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188話 秘匿7

「待て待て待て!! お前、奴隷って、意味わかって言ってんのか!?」



 ディーネのその提案に、俺は即座に待ったをかける。


 奴隷については、一時期リアネ達が俺の奴隷になっていたから忌避感は特にないがさすがに話が突飛過ぎる!

 いきなり奴隷って、こいつ何考えてんだ!?



「意味くらいわかっておるわ。だからこそこうして提案しておるのじゃ」


「わかってるなら尚の事、どうして自ら奴隷になんてなろうとするんだよ!」



 奴隷だぞ? いくら何でも自ら奴隷になろうというのはさすがにやり過ぎだろう!



「それで信頼が得られるなら安いものじゃろ」



 そう言ってけらけらとディーネが笑っていた。

 奴隷になる事に何の不安もなさそうに見える。


 

「あなたを危険視した私がいうのもなんですが、本当によろしいのですか?」


「うむ。。我が奴隷になればユリーシャ殿も安心出来るであろう。ただし、先程も言ったとおり主はイチヤだけじゃ。それ以外の者を主にするのは勘弁して欲しい」


「どうして俺なんだよ?」


「イチヤなら奴隷になったとしても、魔族だからと酷い扱いはせんじゃろ」


「はぁ……よくもまぁそこまで信用出来るもんだ。ディーネが奴隷になった途端、無茶な事を言い出すかもしれないぞ」


「例えばどんな事じゃ?」


「それはだな……え~っと……」



 軽く脅すつもりで言ったんだが、そう返されるとパッとは思いつかない。


 そもそも奴隷についての知識が俺にはあまりない。

 俺の世界にも奴隷という身分はあったけど、現代日本に奴隷なんて存在しないからな。

 

 奴隷についての知識なんて、アニメや漫画、ラノベから得た知識のみ。

 しかも俺の見てきたものって、主人公が奴隷に信用され、一緒に困難に立ち向かっていくようなものばかりなんだ。

 だからどうしても俺の奴隷に対するイメージって雇用主と雇用者という感じになってしまう。

 こんなイメージじゃどう頑張っても酷い事をするビジョンが浮かばない。


 一応、奴隷に鞭を振るう貴族という描写は見た事はあるけど……。


 試しに自分がやってる姿を想像してみる。


 ……はっきり言ってドン引きである。

 何が悲しくて人が苦痛に歪む様を見なけりゃならんのか。

  


「ほれ。すぐに言葉に出来ない時点でイチヤが我に無茶な要求をするというのは無理な話という事じゃよ」


 腰に手を当て入ってきた時と同じようなドヤ顔をかますディーネ。


 くそ! なんか悔しいぞ!!


 けれど、ディーネの意見は尤もである。

 俺にはディーネを傷つける事はは出来ない。

 仲間を傷つけるような真似をすれば話は別だが、彼女はアルやシャティナさん、リアネ達メイドとも仲良くやっている。


 特にメイド――――その中でもピアやフィニのようなちびっ子達とよく遊んでくれており、慕われている。

 俺個人としても二ヶ月以上一緒にいるディーネに情もわいている。

 種族とか関係なく、もうディーネは俺達の大切な仲間なのだ。



「その顔は非常にムカつくけど、ディーネのいう通りだ。お前を傷つけるような真似を、出来そうもない。ディーネは俺にとって大事な仲間だからな」


「なんというか……そう真顔で言われると照れるの。けれど、そう思っておるのはイチヤだけではない。我も牢で治療を受け、何の見返りもなく血を分けてくれたあの時から……お主の事を信頼出来る仲間だと思っておる。もちろんそれはイチヤだけではない。我に親切にしてくれたリアネ達もじゃ。皆には感謝してもしきれないくらいの恩を我は感じておる。ほんにありがとう」



 俺の言葉にディーネが感謝の言葉で返してくる。


 真摯なその姿に感謝の気持ちと俺と同じように仲間だと思ってくれているのが伝わってきた。


 他のみんなも同じようで反応は様々だ。

 

 照れている者、微笑んでいる者、そして……申し訳なさそうにしている者。



「こんな風にディーネが言っているが、これでもユリはまだ信用出来ないか?」


「いえ、私もディーネさんを信用していなかった訳では」


「イチヤよ、あまりユリーシャ殿を責めるでない」



 別に責めてるつもりはなかったんだが、無意識のうちに責めるようなっ形になっていたようだ。

 でもまさかそれをディーネから宥められるとは思わなかった。



「ユリーシャ殿も、先程の言葉は本意ではなかったのじゃよ」

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