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散歩しながら  作者: 崎昌
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感情論

例えば戦争が起きたとする。僕はどうなるだろう。森の中でひっそりと生き残って、終戦してからひょっこり出てきたい。きっと周りの人は結構な人数が死んでしまっている。それで僕だけ生き残ってて

「あんた生きてたのかい」

なんて泣きながら驚かれたりする。もちろんこんな想像を表に出したりはしない。

想像してるときくらいは好きにさせてくれよ。 

心の中でそっと呟いた。僕は攻撃もしないし防御もしない。森の中でひっそりと暮らしていたいんだ。戦争云々抜きの話で。ひっそりと。

祭りから帰ってきて余韻に浸った顔をしている女の子とすれ違う。浴衣に蝉がとまっていたが今の彼女にはそれすら笑いに変わるだろうと思いなにも言わなかった。もっとも彼女が仕事帰りのOLでスーツに蝉がとまっていても話しかけないだろう。間違えた。かけれない。僕は人見知りなのだ。


歩きつかれて公園のベンチに腰を掛けた。


街灯に小さな虫がわらわらと集っている。その中にカナブンが何匹か街灯にぶつかってはまたぶつかりを繰り返していた。見ている分には面白いが自分の近くでやられたら気持ち悪くて仕様がないと思った。人間によって作られた街灯に何度もぶつかるカンブンになんとなく申し訳なく思った。人間がいなければもう少し餌をとる時間が増えただろうに。

犬の散歩をしているおじさんと目が合った。いつもなら逸らすのだが今日は軽く会釈した。おじさんも軽く会釈をしてくれた。いま疑問に思ったのだが、犬の散歩のおじさんではなくて犬と散歩しているのではないか。犬は家族とか言ってる人がいたが結局犬を見下してるのか。例えば息子のなまえがタカシだとしたらタカシの散歩してくるなんて言わないだろう。こんな感情論を自分の中で繰り広げても仕様がないのだが。


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