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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悩みというか最早呪い。

作者: 香哉

「あのね、大ちゃんと私、付き合うことになったの」



 この言葉を聞いたとき、私はまたかと思った。いつもいつもこうだ。そんな私の気持ちになど気付かないまたは気付いているうえでなのか、彼女はなおも言葉を連ねる。



「ごめんねリンちゃん」



 このまま無視するなどどう考えても私が悪者になるだろうし、何を思って彼女はこんな告白を通行人の多い場所でしたのか。それとも、計算のうちなのか。鬱屈とした思いを抱えながらも、一つ溜め息をつくと、泣きそうな彼女の頭を引き寄せて抱きしめた。



「はいはい、もう泣きなさんな」


「な、泣いてないよう」


「そういうことにしといてあげる。気にしてないと言ったら、嘘になるけど、陽子ちゃんのことも好きなんだよ、私は」


「リンちゃん……!」


「だからさ、泣きやんで笑顔を私に見せておくれよ」


「うん…うん!」



 そういうと、私から少し離れて自分の袖で目元を乱暴に拭ってから、大輪が咲いた様な笑顔を私に向けてくれた。そんな彼女の頭をぽんぽんと撫でてから、私も笑みを返した。




ああ、全く、反吐が出る。





 渡辺 鈴。とある有名大学の二年生として在籍している。学科の子たちはとても優しくて、良い大学生活を送れていると自負している。しかし、そんな私にはとある悩みがあった。先程の子がいつも私の彼氏を盗っていく…なんてことではない。あり得そうな展開だが、そうではないのだ。


 最初は中学での部活の時だっただろうか、料理部に見学しに行った時に、まだ部活が始まってなかったらしく、家庭科室の部屋の前で所在なさげで立っている男の子がいた。

その子も料理部に入りたかったらしいが、男一人でここに立っていることがなかなかに居心地が悪かったらしく、私と彼は暫く二人で話した。

人の気配があったので、そちらを見やると、お嬢様然とした女の子が立っていた。彼女も入部希望らしく、部活の先輩達が来るまで、三人でこれからの中学生活や料理部に入る理由などを話した。


その後、先輩達が来て、目的の見学が済んだ。私達三人は同学年、同じ部活ということもあり、とても親密になった。

だから、私が距離が近い彼を好きになるというのも至って自然のことだったと思われる。好きだと分かってから、わたしは真っ先に彼女に相談と確認をした。彼に好きになってもらえるには、そして、彼女は彼を好きではないかというものだ。

彼女はにっこりと微笑み、「大丈夫ですわ。わたくしは、リンさんのことを応援しますわ」と言ってくれた。彼女の応援と努力の甲斐もあって、私と彼は付き合うようになった。

放課後デートに、修学旅行を二人で回るなど中学生らしい甘酸っぱさを味わいながらも、とても幸せだった。しかし、その幸せも長くは続かなかった。



じりじりと肌を灼くような暑さの中、呼びだされた私は三人で公園の中にいた。彼が私を送ってくれる時によく寄り道した公園だ。

夏休み中だから、遊ぶと思ったのだが、なにもこんな場所じゃなくてもいいだろう。そんなことを考えていた私は彼が言った言葉に思わず耳を疑った。いや、暑さで頭がやられたと思った。



「ご、めん。あの、今、なんて」


「俺と、別れてほしい。ホント、ごめん」


「なんで…」


「リンのこと好きだ。でも、リンは俺がいなくてもなんでもできるだろ? 情けなくてさ、俺」


「……」


「だから、別れよう」


「…うん」



 彼の中で私と別れるのは最早決まっているようだし、私がとやかく言っても変わらないだろう。私は確信していた。

内心を隠して頷いた私を見てから、彼は彼女の手を掴んだ。



「俺、こいつと付き合う。でも、今まで通り、三人で仲良くしようぜ」


「お願いしますわ、リンさん」



 一緒に来たからそうだとは思ったけども、私は何とも言えなかった。

自分と別れた人と仲良くする? 自分の彼氏を奪った人と仲良くする? どう考えても無理だと思った。しかし、二人にはその考えはないようだった。そっか、そっか。



そこからどう帰ったかよくわからなかったけど、気付いたら自分の部屋で枕を抱えて泣き出していた。

彼のことも彼女のことも好き。好き、だからこそ憎い。酷い。恨めしい。

でも、わざわざ言葉を使って彼らを傷つけようとは思わなかった。好きだからではない。疲れるからだ。愛情の反対は無関心だと言った人は誰だったか。よくわからないが、私はこの考えに賛成である。

幸い今は夏休み。これまでは二人が一番の仲良しだったが、より親しい友達を作ろう! そんな目標の元、夏休みの課題を早々に済ませ、クラスメイトと遊びに行ったり、高校受験に備えて夏期講習に行ったりした。

クラスメイトは話しているうちに、趣味が一緒ということが判明した子が数名おり、その子達だけでカラオケに行ったり、夏期講習は、二人と違う高校…より高いレベルの高校を目指すことにしたので通ったのだが、その高校志望の友人もできた。



夏休みが明けて、教室へと向かうために廊下を歩いていた私を二人は呼びとめようとしたが、それよりも早く私に近づく影があった。

それは勿論、夏休みに仲良くなった女の子たちだ。



「リンちゃあああん! 宿題終わんなかったよおおおお」


「夏ぶリンちゃん! 私はちゃんと終わってるよ! ところで、昨日放送されたアレを見たかね? むふふでござったであろ??」


「ちゃお、お二人とも。 ソラちゃんは何が終わらなかったの? ものによっては教えるか、見せるかしてあげるから急いでその課題出して。 そんで、アオちゃんは夏振りと私の名前をくっつけない。短縮イクナイ!」



 ぎゃーこらと騒ぐ私達を見てすれ違う人達は私もソラちゃんとアオちゃんの会話に入っていることにやや驚いたようだったが、すぐに視線を逸らした。

元彼と元友人殿は私にもう一度話しかけようとしたが、ソラちゃんとアオちゃんがそれとなく遮ったために、それは叶わなかった。

クラスが違うために、二人はすごすごと退散し、私達は教室へと連れたって行った。



残りの中学生活はそうやって二人を中心としたクラスメイトと仲良く過ごした。部活は三年だったので、夏で終了というのも良かった。

高校見学はとりあえず全ての高校を見た。二人に本命は何処か分からないようにするためだ。ソラちゃんとアオちゃんがついて来てくれたので、三人で見学(主に食堂)を満喫した。


春になり、受験した高校の合格発表を見に行くと、私の番号が合った。

そして、夏期講習で仲良くなり、冬期講習も一緒に受けた友人、檸檬ちゃんの番号と本人の姿を発見した。

喜ぶ檸檬ちゃんを見ながら、内心自分の番号よりも、檸檬ちゃんの番号があったことの方が数倍嬉しいと思ってしまった。


 高校では、料理部がなかったので、美術部に入ることにした。

檸檬ちゃんも美術部に入ったのだが、彼女は茶道部にも入った。どちらも似合う知的美人な檸檬ちゃんと友達で本当にありがとうございます、と誰に向かってか分からないが、茶道で着物を着ているときの彼女に会ったら、思わずお礼を言ってしまった。



美術部は兼部もできるくらいゆるい部活だった。夏に一回コンクールに出すための作品を作らねばならないが、それ以外は自由だった。

私のスタイルは課題をしつつ、合間にお絵描きというものだった。そんな感じでも、絵はメキメキと上手になったので、先輩の教え方の上手さは見習わないとなと思わずにはいられなかった。



 二年になった。とうとう自分にも後輩ができるかもしれないと意気込みながら鍵を持って、部活を行う美術室へと向かった。

その日は檸檬ちゃんは茶道部の方に顔を出すので、一人で向かっていると、男の子が一人扉の前で立っていた。

その居心地の悪そうに立っている姿が、四年前の彼の姿を彷彿とさせて、胸がツキンと痛んだ気がしたが、気のせいだと思うことにして、彼に話しかけた。

共に中へと入り、見学かどうか聞くともう入部は決めているとの返事。実際に絵を描いてもらうと、すごかった。何がどうという風には素人なので言えないが、人の心を動かす作品を描く彼を素直にすごいと賞賛せずにはいられなかった。

彼と話していると、入部希望だというギャルっぽくてぶりっこそうな女の子が入ってきたので、二人での会話はそこで終了となった。



時が経ち、彼の人と為りを知って、私はいつしか彼に恋に落ちていた。自惚れでは無ければ、彼も私のことを好きだと思った。

放課後送ってくれたり、美術部としてフリー配布の冊子を作るのを手伝ってくれたり。

しかし、そんなとき、たまたま出会ったあの子はいつも私を親の仇のように見つめてくるのだ。彼女も彼のことを好きなのかもしれないが、恋愛は全ての人に平等だ。基本的に。

だから、スタート地点が一緒だった彼女にあそこまで憎らしげに見られる覚えは無い…と思う。


寒さの深まる十二月、彼に告白された。嬉しかった。明日になったら皆に言おうね、そう言って別れた私達だったが、次の日あった彼は昨日のことなんて嘘のように辛辣だった。



「先輩がそんなことする人だなんて、思ってもなかったっす」


「え?」


「俺、俺、本当に先輩のことが好きだったんっすよ」


「私もす」


「なのに、なのに、酷いっす先輩。もう俺に話しかけないでください」



 私も好きという言葉を遮り、話しかけるな宣言をした後輩君。ぽかーんというのが相応しいくらいに私は現状を理解していないのだが、ようするに振られたのか、別れたのか、嫌われたのか。そうか、そうなのか。

もしかしたら、今までも私に渋々付き合ってただけで、私が会いに行くのが迷惑だったのかもしれないな。そしたら、前半の彼の好きというのが訳が分からなくなるが、そういうことにしよう。私が会いに行かなければ、もう彼と会うことは無いのだから。



 彼にああ言われた次の日から、私はたまに顔を出していた部活にも行かなくなった。

元から勉学を重点に置いている学校なので、文理選択のある九月で大半の子は行かなくなるのだが、私は彼に会いたさに行っていただけだったのだ。

そして、帰宅時間も変更した。部活が終わる七時くらいに帰っていたが、塾がある日は学校終了後すぐに塾へ。塾が無い日は学校が閉まる九時まで学校に残って勉強した。

そのうち、彼とぶりっこ風の子が付き合ったのだと、部活の後輩ちゃんから聞いた。私は笑ってそうなのか。と返した。私が本当に傷付いていないことが分かると、後輩ちゃんはニヤリと笑った。



「今度みんなでご飯食べに行きましょっ! 勿論あの二人は抜きで!」


「いいアイディアだな後輩ちゃん。勿論君のオゴリで」


「ふえええええ!! リンせんぱい、それはないですよぉぉぉ! あと、後輩ちゃんはやめてください! 他に何人後輩がいると思ってるんですか!」


「ごめんごめん、ウタちゃんや。お詫びも兼ねて、安くて美味しい食べ放題のお店を探しておくよ。我らが美術部はなぜか皆大食いだからね」


「わーい! ウタ、たべほ大好き!!」



 そんな感じで一年とちょっとを過ごし、有名大学に進学した私だったが、いくつかの所属しているサークルのうち、とあるサークルで男性の先輩に案内され、それから同じ新入生の子と合流してそのサークルに入った。

そして、一年がたち過程は省くが上のような結果になったわけだ。


 だから、私は気付いたわけだ。新しい場所で男性と親しくなってから女性と知り合うと、間違いなくその二人がくっつくと。

慰めていた彼女が去ってから、図書館へと向かい、空いている椅子に座ってから、スマホをいじることにした。スマホの画面のうち、青い鳥のものを選ぶと、早速呟いた。


我輩の呪いは消えたのだといつから錯覚していた?


 同じ学科やサークルの人もフォロー・フォロワーの関係だが、また私が変なこと言ってると思うだけだろう。

そう思いながら、他のアプリを開いてイベントなどを満喫する。テスト期間中であれば、スマホを弄る私を邪魔だと一瞥する人もいたのかもしれないが、現在は大半の学部が夏休みに突入し、現在大学に残っているのは不幸にも再試があったものか、他の理由で大学で用事が合ったものだ。

私は再試はなんとか無かったが、ギリギリ合格だった分、資料の片づけを手伝えと教授にこき使われていたのだ。

今度食事をおごってやると傲岸不遜に言い募った教授の姿に少しときめいてしまったことを不覚に思いながらも教授の研究室がある校舎から図書館へ向かっている間に、先程のことがあったわけですよ。



アプリを一時間くらいしてから、もういちど青い鳥を開くと、誰かが私のマネをして、「俺の夏休みは始まったのだといつから錯覚していた?」と言っていたり、「受けたテスト数なら学科トップレベルという自信を胸に再試頑張るぜ!!」やら言っている人がいてクスッと笑みをこぼしてしまった。

しかし、私はあるツイートが視界に入り、目を瞠った。



そーゆのまじむり



 そうツイートしたのは、同じ学科の子だった。私の事かな、と思いはしたが、褒められていると自分の事とは思わずに、悪口を言われると、自分のことだと思ってしまうのが日本人の特徴らしいので、違うだろうと頭を振った。

しかし、嫌な予感が止まらないので、フォロワーの画面を見ると、彼女からフォローが外されていた。いや、ただ私のツイートが見たくなくなっただけなのかもしれないが、こういうときの私の勘は絶対に外れない。そう、彼女に嫌われたのだ。

だからといって、彼女のフォローを外すのはどうかと思ったし、やられたらやり返すというのも嫌いではないが、仕返しにならないだろうし、同じ学科の子だ。

後二年以上付き合いがあるのだから、それは止めておいた。彼女も同じサークルに所属しており、陽子ちゃんとも仲が良かったし、きっと彼女のことだと気づいてしまったんだろう。だからこそ、私が許せなかったのか。


 そうだ、京都に行こう。唐突に思った。実際に京都に行くかどうかは自分でもわからないが、どこかへ行きたいと切実に感じた。

一か月以上もある夏休みなのだ、それくらい許されるだろう。座っていた椅子を思い切り立ち上がると、一気に動いたやつを一目見ようと勉強していた人の目が向けられる。すみませんと小声で謝ってから、見知った人には常備しているお菓子を渡して図書館を去った。くれぐれも図書館内で食べないように注意してからだが。



旅に出ます

連絡はつきませんが、ご容赦ください



 青い鳥と、即座に通知が来る緑色のアプリの一言で呟いてから、スマホの電源を切った。

この旅では一人で何かをしたいというのもあったし、今誰かに何か言われたとしても、煩わしいとしか感じないだろうと思ったからだ。


京都へ向かうといったが、どうせ一カ月以上あるのだ、ゆっくり北上して行くことにした。

バスを使ったり、気前のいい軽トラのおじさんに乗せてもらって京都に着いた。

暑いと言えば暑いが、耐えられないこともないその暑さの中を突き進んでいく。

道の先に待つのはとあるパワースポットだ。運気が上がるのかどうなのかはよく分からないが、よくテレビでも取り上げられるくらいなのだから、そう悪いものではないだろう。

道の先にある階段を必死で上った私を待っていたのは、荘厳でどっしりとした大樹であった。まさかこれほどまでに大きいとは思わなかった。ある種の感動を覚えつつも、その大樹に手を回す。そうすると、より良いと言われていたからだ。


手を離すと、私の後ろで大樹に向かって手を合わせている人がいることに気づいた。とても、綺麗で恰好よくて、素敵な男性だ。

凝視するのも悪かろうと思い、少し離れて、彼と同じように手を合わせて目を閉じる。その動作を終了すると、彼もこちらを見ていた。



「こんにちは」


「こ、こんにちは」


「パワースポットめぐりですか?」


「京都を観光してたのですが、そういえばここにパワースポットがあったなって思い出したので、来てみたんです」


「そうなんですか、私と同じですね」



 そう言って彼は微笑んでくれたが、私は周囲を警戒せずにはいられなかった。

この後、また女性が出てきたら、今までと同じようなことになること間違いなしだ。

そんな私をどう思ったのか、彼が私に一緒にお茶をしないかと誘ってきた。まあ、旅のいい思い出になるだろう思い、彼と共に御簾をくぐり、お茶と甘味を注文した。



彼との話題は本当に楽しくて、もっと聞きたいと思わせてくれるものだった。私の気が緩んだのを感じ取ったのか、彼はどうして警戒していたのか聞いてきたので、今までのことを話した。

実を言うと、今までのことすべてを話した人というのは初めてだったが、なぜかこの人には話してもいいと思えた。

話し終えてから、だから、後から女性が来ないか警戒していたというと、彼は口元を押さえながらも、思いっきり笑っていた。

しかし、思い切りと言っても、大口開けて笑うというのではなく、なんというのだろうか、そんな姿も様になっていて、気品溢れていた。



「その心配はありませんよ、私も貴方と同じ性別ですからね」


「おなじ?」


「はい」


「性別が?」


「はい」


「う、うっそだーん」


「本当です」



 ほら、と言って、彼…彼女が見せてくれた免許証には、しっかりと性別が女と明記されている。お、おぅふ……。



「ですから、何も心配されなくていいですよ」


「はい。疑ってすみません」


「いいんですよ、よくあることですから。あ、でもそうですね」


「なんですか」


「もしよろしければですが、貴方の一人旅を二人旅にさせてくれませんか」


「へ」


「貴方の目的地は京都だったのかもしれませんが、私は関東まで行こうと思ってたんです。ですから、ついて来てくれれば嬉しいのですが……いかがですか」



 彼女の提案は嬉しかった。予定では一カ月弱を京都に来るまでにかかると思っていたのだが、一週間半ほどで着いてしまったので、まだまだ余裕があったからだ。

しかし、まだ帰りたくない。渡りに船だ。しかし、見知らぬ人と旅をするのもなかなか怖いものがある。

答えあぐねていると、彼女が名刺を差し出した。



「まだ名乗っていませんでしたね。私はミドリ・コーポレーション社長の緑乃みどりの こうと申します。貴方の名前もお伺いしてもよろしいですか」


「渡辺 鈴です。……社長さん」


「はい」


「ほんと…いえ、さっきもこの流れでしたね、貴方は嘘をおっしゃってないんだと思います」


「分かってくれて嬉しいです」


「ただ、ちょっと待ってください」



 おもむろに私は京都観光マップの目次を見て、「守人と呼ばれる彼について」という項目を探し、そのページを開く。

京都の外観を維持するためや、緑を増やそうというプロジェクトの支援をしている男性がそのページには対談の形で載っていた。その写真は正しく、今、目の前にいる彼女だった。








 彼女と共に京都からどんどん関東方面へと向かって行き、最終的には大型アトラクションテーマパークの中にいた。

な、何を言っているのか分からないと思うが、これが現実だ。



「どうしたんですか、すずさん、行きましょう」



 そう言って、手を差し伸べてくる幸さんの手をしっかりと握った。それだけで自分の顔が赤く、そして熱くなっていくのが分かった。

私は、この何週間の間にすっかり彼女に恋をしてしまったのだ。女同士なのにとか思ったが、そもそも相手が振り向く筈がないのだから、この感情はこの旅だけのもの。彼女にばれないようにしながらも、彼女とのこの瞬間を楽しめばよいのだと割り切って考えないことにした。



彼女と遊ぶのは本当に楽しかった。社長である彼女がこんなに長い間会社にいなくてもいいのかと思うが、ネット環境を一切断っている私には調べることができないし、調べようとも思わなかった。

彼女が私をすずと呼んでいるのは、実は私の名前の読み方は「リン」ではなく、「すず」だということが何故かばれたからだった。

私は極度に名前というものを重視しており、親しくない人から名前を呼び捨てにされることを嫌う。

加えて、一時期言霊信仰にハマっていたせいでさらにそれが酷くなった。だから、小学校で転校となった私は、転校先ではすずではなく、リンと名乗ることにした。

予想通り、初対面で名前呼び捨ての人なんかもいたが、苛つきのあまり毛嫌いするということもなかった。

三年以上時を過ごした子達にはすずだということは教えているが、なぜ幸さんは分かったのだろうか。少し不思議に思いながらも、彼女に名を呼ばれるのは不快では無く、心地よかったので、気にしないことにした。


 彼女と過ごす最後の日であり、アトラクションテーマパーク三日目の夜。私達はイルミネーションショーを見ながら、最初に会った時のように自分達の事について話した。



「私、帰ったら仲良い子にぎゅーっと抱きついてただいまっていうんです。そしたら、急にいなくなったことに驚きながらも、きっと笑っておかえりって言ってくれると思うんです」


「少し焼けてしまいますね」


「友人との仲の良さにですか」


「それもありますが、貴方と仲がいいという彼女たちにですよ」


「やだな、それじゃあまるで幸さんが私が好きなあまり、彼女たちに嫉妬してるみたいじゃないですか」


「そうだと言ったら、どうします」


「え」



 パレードは依然として続いている。音楽も鳴りやまない。なのに、私の耳にはもう彼女の声以外聞こえなかった。

彼女は私の手を掴むと話し出した。



「私にはですね、前世の記憶があるんですよ」


「なるほど」


「信じてないですか」


「信じてますよ。私、そういう系の小説大好きなので、絶対前世を持ってる人っているって信じてましたから」


「そうですか。実はですね、そこでは私は王子だったのです。今と寸分変わらぬ容姿で」


「じゃあ、その容姿は前世から受け継いだものなんですね」


「そうかもしれませんし、たまたまかもしれません。ですが、貴方を見ていると、人は皆記憶は無くとも、同じ容姿を持ち続けるのかもしれないと思いました」


「私を前世で見たことがあるんですか」


「見ただなんてとんでもない。もっと深い仲でしたよ」


「親友とか、ですか」


「いいえ、鈴さん。恋人としてですよ」


「この容姿でですか」


「その容姿でです」



 言明していなかったが、私の容姿は至って並。どこにでもいそうな埋没してしまいそうな記憶にも残らなさそうなそんな平凡顔だ。

何がどうしてこの王子様然とした…いや、違う。実際に王子様だった彼女…彼と恋人になったのか。問いかけるも彼女は答えてくれなかった。



「色々あったんですよ」


「色々……幸さんの婚約者とかですか」


「まあ、それもありましたが、貴方に恋する男たちの方が厄介でしたね」


「ふぁっ!?」


「私の国での貴方の人気はそれはそれはすごいものでしたよ。まあ、その話はおいおいで」


「おいおいですか」


「はい。私はですね、貴方とこの何週間か過ごして、前世の貴方と今世の貴方は性格も違うし、考え方も違う。それどころか、現在私は女となってしまっている。だけど、貴方に恋に落ちてしまったんです。こんな私を笑いますか」


「コイニオチタ?」


「恋に落ちちゃいました」


「ダレガ?」


「私が」


「ダレニ?」


「貴方にですよ、鈴」



 唐突に呼び捨てにした彼女に驚きながら顔を見ると、彼女は掴んでいた手はそのままに片膝をついた。

暗闇でも近くにいた人には彼女の美貌が分かるため、「王子様がプロポーズしようとしてる!」やら、「わー、おめでとー!」という声が聞こえてきた。

 マテ。マテ。彼女は王子様では無い。女性だ。いや、前世を考えると、王子様で問題ないのか? そもそも、プロポーズされてない。申し込まれてない。了承してない。

そんな私の考えを遮るように、幸さんはそっとポケットから指輪を差し出した。



「私とこれからもこの人生を歩んでくれませんか、鈴」



 私は一気に身体中の血が沸騰しているくらいに熱くなったのを感じた。

断ることは簡単だが、そしたら、彼女とはもうこれから会えなくなるのだと直感した。外れないのだ、私の直感は本当に。



「こちらこそ、お願いします」



 泣きそうになりながらも言うと、幸さんは私の左手の薬指に指輪を通した。

これが婚約指輪のつもりで通したのか、それとも結婚指輪なのか、誓いの証なのかは分からないが、嬉しい。嬉しい。本当に嬉しくても人間って涙が出るものなのだと実感できるくらいに嬉しくなった。

泣きだした私を幸さんはぎゅっと抱きしめた。周りから野次が飛ぶが、それも気にならないくらい幸せだった。


暫くしてから、彼女は私を離すと、周りの人に向かって、「ありがとうございます。絶対に彼女を幸せにします」と言った。

周りは「いいってことよ!」やら、「きーす! きーす!」とはやし立てるが、それは流石に恥ずかしいという素振りを見せた私に、幸さんはその野次に乗らなかった。

急いでその場を離れて閉園間近のテーマパークの観覧車に乗る。やや明るい観覧車の中で指輪を見ると、昨日園内の宝石店で私が可愛いといったものだった。

でも、これってすごい高いんじゃ…と値段を思いだそうとしていると、向かいではなく、隣に座っていた幸さんがまたぎゅっと私を抱きしめた。



「友人たちに抱きつく前に、鈴を抱きしめられて幸せだよ。それに、プロポーズも受けてもらえるなんて思わなかった。気持ち悪いって言って、鈴が何処かに行っても私は気にしなかったよ」



 受ける前よりも、幾分親しみを感じる口調に変わった幸さんに抱きしめ返す。一瞬びくついたが、より一層腕の力を強めて抱きしめ返してくれた。



「私の方こそ、驚いたんですよ。私も、幸さんのことが好きになってたから。まさか、同じ気持ちだなんて思いませんでしたし」


「鈴……二人とも同じ気持ちだったなんて、嬉しい。ねぇ、名前で呼んで」


「はい、幸」


「ね、よければ目を閉じて」



 あ、キスされるな、と思ったけど、嫌じゃなかったので、言われるままに目を閉じると、私よりも柔らかな唇が私の唇と重なった。




 園内から出てすぐのホテルに帰ると、明日の飛行機で帰るんだったら、今連絡先を交換しようと言われたので、久し振りにスマホの電源を入れると、一気に通知やらメールやら電話やらのお知らせが来て、すぐにはスマホが使えそうになかった。

とりあえず、見たかどうか分からない青い鳥から見ようと思い、アプリを起動させ私宛のものを見ると、サークルの人やら、学科の人からの心配の連絡が半端なかった。

お絵描きで繋がった人からは心配というよりも旅行先でのことを後で教えて下さいねーというものが届いていたので、なんだかほっこりした。

ちなみに、ホテルが最高級なのだが、予約は全て幸任せだったので、着いてからかなり驚いた。

しかし、会社関係で無料で泊まれるそうなので、改めてミドリ・コーポレーションぱねぇとそのとき思った。とりあえず、返信するのは後にして幸と連絡先を交換した。交換し終わった瞬間に電話が来た。名前を確認すると、思わず笑みが零れた。



「はいはい、もっしもー鈴さんですよー」


「ひさしぶりんりん、すずりんちゃん!」


「いや、どっちかに統一しよ」


「えー、すずりんちゃんいやー?」


「言いにくくない? というか、恥ずかしくない?」


「私は大丈夫でっせ、姉貴。というか、ナカーマと共にいるときはもっと恥ずかしい名を呼ぶ時もあるんでっせ」


「言わなくていいからね」


「遠慮しないでよー! まずは狂乱の貴公子でしょー、ちっぱいこそが正義さんでしょー」


「何それひどい」


「序の口序の口ー。 にしても、すずりんちゃんの声聞いて安心したよー、普通に旅なんだよね?」


「心配掛けてごめんねアオちゃん。明日にはそっちに戻るから、ソラちゃんと三人でのみにでも行こう」


「うわーい! やったね、アオ、お酒大好き! ソラにも声掛けるね! 俄然としてやる気が出て作品スピードが上がると思う!」


「ソラちゃん、また作品描いてるの?」


「なんかね、今度個展するんよ!」


「こてん」


「やだ、すずりんちゃんかわいいっ! じゃない、自分の作品を世に知らしめる時にする個展! 

なんか、パトロンさんがやる気出しちゃってねー。数がまだ少ないから、もうちょい頑張って作ってほしいんだって! その連絡もメールにしてるから時間ができたら読んでね!」


「りょ!」


「ちなみに、私も希望してた服飾会社にデザイナーとしてのお声がかかっちゃったんで、大学生活しながら、会社勤めという二重生活を始めるのです」


「え、なにそれすごい」


「じゃあね、すずりんちゃん! お酒約束でっせ!」



っぷ つーつーつー



 アオちゃんはビッグニュースを二つも教えてくれたら、電話を切ってしまった。

恐ろしいくらい通知が溜まっている緑のアプリのうち、アオちゃんのと、ソラちゃんのだけ見る。

さきほど言ってた通りのことの詳細が書かれており、二人の夢が段々近づいてきていることを嬉しく思った。積もる話はまた今度でいいだろう。それよりも、放っておいた幸が怖い。



「自分がこれほどまでに狭量だとは知ってたけど、改めて知りたくなかったな。鈴、今日は一緒に寝よう」


「大きいベッドが二個もあるのに?」


「思いが通じ合って、初めての夜で、明日からは離ればなれなんだよ?」



 そう言われると、そうだなと思い、夜は幸のベッドに二人して横になった。

幸が腕枕の体勢をしてくれたので、素直に腕に頭を乗せた。そのまま私を抱え込んだ。私も彼女の腰に腕を回した。



「好きだよ、鈴」


「私も好き、幸」



 次の日は飛行機に乗って、戻ることになった。本当は行きと同じく、バスとかでゆっくり帰ろうと思っていたのだが、幸と一緒にいる期間をなるべく延ばしていたら、飛行機で帰らないと夏休み中に帰れないかもしれないという事態が発生するかもしれないので、幸の言う通り、飛行機に乗った。

この飛行機も幸が手配して、代金も払ってくれたので、申し訳ない気持ちでいっぱいである。

「お礼はキスでいいんだよ」と、にこやかに言ったので、人の目もあるが、ほっぺくらいならと思い、実行したところ、ぽかんとした顔をした幸が見れたので、最後もいい思い出ができた。




 飛行機に乗って帰ってきた私を待っていたのは、アオちゃん、ソラちゃん、檸檬ちゃん、ウタちゃん、大学で仲良くなったレイちゃんだった。




「おかえりんちゃん、すずりんちゃん!」

「おーかーえーりーすーずーちゃん!」

「おかえり、すずさん」

「おかえりなさいませ、すず先輩。さあ、ウタにお土産をよこせください」

「おかえり。ご飯、いこ」



 皆に迎えられて、思わず一番手前にいたアオちゃんに飛びついた。

どこにそんな力があるのか分からないが、アオちゃんはしっかりと私を支えて、そのまま私を抱きしめた。

やっぱり、この人達といる瞬間が好きだ。幸と居るときは言わずもがなだけど。



そのまま、六人で飲みに行って、まだまだ話足りない私達は、お金持ちな両親が心配して借りたというレイちゃんの住まいであるテラスハウスへ向かう。

一番広い部屋で買ってきたつまみやお酒を食べたり飲んだりしつつ、私の旅の話や、アオちゃんの服飾関係の話、ソラちゃんの絵の話、檸檬ちゃんの小説の話、ウタちゃんの音楽の話、レイちゃんの商売の話。

話は尽きることは無かったけど、誰からともなく、そろそろ寝ようかという声が上がったので、それぞれレイちゃんの借りているテラスハウスの一室に入っていった。

自分の荷物を置いて、ほぼ私の部屋となっている個室の中でシャワーを浴びた。それから、眠りにつく。


色んな男の人に迫られる夢を見たが、所詮夢だしな、と思い、レイちゃんにありがとうと言ってから、他の寝ている皆を起こさないように、マンションを出て、自分の借りているマンションへ向かった。

そして、荷物を整理しながら、配送されてきたお土産を配る準備をして、幸に電話をしてから眠った。



 学校に行くと、学科の子たちに鬼気迫る顔で近づいてこられたので、恐怖を感じずにはいられなかった。

心配をかけて申し訳ないことを謝罪し、お土産を配っていると皆途端に顔色を変えるのだから、本当に現金な奴らだ。

でも、本当に心配してくれていたのは分かっているので、私は笑顔だった。



「まじお金で解決できると思ってる感じー? そういうのってないわー」



 声の元を見ると、旅に出ようと決心させてくれた子だった。まあな、そりゃ同じ学科の子だからいるわな。なんと言えばいいのやら。とりあえず、おこなのだが。そう思っていると、レイちゃんが私よりも先に喋り出す。



「逆恨み? 大なんとかの彼女になれなかった」


「ち、違うわよ!! 逆恨みじゃない! 陽子が大貴と別れたのはあんたのせいでしょ!? 大貴にもそういう風にお金でたらしこんだに決まってるわ!」



 金でたらしこめるならたらしこんだというに。

そもそも、あの子と付き合いだしてから私は会っていないのだから、たらしこんだとしたら、私と付き合うのが道理にかなっているだろう。というか、別れたのか。一ヶ月経ったか経ってないかくらいなのに。



「それ、あなたが、金で動く人だといってるようなもの」


「私はお金なんかで動かされないわよ!」


「違う。その男の人に対して、あなたが抱いている感情が、そうとれる」


「え…いや、私そんなつもりじゃ」


「もし、違うのだとしても、彼を擁護したかったのだとしても、リンにとってはちんぷんかん。私にとってもちんぷんかん。周りにとってはあなたと彼の評価が下がっているのみ」


「なんでよ!」


「だって、言いがかりだって、皆知ってる」



 皆、とレイちゃんが強調して言ったので、その子はやっと周囲を見渡した。

彼女の眼に映ったのは、言いがかりにもほどがあるという侮蔑、嘲りなどの視線や彼女と彼がした何かを私にかぶせようとしているのかという推測から来る好奇的な、イロモノを見る視線だった。


そこで彼女は周りを見るのをやめたようだったが、もう少し見ていれば、彼女と仲の良い子達のもうやめなよという、言い出したいけど、勇気がないという彼女を気遣う視線もあったのに。



「ち、違う。違う。違うわ」


「どれが違う? リンのせいじゃないこと? 男と女が別れた事実が? それとも、二人を庇おうとしたことが?」


「ちが、そうじゃ、ない! ちがう!」


「でも、私は、これだけは知ってる。男はリンと女で揺れ動いたとしても、あなたは対象外だったって」


「そ、そんなのうそよ」


「ほんと」



 基本的に無口無表情美人なレイちゃんがここまで喋ったというのと、彼女は嘘をつかないという学科内での共通認識から皆が何かを察したのを感じ取ったその子は、その子と同じグループの子の視線も気にしないでその部屋から走り去っていってしまった。

まあ、彼女には悪いが、スカッとしてしまったな。

レイちゃんの手を掴んで、彼女の傍に近寄り、耳元で感謝の言葉を伝えると、彼女はその美しい顔に笑みを浮かべてくれた。






「って、感じでしたね。いや、彼女には悪いと思ったんですけどね」


「悪い子、だね鈴」


「こんな私はいやですか」


「私はどんな君でも両手で抱きしめてあげるよ」


「じゃあ」



 仕事が休みということもあり、私の元まで会いに来てくれた幸に向かって両手を広げた状態でスタンバイをする。

私の腕の中に当然のように飛び込んできて、二人してベッドに倒れて、そんな状態が面白くて笑い出す。


呪いじゃなくて、貴方に会うための試練だったのかな。

なんてね。


裏事情も合わせた人物紹介

渡辺わたなべ すず

中流家庭に生まれた平凡な容姿の女性。自分がされて嬉しいことをするという理念の基で動いているので、よく皆にお菓子を配ったり、ちょっとした手伝いをする。思ったことは全て溜め込む。溜め込みすぎて自分の気持ちが悪くなることもよくある。

アオとかソラと仲良くなったのはアニメや漫画、小説などの好みが一緒だったため。

前世では予知の鈴巫女と呼ばれていた。巫女が重視されている国で特に霊力が強く、彼女の言うとおりにしたら、国は必ず栄えるほどの予知能力。そのため、彼女の力を手中に収めたいと思ったものや、彼女の力によって助かったものから求婚された。

今世で直感が外れないのは、前世の力を受け継いでいるため。



アオソラ檸檬レモンウタレイ

前世よりも前のときに世で、彼女と恋仲以上だった。そのときは鈴が女で、他の人はみんな男。アオとソラはやんちゃな双子で鈴とは幼馴染という関係からの結婚。男が二人だが、アオとソラが周囲に認めさせた。檸檬は家庭教師と生徒という関係からの結婚。ウタは吟遊詩人と貴族の結ばれない関係からの駆け落ち。レイは奴隷と主人であり、それ以上の関係。全員そのときの記憶を持って、前世でも鈴と出会った。ただし、全員女性になっており、鈴と幸が既にラブラブだったので、鈴を諦め、鈴を守るために、陛下である幸の諜報兼実行部隊となった。表向きは王宮の客人。順に、アオとソラは芸術家、檸檬が学者、ウタが吟遊詩人、レイが侍女。鈴を諦めたはずだが、同じ性別ということもあり、鈴からの距離が近いのに我慢しきれず、ばれないように各人色々してる。今世もまた同じ性別ということもあり、ばれないように色々してる。



緑乃みどりの こう

前世では緑の国の王子。植物に囲まれた地形であり、なかなかに攻めづらいといわれている。それというのも、国を覆う植物がなぜか燃えないため、木さえなければ侵略できると思っている他国もいた。

王族とは結婚しないという鈴の誓いを覆させたなかなかにすごい人。鈴と結婚できたのが、その生で一番の幸せ。溺愛ぶりに臣下が砂吐きたくなるほど。

今世でも鈴と付き合えたが、アオたちが今世でもいると知って、彼女たちなら共有してもいいかなというか、どこまでやってもいいと決めとかないと鈴が危ないと思っている。正しい。


鈴の元友人、元彼氏、大貴、陽子

全員前世で鈴に助けてもらったことがあり、彼女の優しさに感銘して求婚していた。男のほうは記憶無しだが、女のほうは記憶があったため、友人でいいと思っていたのに、すぐ近くで他のやつが付き合い出したら、いらつきが押さえられなくなった。同性で付き合うという考えがなかったので、男のほうに対してアプローチして別れさせたり、嘘ついて別れさせたり、付き合う前にアプローチしたりで方向性を皆間違った。謝罪して、あわよくば付き合いたいと思っている男性陣、なんで仲良くなくなったのかわからないけど、謝りたい女性陣。前世では、中学時代の二人は料理人、高校時代の二人は画家、大学の二人は薬師。



おまけま

アオたちの名前は全員ドレミの歌から。アオとソラはソ。檸檬はれ。ウタはうたいましょう。レイはRay。幸はシ。もう一人出てくる予定だが、たぶん職場で出てくる。


フルボッコにする話を書きたかったのに、なぜこうなった。

気が向いたら、前世の話とか、アオたちだけの話を書くと思われる

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― 新着の感想 ―
[一言] すごく感動しました。 なんて言ったらいいのかわからないんですが、 こんな恋がしたいなって思いました これからもがんばってください
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