表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

187/196

184話 秘匿3

「私がダンジョンの報告を受けたのは今朝ですね。朝食を終え、朝の執務を行っていた時にバックスがやってきて聞かされました」


「それはまた突然だな」


「ええ、私も急な報告に驚きましたよ。何故急にダンジョンの報告などと疑問に思ったのですが、また問題が起こった事に、怒りの方が先に来てしまい、ダンジョンを知った経緯も聞かず、こうして縛りあげた次第です」



 いや、そこは怒っていたとしてもちゃんと聞こうよ……

 普通怒っていたとしても経緯も聞かずに簀巻きにするのはやばすぎる。

 さすがに理由を聞いてからドSを発揮して欲しかった。


 本当にいつもは冷静なユリにしては珍しい。

 ドSを発揮するにしてもいつもだったら冷静にじわじわと嬲ってからという印象だったんだが。


 それだけダンジョンという存在がユリが動揺させたという事か。


 

「で、バックスは今まで国に報告が上がってたと思っていたから言わなかったってのは理解したけど、何で急にダンジョンの話を持ってきたんだ?」


「それは――――」


 

 バックスはそう言って説明し始めたので耳を傾ける。


 ここまでの経緯を簡単に話すとこんな感じである。


 二ヶ月ちょっと前に俺の奴隷となったバックス達は俺の指示でアルの特訓を受けて、最近になって徐々にではあるがこの領の巡回で魔物討伐をして実力がついて来た事を実感したそうだ。


 最初は大半が訓練中や訓練後に嘔吐してたからなぁ。


 で、自分の実力がどのくらいのものか確かめたいという方向に話が進み、実力を試すならダンジョンじゃね? 丁度近くにダンジョンあるし! みたいな感じで部下から話を持ちかけられ、バックスも自分の実力を知りたかったので、ユリに話して領の警備を疎かにしない人数でダンジョンに入る許可をもらいに来たそうだ。



「なるほど。それでダンジョンの話をしたらその存在すら知らなかったユリに簀巻きにされたという事か」


「はい!」



 事情は良くわかった。

 しかしダンジョン報告の経緯がまさかそんな理由だったとは。


 騎士なんて職業についていたんだから、力がついたら自分の実力を確かめたいっていうのは理解出来るけど、もう少し早く報告して欲しかった。


 いや、全てはここの元領主が悪いんだが。


 バックス達がきちんと報告したにも関わらず、国に報告しなかったつけが俺達にまわってきた。


 本当にここの元領主はろくでもない。

 ユリが怒るのも理解出来る。

 もしこの場にいたんなら間違いなくぶん殴ってるところだ。

 たぶん会う機会はないだろうが、もしも会う事があったら絶対にぼこぼこにすると心に誓った。






 さて、バックス達からダンジョンに関する経緯も聞けたし、対策の話に戻す事にした。


 つっても、どう対策をたてればよいのやら……



「とりあえず陛下に報告して、事態を収拾を待つしかないか。いや、それだと今の情勢ではいつダンジョンの調査にくるかわかんねぇ。魔物のスタンピードが怖ぇな。ユリの嬢ちゃん、なんだったら俺とイチヤで魔物の間引きと調査の方やってくるか? その後だったらバックスの兄ちゃん等の訓練場として安全につかえるしな」



 アルの言う様に王様に頼んだ所で、いつ調査してくれる人材がやってくるかはわからない。

 あっちはあっちで獣人族と同盟を結んだ事で、法の整備やらなにやら忙しいみたいだし、人材不足は向こうも同じだ。

 それだったらアルが提案したように俺とアルで調査を行った方が早い。



「こちらとしてはありがたい申し出なのですが、よろしいのですか?」


「ここに居を構えちまったし、少しでも住みやすくしないとな。俺は構わねぇよ。後はイチヤ次第だ」


「俺も良いよ」



 二人の視線が俺へと向いていたので了承する。


 名目上この領地は俺のだし、さすがにここで駄々をこねるつもりはない。

 それにニート生活はこの上なく快適なのだが、皆が働いてる中一人だらけているというのはどうにも申し訳ない気持ちでいっぱいになるのだ。

 偶に……本当に偶にでもこうして活動していかないと罪悪感に押しつぶされる。


 こうやって人は必要にせまられて働きに出るのだろうか……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ