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20話 ステータス

 昨日は委員長達が来たせいで本当に疲れた。というかなんだろう?獣人達と戦った日からどうも気苦労のたえない日が続いている。王様からの褒賞や委員長達の訪問とか……神様、そんな強制イベントは望んではいないでので今後このような不具合がないようにお願いします。


 あ、神様ってあのクソ女神じゃねぇか!

 じゃあ祈っても無駄だろう



 昼食を終えて食休みをしていた俺はこんなどうでも良い事を考えていた。昨日はこの時間に委員長達が来ていたので警戒していたのだが今のところ来る気配はない。


 獣人メイド達の方は一週間に一度念入りに掃除する日らしいので、今日はピアやフィニ達は遊べないらしい。残念だ。


 リアネも年長者の一人らしくみんなと一緒に掃除をしにいったのでこの場にはいない。アルも今は外で牢番として働いているのでいない。


 みんなの仕事ぶりを見に行くことも出来るのだが昨日の精神的な疲れもあってその元気もないので今はベットに横になっている状態だ。


「レイラ、暇じゃない?」


 特にやる事もないのでレイラに話しかけてみる。


「こういう静かな時間もたまにはいいだろう」


「まぁ確かに、昨日はホント疲れたからなぁ。あぁいう面倒臭い事が起きるくらいならこういう暇な時間を過ごしている方がいいかもしれないな」


 レイラの言葉に愚痴を零すように返すと、何か微笑ましいものを見るような目で俺をレイラが見ていた。


「暇な時間は暇な時間で使い方次第で有効に使う事だって出来るさ」


「例えば?」


「色々誰にも邪魔されずに考え事に耽る事が出来るじゃないか」


「考え事かぁ。俺時々考えなしに行動するからもう少し考えて行動した方が良いとは思うんですけどね」


「あぁ、そうだな」


 

 自分で言った事なんだが誰かに肯定されると結構ショックだな


「うん……もう少し考えて行動します」


「?何を落ち込んでるかわからないけど、あまりアルに迷惑かけるなよ。使い勝手は良いいかもしれないが、あの調子でイチヤの世話をしてたらあと五年もしないうちに絶対禿げるからな」


 あれ?レイラさんって毒舌でしたっけ?

 本人は悪意があってそう言ってないのはわかるんだが今日の彼女の言葉はぐさぐさ刺さるな


 というか、この場にアルがいたら「禿げねぇよ!」って絶対つっこんでいるだろうな。



「善処します――――ところでレイラは考え事って普段どんな事を考えてるんだ?」


 なんかこのままだと俺とアルが更にひどい事を言われてただでさえ少ない俺の精神に多大なダメージを受けそうだったので少し話題を変える。彼女は天井を見つめて少し考えてから口を開く。


「食事の事だ」


「ん???」


 一瞬何を言われたのかわからなかった

 いつも真面目な顔してまさか食事の事を考えてたのか?

 いや、俺の聞き違いだろう


 そう思ったのだが、俺が聞こえてなかったと思ったレイラはもう一度同じ言葉を口にした。


「だから食事の事だ。次の食事の事を考えている」


「ま……まぁ、食事は大事だからな」


 自分でも少し顔が引きつってるのがわかる。正直彼女の寡黙でミステリアスなイメージが俺の中でばらばらと崩壊していく。


「あぁ、食事は全ての活力と言っても良い。特にイチヤがここに来てくれたおかげで味気ない食事が見違えるほど良くなった。イチヤには感謝しているよ」


 確かにレイラの食事は誰が作っていたのかわからないが一度見た時、作った人間には悪いが、これは残飯かと思うくらいひどいものだった。俺の提案でリアネに作ってもらうようになってからの事を感謝してくれている。だがそれはリアネの功績だ。俺が受ける感謝ではない。


「俺にじゃなく機会があったらリアネに言ってやってよ。絶対喜ぶからさ」


「わかった。確かにリアネにも伝えるのが筋だものな」


 レイラも俺が言いたかった事はわかっているらしく、今度リアネに伝えるようだ。


 それにしてもレイラの意外な一面が見れたのは良かった。たまには二人だけで話す機会があるのもいいかもしれない。

 この際だ。もっと色々話してみよう。


「食事以外にはどんな事考えてるんだ?」


「大半は食事の事だが、後は……そうだな。イチヤ。君の事もよく考えているぞ」


 彼女の何気ない一言を聞いて俺はどきっとした。


 俺の事?

 なんだろう?

 

「俺の事よく考えてるって……どんな事考えてるんだ?」


 なるべく表情に出ないようにどきどきしながらレイラに尋ねる。

 

 レイラは言うべきか言わざるべきか天井を少し仰ぎ見ながら考えていたがやがて。


「イチヤ、君は少々……いや、結構か。短絡的な言動や行動が目立つ傾向にあるようだ。私やアル、リアネ辺りにだったら目を瞑る事もできるが、他の者、つまり君を知らない者などにとっては君は脅威であり排除対対象になりかねない。昨日のような言動をこれからも取っては敵を増やすだけだから自重した方が良いな。殺すだの死ねという言葉は他者を傷つける。もちろん彼女達の行動や言動にも多分に問題があったのだから仕方がないとも思う気持ちはあるが、それならそれで他に言い様があったはずだ。熱くなるのは仕方がないが、熱くなる前に少し思案してから発言するといいだろう。もちろんこれは私が個人的に思ったことなので、君がそれを良しとしないなら聞き流してもらって構わないのだが、出来れば心の片隅にでも留めておいてくれるとありがたい」


 彼女の言葉にさっきまであったほんわかとしたどきどきが霧散した。


 あの……レイラさん。今日はいつになく饒舌ではないでしょうか?

 

 普段何を考えているのかわからなかったがそんな風に色々考えていたのか。


レイラの発言には俺も思うところがあったので、俺の為の忠告として受け取っておこう。だが、この話題はいけない。たぶん放っておくとこのまま俺への説教が続きそうだ。


「あの……レイラさん。肝に銘じておきますのでそのくらいで」


 あ、思わずさん付けで呼んでしまう。なんか先輩に注意されている後輩の気分になってしまった……


「そうか?それなら私も言った甲斐があるというものだよ」


 彼女の表情は変わらないのだが、気のせいか満足気に見える。


「ほ……他にはどんな事を?」


「ん?後は特にないぞ、強いてあげるなら獣人の子達が素直で可愛いくらいか」


「それには同意だな」


 リアネ以外の娘にも接してみたのだがあの娘達は本当に良い娘達だ。何事にも一生懸命なので、与えられた仕事もきちんとこなしてくれるし今では自然に接してくれていて、小さい子達等は時々甘えてくれるのが可愛いとも思っている。


 時々リアネがむくれたり変に殺気立ってるというか……怖い時があるんだがここでは置いておこう


「他には何かないか?何でも良いからもっと話そうぜ」


 いつもと違うレイラに興味があった俺はそんな風に話を続けようとする


「イチヤ」


「ん?」


「うるさい」


 え……?


「あ、違った。イチヤ、うざい」


「いや!どっちにしても傷つくよ!?」


 真面目な顔でそんな風に言われて思わずつっこんでしまう。もちろんレイラにそう言われてかなり精神的なダメージも蓄積されていった。


「冗談だ」


「なぜそんな冗談を……?」


 まったく冗談に思えないんだが……


「イチヤとアルのいつものやり取りを真似してみようと思ったんだが、私ではどうにも上手くいかないな」


 そりゃあまったく表情を変えないままのやり取りをされたら怖いだけだ……


「たまの二人きりなのでな。柄にもなく少しはしゃいでしまった。不快にさせたのならすまない」


「いや、不快ではないが少し困惑はした。でもレイラとこんな風に話せるとは思ってなかったので俺も楽しいよ」


「そう言ってもらえると助かる」


 そう言って口角を少し上げて笑ってくれる。不器用な感じに笑っているが、彼女にとしては最上級の微笑みだとわかっている。


 レイラとの会話はこうして終わった。俺はもう少し話すつもりだったのだが、普段あまり話さない彼女は久しぶりに話したので少し疲れてしまったようだ。「少し横になる」と言ってそのまま寝てしまった。最初は俺との会話が面倒くさくて寝たのかと心配になったのだが、彼女のどこか満足したような寝顔を見ると杞憂だったようだ。静かな寝息が聞こえる。


 おっと、あんまり女性の寝顔をみてるのはまずいよな


 そう思って俺は寝ているレイラを見ないように彼女に背を向ける。


 それにしても、話す相手がいなくなってまた暇になってしまった……


 どうしようかと考えていると、昨日委員長が持ってきたステータスカードの事を思い出す。


 そういや王様が機能が向上されるみたいな事を言っていたな……

 どんな風に向上したんだろう?


 俺はポケットに入れていたカードを無造作に取り出すとカードの内容を確認する。


 転移初日にもらったカードは白い物だったのだが、新しいカードは水色になっている。


 ランクによってカードの色が違うのか

 一体いくつランクはあってこれはどのランクなのだろう?


 普通に考えて二つ目のランクだと思うのだが、あの王様の事だ。いきなりランクをすっ飛ばす事も十分ありえる。だが、今はそんな事よりも――――


「さて、どういう風に機能が向上されてるんだろうな」

 

 レイラを起さないように独り言を呟く。肝心の内容の方はというと


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

カブラギ・イチヤ 16歳 人族 男性

職業:ニート、ご主人様

Lv56

HP:19722

MP:13047

攻撃力:6869

防御力:6451

STR: 2051

VIT: 1850

DEX: 1516

AGI: 1709

INT: 612

能力:女神の祝福、創生魔法、物質変換、状態異常無効、ステータス限界突破

   敵感知、武器適正、アイテム効果上昇、魔法効果上昇、ステータス能力向上

   真贋、分析、黒き衝動 


ログ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 はぁ!?!?

 この前Lv1だったのになんで55もレベル上がってるんだ!?


 思わず声が出そうになったけど、口を手で押さえてなんとか堪えた。

 危うく素っ頓狂な声が出てしまうところだった。

 口から手を離しどうしてこうなったのかログに指を触れて確認する。


 俺がログを開くとそこには大量のログが書かれていた。


 うぉ?!なんだこれ!??ログが滝のように流れてる!


 初日以降――――正確には女神の祝福の説明文を見てキレた時以降、カードをチェックしてなかったんだが、凄い事になっていた。

 とりあえずログを確認する為に浮かび上がっているログを指で触れてスクロールしてみる。

 どうやらこれで良いようだ。

 出来なかったらカードの方をスクロールしてみようと思ってたので手間が省けた。

 最初の方の罪人の称号を付与されたログの一行下に黒き衝動を手に入れたとかのログがあったが読み飛ばす。


 今は能力が手に入ったのだけわかればそれで良い

 それよりも時間がかかりそうなこの大量のログの確認だ

 一通り目だけは通しておいた方がいいだろう


 ログが大量に流れ出したのはやはり獣人達との戦いの日から凄い勢いで流れていた。軽く確認してみる。



獣人族の男を倒した。598の経験値を取得しました

レベルが上がりました


 なんか前のカードよりゲーム感が漂うような内容だな

 


こんな感じのログが表示されていたのは面倒臭いので読み飛ばす。スクロールしているんだが、特に前半のレベルが上がりましたのログが凄い多い……鬱陶しい

 

 時々能力を取得したログもあったが、軽く目を通すだけにした。


 それにしてもなんなんだ、この突っ込みどころ満載のカードは?なんか一つ一つ確認していくのが面倒になるぞ。これ。


 一番はじめに気になったのはこのご主人様。


 いや、確かにリアネ達の主になったんだが、職業欄に書く必要なくないか。ニートもそうだが、悪意を感じる。カードを作った奴のものかクソ女神のものかはわからんが、ふざけてるとしか思えない。


 職業欄を見られたら絶対にクズ人間に見られるだろうな……

 なんだよ、ニートにご主人様って

 

 なんか落ち込んできたので次に進むことにしよう。


 次だ!次!


 

 次にSTR、VIT、AGI、DEX、INT、の項目を確認。もう完全にゲームです。はい。


 俺がやってたネトゲだったら攻撃力とSTR、防御力とVITが一緒になっていたんだが、別々に書かれているという事はSTRは攻撃力に含めないで――――たぶん筋力とかそんな値なのだろう。

 そういった考え方をしていくとしたらVITは防御力ではなくて――――体力とかスタミナとかそんなところだろう。AGIはやってたネトゲでもあったが敏捷性とかか?


 試しに反復横とびをやってみる。


 特に素早くなってるようには感じないのだが、戦闘になれば実感できるのだろうか?ホントよくわからんな。


 あとはDEXは命中率とか器用さだが、これはしびれ針や棒手裏剣を使う時は便利かもしれない。個人的には疲れるので、もうあんな戦いには参加したくないんだが……まぁ器用さは何かの役に立つだろうと割り切る。


 それにしてもINTが他のステータスに比べて異様に低い。確か知性や魔法効果に作用するものだったよな。これじゃあ俺がまるで馬鹿みたいじゃないか。一応進学校には合格したんだぞ。……一ヶ月で行かなくなったが


 内心でそんな事を考えながら次の項目に目を通す。レベルが上がったおかげか能力欄にある能力が増えている。敵感知やアイテム効果上昇、魔法効果上昇などは大体の効果が予想できるのだが、他に追加された効果は見てもどんな効果かよくわからない。


 とりあえず予想できる効果を見てみよう。俺は楽しそうな事は後に取っておく主義なのだ。


 俺は指で新しく取得した能力に触れる。


 

 どれ、さっそく確認してみよう!

読んでくださった方、ブックマークしてくださった方、評価をつけてくださった方、感想下さった方、いつも感謝しています。


今回はステータスカードのステータスについて書いてみました。

楽しんでいただけたら幸いです。ではまた次回に

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