2、種族決め
「種族?」
「そうじゃ。お主には自分の種族を決めてもらう。今まで通り人でも良いし、獣人でも竜人でも魔族でも良い。じゃが、これではかなり限定的じゃ。じゃからいっそ新しい種族でも作ったらどうじゃ?」
「新しい種族!??」
「そうじゃの~お主が使っている漢字を三文字まで書いて種族名を決めてみなさい。その漢字とお主のイメージからわしが新しい種族を造ってあげよう。」
良い。それ良い!自分だけの新しい種族!なんかワクワクする!やばい。まだ転成前なのに興奮して死にそうだ。もう死んでるけど(笑)
「それ、やらせてください」
「じゃあこの紙に好きな漢字三文字までで新しい種族の名前をイメージしながら書いてみなさい」
そう言いながら神様は一枚の紙と筆をどこからか取り出した。紙を受け取ってどの漢字を書くか考える。一つ目はすぐに決まった。俺は昔から雷が好きだったのだ。一瞬で移動しあの破壊力、そしてあの轟音。嫌いな人も多いけど俺は堪らなく好きだった。だから一文字目は雷だ。
次は二文字目。別に三文字全部使わなければならない訳ではないが、どうせなら使いたい。どうするか…少し悩んだので考え方を変えてみた。好きな漢字そのものを選ぼう。好きな漢字、好きな漢字……
…!あった、轟だ。何となくだが轟という字には惹かれるものがある(主観だが)。どう表現したらいいのか分からないが、あの爆音っぷりが字面から溢れ出している所なんか痺れる(主観だが)。それに何か強そう(主かry)。好きな音楽もメタルだったりするので自分に合っていると思う。二文字目は轟で決まりだな。
さて最後の文字だ。最後はおそらく『~人』とかその種族の大まかな括りを決めるものだと思う。つまり最後の文字の選択はかなり重要だ。しかし…
「人じゃないと交流できないよなぁ」
せっかくの異世界転成。チート使ってモテモテハーレムでもしたいが人じゃないとそれは無理っぽい。かといって人を選んでも何か勿体無い気がする。
「その点に関しては大丈夫じゃ。人以外を選んでも特別に人化のスキルをあげよう」
「本当ですか!?」
「嘘はつかんよ」
神様(ほぼ確定)は笑いながらそう言った。
じゃあもうほとんど決まったようなものだ…ドラゴンだ!男の憧れ!けど竜か龍で迷うなぁ。確か竜は西洋っぽいやつで龍は東洋っぽいやつだったよな。俺がなりたいのは体は東洋のやつだけど西洋の翼や顔も捨てがたい。いや、まてよ。どうせ俺のイメージを基にするなら関係ないか。そういうことなら龍にしよう。理由は簡単、強そうだから。…何か大事な事決めてるのにさっきから俺適当過ぎないか?まあいいか、雷轟龍、強そうじゃん!これでいこう!
渡された紙に雷轟龍と丁寧に書く。うん、良さげ。
「決まったかのう。じゃあ早速その種族にお主をしてみようかの。」
「お願いします」
神様(もう確定で良いんじゃないか)が雷轟龍と書かれた紙に手をかざし、目を瞑る。次に俺の頭にも手をかざす。そして
「はあ」
なんとも気の抜けた掛け声と共に俺の体全体が強く光った。
「これでお主は新しい種族、雷轟龍じゃ」
あれ?急に神様(確定)が小さくなった。否、俺が大きくなったのだ。目の高さは3メートルくらいだ。
「ほれ鏡じゃ」
神様の隣に大きな鏡が現れた。
「Oh」
思わず外人っぽく反応してしまうほど美しく、強そうな黄色い龍がそこに映っていた。全身は黄色く額から天を衝くように20センチ程の角が伸びている。その姿は俺の想像通り龍の体に竜の翼が生え、悠然と鏡の向こうに立っていた。とても神々しい姿だ。
「すげー!カッコいい」
「お主のイメージでも曖昧な部分もそれらしくしておいたぞ」
「さすが。やっぱ神様なんですか?」
「そうじゃ」
これで本当に確定でいいだろう。
「では早速転成してみるかの?それともこれから行く異世界の大まかな情報でも聞いてみるかの?」
「あ、出来るのであればお願いします」
わざわざ情報を自分に教えてくれるらしい
「ではまず地理じゃ。これから行く異世界は一つの大陸で構成されておる。そしてその大陸には三つの国がある。一つは聖教国、光の女神がおり勇者を召還しておる。その聖教国と敵対しておるのが魔王国、魔神がおって魔王に力を与えて勇者に対応しておる。この二者の争いは拮抗しておるのう。そして三つ目の国がオルフォース王国、勇者や魔王の加護がないため弱小国じゃ。じゃから聖教国も魔王国もオルフォース王国を手に入れようとしておるのじゃ。拮抗を破るためにのう。そこでお主にはオルフォース王国に行ってもらう。」
「つまり、俺が勇者や魔王に対抗してそのオルフォース王国とかいうのを守ればいいんですね?」
「その通り。光の女神も魔神もわしよりは下位の神じゃ。じゃからわしから力を授けられたお主は勇者や魔王よりも優位にあるはずじゃ。そもそも女神も魔神もわしがこの世界に来ている事を知らぬ。好き放題に互いに争っているのじゃ。そこで二者を驚かしてやろうという訳じゃ。しかし慢心するでないぞ、国力は二者の方が圧倒的。しかも勇者も魔王もレベルが高い。まずは力を蓄えよ。それにお主の体はまだ幼体じゃ。レベルが上がるにつれて成長するぞ。あ、でも争い事を好まないのならのんびり暮らしても咎めたりはせんよ」
なるほど。本当に暇潰しっぽい。けど一つ疑問が…
「どうして俺が選ばれたのですか?」
「簡単じゃ、ちょうどわしがこれを思いついた時死んだのがお主じゃったというだけじゃ」
俺めっちゃ運良いじゃん。
「では、そろそろ行ってみるかの?異世界」
「はい!お願いします」
「では異世界を堪能してきなさい!はあ」
また気の抜けた掛け声と共に光が俺を包み込んだ
念願の異世界!楽しむぜ!!