと思うほどだ。


「そういうわけです。イチヤ殿、ちんちくりんでドジで大人げないうちの隊長に対して行った数々の非礼を詫びてください」



 俺よりもあんたの方が彼女に失礼極まりない暴言を吐いたことを謝ったほうが良いんじゃないだろうか。そう思ったのだが周囲の空気を察してリーディの方に向き直ると深々と頭を下げる。


「あの……なんか色々すみませんでした……」


 リーディに対して素直に俺の謝る様子を見て満足そうにしている大男は誇らしげな顔を彼女に向ける。

 一方のリーディはというと耳まで真っ赤にして下を向いてプルプル震えている。



 あ……これって



「隊長に言われたとおりイチヤ殿に隊長の事を認めさせることが出来ました!良かったですね隊長謝ってもらえて!いや~イチヤ殿の隊長に対する数々の無礼は目に余るものがありましたからな!これでたいちょ――ぶべらっ?!?!!?!」


 大男が言い終わる前に男は壁際へと吹っ飛んでいった。もちろんやったのは第二騎士団隊長リーディ・プリステルその人だ。


「あなたの方が余程失礼な事言ってるでしょ!!!!」


 顔を真っ赤にして激昂していた彼女は目にもとまらぬ速さで大男に接近すると剣の鞘で大男の顔面に叩きつけて吹っ飛ばしたのだ。



 確かに隊長というだけの事はあるな。目で追うのがやっとだった……



 彼女の実力の一部を垣間見たような気がして俺は表情に出さないようにしていたが内心ではかなり驚いていた。


 この世界に来て人生で初めて人は見かけによらないという言葉を実感した――



夜勤明けの妙なテンションで書いたのでおかしな点があるかもしれませんが生暖かい目で見ていただけたらと思います。


後日冷静な状態の時に見直して修正かけるかもしれません。楽しんでいただければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ