episode1 side:勇者 第一話~勇者、目を覚まして顔を洗う~
日の光が窓から差し込む。鳥の鳴き声が聞こえる。
朝である。
朝というものはとても気持ちがいいものだ。
今しがた起きた少年は外の井戸へと顔を洗いに行く、寝巻のままだがいつものことなので構わず扉を開ける。
「おはよう、勇者君。いい天気だね」
バタンッ
少年は扉を閉めた。
悪い夢でも見てるのだろうと思い、二度寝しようとベットへと歩いていく。
「ちょっと待つと良い、いきなり閉めるのは酷いと思わないかい?」
変なことを言う変な男は閉めた扉を悠々と開けて家の中に入ってきていた。
目を向けると服装は旅人のようでどこか威厳のあるような雰囲気をかもしたしている。
強盗のようでもない・・・少年が反応に困っていると
「どうしたの。お客様?」
キッチンで朝ご飯を作っていた姉が顔を出した。
「あら!?いい男じゃない!!上がってく?」
明らかに間違った対応をしている姉、そしてその一言に呼び寄せられた母親や父親、祖父祖母に近所の方々が押し寄せてくる。
そんなこんなしながら男が奥の部屋へと連れて行かれる横を素通りし、少年はようやく井戸の水で顔を洗うことが出来た。
日は昇りきり時刻は午前7をまわっていた。