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21話 能力

 まず俺が最初に触れたのは敵感知だ。これは名称どおりの効果だろうが一応確認しておこう。


敵感知(Lv1)

 使う事によって使用者に対する相手の敵対しているかどうか色で見分ける事が出来る。


 なるほど敵感知は色で区別してくれるわけか、これは結構便利かもしれない。ただどういう色分けするのか気になるな。


 ――――敵感知


 心の中で敵感知を唱えて試しにレイラに向けて能力を発動してみる。すると彼女の体を白い膜?のようなものが覆っている。白が敵ではないという事なのだろうか?という事は黒が敵対しているという事か?まるで犯罪の容疑者の確認みたいな能力だな……


 そんな嫌なイメージを持ってしまった。だが必要になる場面もあると思うので色々試して能力をきちんと把握しておこう。後は状況によっても色が変わるのかが気になるので被験者アルが来たら実験開始だ。



アイテム効果上昇(Lv2)

 回復薬などの消耗品を使用の際、効果を上昇させる。


 これは予想通りの説明文だな。ただ、レベルが二になっている。たぶんリアネやメイド達、後は獣人達にヒール丸薬を飲ませた事でレベルが上がったのか、二とはいえずいぶん簡単に上がるんだな。必要経験値とかどうなってるんだ?これも検証する必要ありか。



魔法効果上昇(Lv4)

 魔法を使用する際の効果上昇とMPの消費量減少。


 どうやら魔法効果を上昇させるだけかと思ったんだが、消費MPも少なくしてくれるのか

 でも俺が使える魔法って創生魔法だけなんだよなぁ

 せっかく異世界に来たんだから火の魔法とか風の魔法とかを派手にぶっ放してみたい


 それにしてもこっちはLv4か、アイテム効果上昇の倍のレベルになっている。これみると必要経験値と使用回数でレベルが上がると見て良いのだろうか?こんなにゲーム仕様っぽいんだから攻略本とか攻略サイトが欲しいところだ。


 こうして予想のついた三つの能力を確認した。一部予想していなかった効果もあったが概ねあっていればそれで良い。説明文をちゃんと見ないとわからないようなものが五つか、一つずつ確認してみるか。



武器適正(Lv3)

 条件発動型。武器を手にした際にどのような武器も使用することが可能。


 ふむ、条件発動型って事は武器を持った際に発動するという事か

 武器適正に関しては予想では自分の適正武器があってそれの効果上昇とか思っていたんだが、あらゆる武器を使いこなせるって事か。便利だ。


 これが獣人との戦いで発動してくれていたのか、さすがに牢で剣を振ってただけじゃ咄嗟にあんな風に使えなかっただろうからな。



ステータス能力向上

 レベルアップ時に取得できるステータス値を通常よりも多く取得する事が出来る。


 あのバグみたいなステータスをさらに跳ね上げたのはこれが原因か。まぁ高いに越したことはないんだけど、更にチート性能になった気がする。ただ能力の内容は普通だな、上昇するステータスが異常なだけで……



真贋(Lv1)


 全ての事柄に対して本物と偽物を判別する。


 ん?なんだこれ?

 

 よくわからなんだが、てっきり道具を本物か偽物か鑑定する能力かと思ったんだが全ての事柄って書いてあるから他にも何かに使えるんだろうか?これも今は保留にしておくか。というか保留しておくしかないよな



分析(Lv1)


 人や道具などの正確な情報を調べることが出来る。


 これは相手のステータスカードの情報を知ることが出来る事と道具に関してはどんな効果なのか、その道具がどういう物なのか知る事が出来る能力って事でいいんだろう。たぶん。これも保留だ保留。



 真贋も分析も鑑定系の能力だがよくわからん。ネトゲでのクエスト専用アイテムの説明文くらい能力の説明文がわからん。とりあえず今はどうにもならないので今度いろいろなもので試してみよう。


 最後に一番わからない能力を見てみるか。こうわからない能力を見ると初日に女神の祝福を見たことを思い出す。あの時みたいなふざけた文章が書いてあったら今度は踏みつけるだけじゃなく叩き割ってやろうかと物騒な事を考えてしまう。


じゃあ見てみるか


 その能力を指で触れる。



黒き衝動


 条件発動型。憤怒、憎悪によって発動し、黒き衣を纏う狂人の力を得る。

 全ステータス値上昇。物理攻撃力上昇。物理防御力上昇。魔法攻撃力上昇。魔法防御力上昇。攻撃速度上昇。

 命中率低下、自動回復能力低下。判断能力低下。女神の祝福と重複不可。こちらが優先される。


ただの勘だがこの能力はやばいような気がする。使用していたという実感はないんだが、予想出来るのはドルガと戦った時か?あの時に怪我の治りが遅かったように感じたからたぶんそうだ。

 

 あの時獣人達を殺して何も感じなかったのは怒りのせいだと思ってたんだが、この判断力低下の影響か……?この事に関しては怒りや憎しみで衝動的に殺ってしまったのか、この能力のせいで殺ってしまったのかはわからない。もし後者が理由なのだとしたら気軽に使ってはいけない能力だ。俺が殺してしまった事実と一緒に心に留めておこう。


「それにしても使用した実感がない能力って恐ろしいな……」


 思わず独り言を呟いてしまう。そのくらい怖い能力だ。パッシブスキルとかの常時発動能力や武器適正のようなわかりやすい能力なら安心だが、感情次第で発動するなんて自分じゃ制御しきれない。正直こんな能力はいらなかった。


 確かこの能力を手に入れたのは罪人の称号の後だったな


 そう思いログを確認する。日付表示もされているのでそちらを確認すると丁度俺がアルにリアネが奴隷メイドだと教えられた日だった。たぶんあの時の怒りで発現してしまったんだろう。


 とりあえずこれも今はどうする事も出来ないので保留にするしかないか。出来れば俺を怒らせる事態が発生しない事を祈るしかないな。



 一通り新しい能力を見てみて気になったのが能力欄を開いた時に能力の横にあったレベル表示だ。最初にステータスカードを見た時は、どの能力にもこんな表示はなかったんだが、STRとかのステータス表示と同じく、これが王様の言っていた新しいカードの機能の向上というやつだろうか?


 そう思って前に見た他の能力を見てみると創生魔法がLv8、物質変換がLv6と表示されていた。状態異常無効、ステータス限界突破にはレベル表示がなかった。

 どうやら能力的に上がっても意味のない能力に関してはレベル表示がつかないようだ。

 それにしてもこのレベルはどのくらいが上限なのだろう?


 まさかステータス限界突破の能力が作用して上限がないなんて事はないよな?


 あと思ったのは「これ、機能の向上か?」という疑問だった。確かに性別や人種、STR類などの表示の追加や能力のレベル表示などは新しいとは思うが機能の向上とは言えないと思う。俺だったら機能の向上ではなくカード表示の追加と言うだろう。王様の言い方が間違ってたんだろうか?


 アルが巡回に来た時かレイラが起きたらちょっと聞いてみるか


「これで一通り確認し終えたし、問題の解決はゆっくりやっていけば良いか」


 今はどうする事もできないし、なんか面倒臭くなったのでカードをポケットへとしまう。あえてあの能力を確認しなかったのはうっかりとかではなく意図的にだ。


 だがそんな俺の行動をあの神は許さなかったようだ。


 ピコンッピコンッ――――


「ん?」


 何処かから妙な音がする。なんだろうこの間抜けな感じの音は?


 そう思って周りを見渡してみるが音の発生源が何処だかわからない。


 ピコンッピコンッ――――ブブブブブブッ


「うぉっ?!」


 ポケットからいきなり効果音とスマホのバイブ機能のような震動がして思わず驚きの声が出てしまう。少し大きな声を上げてしまったので慌ててレイラの寝ているほうを見るが、彼女はちゃんと眠っているようで安心した。


 彼女を起さなかった安堵感とは別にポケットの中に嫌な予感を感じる。ポケットの中ではまだ音がなっていて震動も続いている。


 理性ではわかっているんだがどうにも手が一向にカードを取り出そうとしてくれない。まるで神経が手への伝達を拒否しているようだ。頬には一筋の汗が流れている。


 ピコンピコンピコンピコンッ――――ヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ


 ポケットの中での震動もどんどん大きくなっている。このまま大きくなればうるさくてレイラも起きるだろう。


 俺は自分の手に力を込め、意を決してポケットからうるさく鳴って振動しているステータスカードを取り出した。


 カードを見てみると女神の祝福の文字が白い光を放って明滅している。


 やっぱり見なくちゃダメ……?


 内心見たくないのだが、音と震動が止まってくれないので諦めて女神の祝福の能力欄を開いた。


 女神の祝福を見てみてもレベル表示もされてないし能力の説明欄も変わっていない。唯一つ変わっていたのは。


 PS:この能力を無視しましたよね?無視しましたよね?そんなぞんざいに扱って良い能力でない事を勇者であるあなたは理解しなくてはいけません。良いですか?この能力を持っているというのは誉れ高い事なのですよ。あなたの世界の言葉を借りるならレアスキル!もう少し大切にしてくださいね。次ぞんざいに扱った場合は私の女神の力であなたに迷惑が降りかかるでしょう!


 なんだろう?この女神とは思えない文面、普通はあなたに災いが降りかかるでしょうじゃないのか?

 

 だがこの書き方が生々しい。災害とかそういうんじゃなく本当に俺だけに迷惑がかかる事をしてきそうだ。今回の音を鳴らすってだけでも十分迷惑なんだが、このクソ女神、絶対にこれ以上の嫌がらせをしてくるだろう。そんな予感がする。


 俺は怒りと呆れとほんの少しの恐怖心を抱いて再びステータスカードをポケットにしまうのだった。…まぁいいやクソ女神…お前は必ずこの世から消えるからな…俺が激痛を与えて消すよ

いつも読んでくださりありがとうございます。


今回は能力のお話です。次回は機能のお話しになります。

長くなりそうだったので三分割にしました。これが終われば少しだけ話が進みます。


少し短いですが楽しんで頂けたら幸いです。


来週あたりから仕事も落ち着くと思うので通常の文字数と更新頻度に出来そうです。もう少し更新頻度を上げたいのですが……

待っていてくださる方がいたら申し訳ありません。

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